List-Unsubscribeとは?設定のメリットや仕組み、実装方法を詳しく解説
メールやメルマガ配信において、効果的なメール配信と受信者の満足度を両立させることは非常に重要です。
そのためには、受信者が簡単に配信停止(オプトアウト)を行える仕組みを提供することが欠かせません。その一環として注目されているのが「List-Unsubscribe」ヘッダです。List-Unsubscribeを利用すれば、メール内の配信停止リンクを探すよりも手軽に購読解除できます。
昨今では、Gmailの送信者ガイドラインの変更により、マーケティング目的のメールと配信登録されたメールに対して、ワンクリック解除の仕組みを実装することを求められるようになりました。
このような時代背景からもList-Unsubscribeはメールマーケティングにおいても重要な要素のひとつになっています。この記事でList-Unsubscribeの仕組みを理解したうえで、便利に利用しましょう。
List-Unsubscribeとは
List-Unsubscribeを日本語に訳すと「登録解除」で、メールのヘッダに含まれるテキスト情報です。この機能を利用すると、不要なマーケティングメールやメルマガを簡単に購読解除することができます。List-Unsubscribeがヘッダに含まれたメールは、送信元メールアドレスの右横に、登録解除用のリンクが表示され、クリック1つで購読の解除が可能です。
List-Unsubscribeヘッダの使用は、受信者側と送信者側の両方に対して、トラブルを回避するために役立ちます。メールの送信者と受信者、それぞれに与える具体的なメリットを以下で確認していきましょう。
メール送信者側のメリット
メール送信者側にとって、List-Unsubscribeを実装することの最大のメリットは、受信者が簡単に配信停止を行えるようにし、スパム報告を減少させることができることです。スパム報告が多いと、メール送信ドメインやIPアドレスの評価が下がり、メールが迷惑メールフォルダに振り分けられるリスクが高まります。
メールの中にオプトアウト方法を記載することや、配信停止リンクを設置する機能は送信者側の義務として定められています。もし配信停止が容易にできなければ、受信者側から迷惑メールとして報告を受けるリスクも高まります。また、レピュテーションが下がる恐れもあるでしょう。
レピュテーションとは
過去の送信内容や送信量のデータを基に「送信者がスパムであるかどうか」を判定した評価のこと。
List-Unsubscribeは送信者側において、レピュテーションを高い状態に保ち、顧客への信頼性向上に必要な機能なのです。
メール受信者側のメリット
不要なマーケティングメールや、メルマガなどが大量に届くと不快です。しかし、購読解除を依頼するには、配信停止用のリンクを探したり、配信停止希望のメールアドレスの記入をしたりと意外と手間がかかります。そのため、配信停止が面倒で放置してしまっている方もいるでしょう。
List-Unsubscribeヘッダを利用すると、登録解除ボタンが分かりやすい場所に表示されるため、簡単な手順で不必要なメールを購読解除できます。List-Unsubscribeヘッダの機能は、受信者側にとって、いつでも購読解除可能な利便性と安心感を与える必要な機能です。
List-Unsubscribeの設定が必要とされる背景
近年、多くの国でスパムメール対策の法規制が強化され、受信者の権利を保護するための基準が厳しくなっています。このような規制に対応するため、送信者は受信者が簡単に配信停止できる仕組みを提供する必要があります。
また、受信者から迷惑メールとして報告されてしまったり、ユーザーからの信頼が低下したりするトラブルを未然に回避するためには、List-Unsubscribeの設定が有効でしょう。他にも、ヘッダにList-Unsubscribeを設定することに注目されるようになった背景には理由があります。
オプトアウトとは
オプトアウトとは、受信者側がメールを受信拒否するための手段のことです。一般的には、登録解除用のリンクをメール内に設置することが多いものの、受信者側がそのURLを見つけにくい場合もあります。
また、クリックしたURL先でユーザー情報の入力が求められ、登録解除するまでに多くの工程が必要となることもあります。登録解除用のリンク表示がわかりにくかったり、ユーザーが入力に時間がかかり不満を抱いたりすると送信者の評価が下がります。迷惑メールと判断されてしまう恐れもあるでしょう。
