IPアドレスの逆引きとは?正引きとの違いや活用シーン、方法・手順を解説
インターネットやネットワークの管理において、「IPアドレスの正引き」と「逆引き」は欠かせない重要な概念です。これらは、IPアドレスとドメイン名を相互に変換するプロセスであり、ネットワークのトラブルシューティングやセキュリティ対策において大きな役割を果たします。
逆引きは正引きに比べて使用頻度は少なく、その存在が軽視されがちです。しかし、正引きと対応関係にあるため、使うと便利な場面も存在します。
この記事では、逆引きの概要や正引きとの違いを、実際の活用法や調べ方も合わせて解説します。
IPアドレスを使った「逆引き」とは
IPアドレスやホスト名に関連する作業に「正引き」と「逆引き」があります。
インターネットやローカルネットワークでデバイスを特定するために、IPアドレスが利用されます。IPアドレスは、ネットワーク上のデバイスを識別するための一意の数値です。
これらのアドレスは、通常ドメイン名と関連付けられています。ドメイン名は人間にとって覚えやすい名前であり、IPアドレスは機械が理解する数値です。IPアドレスをドメイン名に変換するプロセスを「正引き」と呼びます。逆に、ドメイン名からIPアドレスを特定するプロセスが「逆引き」です。
IPアドレス
まず、逆引きを理解する前に、IPアドレスとホスト名について確認しておきましょう。
IPアドレスとは「198.51.100.0」のような値で管理される、通信先を特定する際に使われる識別子のことです。インターネット上の住所のような存在であり、IPアドレスが無ければネットワークの通信ができません。
ホスト名
これに対してホスト名とは「example.com」といった文字列で管理される、Webサイトやメールアドレスを特定する識別子のことです。
アドレスやサイトを示す際、IPアドレスでは、人が目で識別するには区別しづらいため、わかりやすいホスト名を使用しています。
逆引きとは
この、IPアドレスから対応するホスト名を調べる方法が、逆引きです。例えば、ウェブサーバーのログに記録されたIPアドレスから、そのアドレスに対応するドメイン名を特定することができます。
逆引きは、DNS(Domain Name System)を利用して行われます。DNSは、インターネット上のドメイン名とIPアドレスを管理するシステムであり、正引きと逆引きの両方の機能を持っています。
逆引きは、ネットワークのトラブルシューティングや、スパム対策、セキュリティの監視など、多くのシーンで重要な役割を果たします。
正引きとは
正引きとは、逆引きとは反対にホスト名からIPアドレスを調べる方法のことです。
一般的な通信において広く使われており、普段我々がブラウザでWebサイトを閲覧する際にも使用されています。
例えば、ブラウザのアドレスバーに「example.com」といったURLを打ち込んでも、ホスト名だけでは通信先を特定できません。
そのため、「example.com」を正引きして「198.51.100.0」といったIPアドレスに変換して、通信先を特定する必要があるのです。
どのようなときに逆引きを行うのか
正引きは、通信するうえで欠かせない方法である一方、逆引きはどのようなときに使用されるのでしょうか。
サーバーのログ解析やネットワークのトラブルシューティング時
逆引きすることで便利になるシーンはいくつかあります。例えば、サーバーのログ解析やネットワークのトラブルシューティング時に役立ちます。
逆引きにより、特定のIPアドレスからのアクセスがどのドメイン名からのものであるかを特定でき、不審なアクセスの監視や追跡が容易になります。
例えば、サーバーのアクセスログから不正アクセスしたIPアドレスをホスト名に逆引きすることで、ユーザーの身元を特定できる可能性があります。このように、逆引きは送信元やアクセス元を特定する際に便利です。そのほか、正引きが正常に行われているかチェックする際にも、逆引きは使われます。
メールサーバーに迷惑メールが届かないように対策を講じる時
一般的に使われるメールアドレスは、「PTRレコード」と呼ばれるIPアドレスとホスト名を定義する情報が設定されています。この、PTRレコードを定義することで、IPアドレスからホスト名を逆引きできるようになります。
しかし、迷惑メールのほとんどは身元の特定を恐れるため、PTRレコードが設定されていません。そのため、メール差出人のIPアドレスから逆引きを行うことで、PTRレコードが設定されているかチェックでき、設定されていないメールをブロックできます。
正引き・逆引きの方法
実際に正引きや逆引きを行う際は、パソコン上に標準で搭載されているコマンドプロンプトを利用しましょう。
そのほか、Webサイト上で正引きや逆引きができるWhois情報検索サービスも存在します。
正引きの方法
WindowsOSの場合、まずデスクトップ左下の検索バーに「cmd」と打ち込んでコマンドプロンプトを起動します。コマンドプロンプトを起動したら「nslookup」と打ち込みましょう。次に、調べたいホスト名を入力してEnterキーを押すと「Address:」に続いてホスト名に対応したIPアドレスが表示されます。
以下は「nslookup」コマンドの例です。
nslookup www.example.com
MacOSの場合は、画面右上にある虫眼鏡のアイコンをクリックし、検索ボックスに「ターミナル」と打ち込んでターミナルを起動します。
次に「host」と打ち込んで調べたいホスト名を入力しましょう。すると「入力したホスト名 has address」の後にホスト名に対応したIPアドレスが表示されます。
逆引きの方法
WindowsOSの場合、正引きと同様の方法でコマンドプロンプトを起動し「nslookup」と打ち込みましょう。次に、調べたいIPアドレスを入力してEnterキーを押すと「名前:」に続いてIPアドレスに対応したホスト名が表示されます。
以下は「nslookup」コマンドを使用した逆引きの例です。
nslookup 192.0.2.1
MacOSの場合も正引きと同様の方法でターミナルを起動し、「host」と打ち込んだ後に調べたいIPアドレスを入力してEnterキーを押しましょう。すると「逆順のIPアドレス in-addr.arep domain name pointer」の後にIPアドレスに対応したホスト名が表示されます。
メールを安全かつ確実に届けるために
本記事でも紹介した「PTRレコード」は、DNSにおける重要な要素であり、IPアドレスからドメイン名への逆引きを可能にします。
これにより、インターネットのセキュリティが強化され、メール送信の信頼性が保たれます。PTRレコードの適切な設定と定期的な確認は、ドメインの信頼性を維持するためにも不可欠です。
ただし、メール配信における送信元の認証としては不十分であり、SPF・DKIM・DMARCと併せて活用するのがよいでしょう。そのため、メール配信を行う際はこれらのメール認証が可能なサービスを利用する事が望ましいです。以下におすすめのシステムをご紹介します。
API連携・SMTPリレーサービス「ブラストエンジン(blastengine)」
SPFやDKIMなどGmail送信者ガイドライン対応しており、API連携・SMTPリレーが可能なメール配信システムです。
ブラストエンジンは、SMTPリレーサーバーを使用して、簡単に大量のメールを高速配信することが可能です。さらに、メールサーバーを必要とせず、API経由でメールを送信する仕組みも提供しています。
ブラストエンジンは、サーバーの運用やメンテナンスを行っているため、常に高いIPレピュテーションを維持しながら、安全にメールを送ることができます。
以下のような課題がある場合は、ブラストエンジンの利用を検討してみることをおすすめします。
- 自社のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていて、メールが届かない場合
- 国内キャリアにメールが届かず、対応方法がわからない場合
- 自社でメールサーバーを管理・運用したくない場合
また、ブラストエンジンは各メールプロバイダーや携帯キャリアのドメインに最適化されており、大規模なネットワークを経由してメール配信を行うことで、日本国内での到達率を圧倒的に高めています。
利用料金は月額3,000円からとコストパフォーマンスにも優れており、メールだけでなく、日本語での電話サポートにも対応しています。
メールアドレスの入力のみで無料トライアルが可能ですので、まずは気軽にお試しください。
まとめ
IPアドレスの逆引きは、送信元の認証や不正アクセス者の追跡など活用できるシーンも少なくありません。
逆引きする際は、コマンドプロンプトやWhois情報検索サービスなどを利用して簡単に調べられます。逆引きや正引きの詳細な知識をしっかりと把握して、サイト運営やサーバー管理に役立てましょう。