List-Unsubscribeヘッダを利用すると、登録解除方法がわかりやすく表示され、手続きも簡単です。受信者側のストレスを軽減するだけでなく、送信者側のレピュテーション維持につながるでしょう。
法令への対応
メールマガジンや多数のメールアドレスに向けた一斉配信などの広告メールは、マーケティングメールに該当します。マーケティングメールの送信には「特定電子メール法」や「特定商取引法」の適用が義務付けられています。
特定電子法
特定電子法(特定電子メール法)は、迷惑メールやスパムメールの送信を規制する日本の法律です。この法律は、無断で大量の広告メールを送ることを防止することを目的としています。
以下3つが主要なポイントとなります。
- 広告メールの送信制限
- オプトアウト機能の提供
- 違反に対する罰則
特定商取引法
特定商取引法とは、消費者の利益を守るために、事業者からの悪質な勧誘行為などを防止する法律です。
消費者トラブルが起こりやすい通販および訪問販売などの事業を主な対象として規律が定められました。クーリングオフ制度も、この法のもとに設けられた制度です。特定商取引法の中に電子メール広告が含まれます。
メーラーのガイドライン
Gmailと米国Yahoo!メールは、メール送信者ガイドラインの更新を発表しました。Google、米国Yahoo!メールともに2024年2月以降、メールを各プラットフォーム宛に送信する場合の条件を強化しています。
メールを1日5,000通以上送信している送信者には、特に厳しい条件が定められ、SPF・DKIM・DMARCといったメール認証の義務化も含まれています。
- SPF(Sender Policy Framework)
メール送信元が正しいか判断するための機能
- DKIM(Domain Keys Identified Mail)
メール送信元のドメインに対して、電子署名を行ったうえで受信者側が検証し、メールの改ざんやなりすましを検知するための機能
- DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)
SPFとDKIMを利用したメールのドメイン認証を補強するための機能
また、このガイドラインにおいて、送信者がマーケティングメールを送信する場合は、ワンクリックで簡単に登録解除できる機能の設置をガイドライン上で義務付けています。
List-Unsubscribeの仕組み
ここでは、List-Unsubscribeの仕組みについて解説します。List-Unsubscribeが動作する流れは以下の通りです。
- List-Unsubscribeヘッダを追加した状態でメールを送信
- 受信者側が使用するメールクライアントがList-Unsubscribeヘッダを認識
- 購読解除ボタンが表示されたメールを受信
- 配信停止を希望する受信者は、購読解除ボタンをクリックし購読解除をリクエストする
- メールクライアントが購読解除ボタンを自動的に送信
- 送信者側が事前に設置したサーバーで購読解除のリクエストを受け取る
- リクエストが処理された場合、配信先リストから購読解除を希望した受信者が削除される
なお、Googleでは、購読解除のリクエスト受付から48時間以内に配信先リストから削除することを推奨しています。
この仕組みにより、受信者は簡単にメール配信を停止することができ、送信者はスパム報告のリスクを低減し、Gmail送信者ガイドラインなどの遵守を実現できます。
List-Unsubscribeヘッダの記述例
List-Unsubscribeを使用するためには、List-Unsubscribeヘッダへ指定の値を記載する必要があります。指定オプションは「HTTPS」「mailto」の2つです。HTTPSは、配信停止の処理をするURLを指定します。mailtoは、配信停止リクエストをメールで受け付ける場合のメールアドレスの指定が可能です。ここでは、ヘッダの記述例をご紹介します。
シンプルな例
HTTPSを使用したヘッダのシンプルな記述例は、以下の通りです。
List-Unsubscribe: <https://example.com/unsubscribe/example>
List-Unsubscribe-Post: List-Unsubscribe=One-Click
複数の値を併記する例
ヘッダの記述に複数の値、mailtoとHTTPSを併記する記述例は以下の通りです。
List-Unsubscribe:
<mailto:request@example.com?subject=unsubscribe>,
<https://example.com/unsubscribe.html?opaque=123456789>
List-Unsubscribe-Post: List-Unsubscribe=One-Click
併記することで、mailtoとHTTPS両方を同時に使用できます。
ただし、RFC 8058仕様を利用する場合には、必ずHTTPSの指定が必要です。 RFC 8058では「Signaling One-Click Functionality for List Email Headers」というタイトルで、メールにおけるワンクリック購読解除機能を実現するための方法を定義しています。
受信者にとって不要なメールを簡単に購読解除できるようにすることで、メールの利便性を向上させるために作成されました。
複数の値を併記すると、記載内容が複雑化します。正しく登録解除機能が動作するか、事前に確認しましょう。
各メーラーのList-Unsubscribeへの対応
数多くのメーラーで、List-Unsubscribeの機能を使用したメール配信が可能です。ここからは、各メーラーのList-Unsubscribeへの対応について見ていきましょう。
Gmail
Gmailは、List-Unsubscribeヘッダを積極的にサポートしており、受信者が簡単に配信停止を行えるようにしています。Gmailの受信トレイに表示される「配信停止」リンクは、List-Unsubscribeヘッダに基づいて表示されます。
また、Gmailでは、利用に際し「メールの認証」「正しいメールフォーマット」「受信者側が簡単に購読解除が可能」という要件を守ることを提示しています。要件を守れなかった場合は、送信者側のドメインに対するレピュテーションが下がり、受信者側へメールが届きにくくなる恐れもあります。Googleの「一括送信ガイドライン」では、全ての送信者に対してList-Unsubscribeの提供を推奨しており、受信者側が簡単な購読解除の実装が必要です。
Yahoo!メール
Yahoo!メールも、List-Unsubscribeヘッダをサポートしており、受信者にとって使いやすい配信停止手段を提供しています。
また、Yahoo!メールでは、ワンクリックで購読解除可能な状態を要求しており、List-Unsubscribeヘッダが明確に表示されている必要があります。購読解除リクエストが反映されるために必要な期間は、世界各国の法的要件に応じて異なるものの、迅速な対応が求められます。
Yahoo!では、スパムなどが原因の苦情を減少させるため、受信者がスパムに対し不快と感じるレベルに苦情しきい値を設けているのです。具体的には、このしきい値が0.3%を超えるとブロック対象メールや迷惑メールフォルダに振り分けられるリスクが高まります。
Microsoft Outlook
Microsoft Outlookも、List-Unsubscribeヘッダに対応しており、受信者が簡単に配信停止を行えるようにしています。
また、Microsoft OutlookでもList-Unsubscribeの利用が推奨されています。送信者が高いレピュテーションを保つためには、配信停止リクエストの設置は必要不可欠です。Microsoft Outlookでは、mailtoのみ使用可能であり、HTTPSを使用した場合は反映されません。
iOSメール
iOSメールアプリも、List-Unsubscribeヘッダをサポートしており、受信者が簡単に配信停止を行えるようにしています。
Microsoft Outlookと同様に、List-Unsubscribeのヘッダはmailtoのみ使用可能です。送信者情報の上に配信停止リクエストの表示が記載されます。HTTPSを使用した場合は反映されません。
List-Unsubscribeの具体的な実装方法
Gmailにおける、List-Unsubscribeの具体的な実装方法をご紹介しましょう。
一般的なオプトアウト用のリンクを、メール本文内に設置しなくても、List-Unsubscribeのヘッダをメールに含めることで対応することが可能です。
List-Unsubscribe-Post: List-Unsubscribe=One-Click
List-Unsubscribe: <https://xxxxxxxx.com/unsubscribe/example>
このような登録により、受信者側に「メーリングリストの登録解除」という文字列が表示されます。
ワンクリックで、上記の<https://xxxxxxxx.com/unsubscribe/example>のURLに対して、解除のリクエストが送られるのです。
1日あたり5,000件以上のマーケティングメールを配信する場合は、ワンクリックで登録解除できる機能の搭載が必須です。いつでも解除可能な安心感は、必要なメールに対して、開封率・送信効率・クリック率の向上にも期待できます。
Gmail送信者ガイドラインに対応したメール配信システム
本記事内でもご紹介したように、GmailやYahoo!メールなどでは送信者ガイドライン変更の動きがあり、今後はList-Unsubscribe対応も含めたガイドライン対応のメール配信システムの利用が求められます。
特に、DKIMなどの送信ドメイン認証に対応していないシステムなども多く、その場合は送信したメールが迷惑メール判定されてしまい「メールが届かない」なんてことも起きかねません。
メールを確実に届けるためには以下で紹介するような、送信者ガイドラインに対応したシステムを使うようにしましょう。
API連携・SMTPリレーサービス「ブラストエンジン(blastengine)」
SPFやDKIMなどGmail送信者ガイドライン対応しており、API連携・SMTPリレーが可能なメール配信システムです。
ブラストエンジンは、SMTPリレーサーバーを使用して、簡単に大量のメールを高速配信することが可能です。さらに、メールサーバーを必要とせず、API経由でメールを送信する仕組みも提供しています。
ブラストエンジンは、サーバーの運用やメンテナンスを行っているため、常に高いIPレピュテーションを維持しながら、安全にメールを送ることができます。
以下のような課題がある場合は、ブラストエンジンの利用を検討してみることをおすすめします。
- 自社のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていて、メールが届かない場合
- 国内キャリアにメールが届かず、対応方法がわからない場合
- 自社でメールサーバーを管理・運用したくない場合
また、ブラストエンジンは各メールプロバイダーや携帯キャリアのドメインに最適化されており、大規模なネットワークを経由してメール配信を行うことで、日本国内での到達率を圧倒的に高めています。
利用料金は月額3,000円からとコストパフォーマンスにも優れており、メールだけでなく、日本語での電話サポートにも対応しています。
メールアドレスの入力のみで無料トライアルが可能ですので、まずは気軽にお試しください。
シェア1位のメール配信システム「ブラストメール」
SPFやDKIMなどGmail送信者ガイドライン対応(standardプラン以上)しており、シンプルで使いやすいメール一斉配信システムです。
ブラストメールは、13年連続で顧客導入シェア1位を獲得している信頼性の高いメール配信システムです。ブラストエンジンとは異なり、メルマガなどのメール一斉送信に利用することができます。
このメール配信システムの特徴は、使いやすさとコストパフォーマンスの高さです。さまざまな業種や官公庁でも利用されており、定番のメール配信システムとして広く知られています。
迷惑メール対策機能はもちろん、セグメント配信や効果測定、HTMLメールエディタなど、基本的な機能がすべて揃っています。最も安いプランでも、月額4,000円以下で導入することができます。
シンプルで安価なため、初めてメール配信システムを利用してみたい方にもおすすめです。無料トライアルも用意されているので、まずは試してみることをお勧めします。
まとめ
メーラーのガイドラインにより、マーケティングメールの送信者には、受信者がメールの配信登録を容易に解除できるようにすることが義務付けられています。この、登録解除までの手順が簡単であればあるほど、受信者側のストレスを軽減できるでしょう。
手軽な登録解除を可能にするため、List-Unsubscribeは最適な機能です。いつでも手軽に登録解除可能なメールは、信頼性も高まり迷惑メールとして判定されるリスクも低下します。List-Unsubscribeへの理解を深め、マーケティングメールに活用しましょう。