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ヘッドレスCMSとは?従来型CMSとの違いやメリット・デメリットを分かりやすく解説

更新日: 開発技術

CMSとは、「Content Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)」の略語で、Webサイトを構成するデザインや画像、テキストなどを保存・管理するシステムです。

近年、マーケットやテクノロジーの環境の変化に伴い「ヘッドレスCMS」と呼ばれる新たな技術が発展しています。ヘッドレスCMSは、従来のCMSと異なり、フロントエンドとバックエンドが分離されています。これにより、コンテンツ管理はバックエンドで行い、表示はAPIを通じて様々なデバイスやアプリケーションに提供することが可能です。

この記事では、ヘッドレスCMSについて従来型CMSとの違いやメリット・デメリット、代表例などを交えて詳しく解説します。

ヘッドレスCMSと従来型CMSの違い

Webサイト開発には、Webサービスやアプリの操作画面といったユーザーの目に直接触れるフロントエンドとユーザーの目に触れないバックエンドの2種類に分けられます。ヘッドレスCMSと従来型CMSの大きな違いは、フロントエンドとバックエンドの使い方です。

従来型CMSとは

従来型CMSは、バックエンドとフロントエンドが一体となって動作します。バックエンドでは、コンテンツの管理だけでなくテンプレートの管理も行っています。そのため、フロントエンドではテンプレートを作成・改修する際、バックエンドが使用している言語やフレームワークに依存してしまいます。

従来型CMSの代表例として、「WordPress」があります。WordPressは、世界で最も普及しているCMSで、市場シェアは全Webサイトの42.7%を占めています。

ヘッドレスCMSとは

フロントエンドは「ヘッド」とも表現されます。つまり、ヘッドレスCMSはフロントエンドがないCMSであり、WebサイトやWebサービスを表示する機能を持たず、コンテンツ管理に特化しています。

ヘッドレスCMSは、APIを利用してコンテンツ配信を行います。APIとは、ソフトウェアやプログラム、Webサービスをつなぐ仕組みのことで、インターネット経由でデータのやり取りを行うHTTP通信を利用します。そのため、ヘッドレスCMSはWebサイトに限らずさまざまなデバイスやプラットフォームでコンテンツの利用ができます。

ヘッドレスCMSが生まれた背景

ヘッドレスCMSが生まれた背景には、主に2つの要因があります。

一つ目は、IT市場の発展です。スマホやタブレットといったWebサイトを見るデバイスはもちろん、AIスピーカーやスマートウォッチといった「ユーザーとの接点がWebサイトではないデバイス」が登場しました。従来型CMSでは、Webサイトの見た目を主体として作られています。そのため、デバイスの多様性を想定して作られていません。

一方、ヘッドレスCMSはWebサイトの表示機能がなく、API経由でコンテンツを提供します。これにより、AIスピーカーやスマートウォッチのようなデバイスでも、APIを呼び出せばユーザーとの接点が得られるようになったのです。

二つ目は、従来型のCMSに限界が見えたことです。代表的なCMSとして世界で普及しているWordPressは、手厚いサポートがなく、利用者側の負担が大きい傾向にあります。セキュリティ面のバージョンアップ・アップデート情報は自分で調査・対応を行うしかなく、プラグインを導入している場合はそれぞれのアップデート情報をチェックしなければなりません。

また、新しくなるWebサイトのトレンドに合わせようとすると、マッチしたプラグインを自分で見つけて導入する必要もあるでしょう。このように、WordPressを用いたWebサイト運営は、管理・運用に手間がかかります。

このように、ヘッドレスCMSが生まれた背景には、IT市場の発展とWordPressの限界が大きな理由です。

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ヘッドレスCMSと従来型CMSの比較

ヘッドレスCMSと従来型CMSの違いを表にまとめました。

項目従来型CMSヘッドレスCMS
バックエンド(コンテンツの管理)
フロントエンド(コンテンツの表示)×
サイバー攻撃受けやすい受けにくい
表示画面の自由度低い高い
配信形式WebページWeb API
データ形式HTML/CSS/JSJSON/XMLなど
活用範囲1つのWebサイト複数のWebサイトモバイルアプリスマートスピーカーウェアラブル機器など
フロントエンド実装方法CMSが採用しているプログラミング言語を用いて実装自由なフロントエンド技術を用いて実装

ヘッドレスCMSのメリット

ヘッドレスCMSは、バックエンド機能に特化していることが大きな特徴です。この特徴を踏まえ、ヘッドレスCMSのメリットを7つ紹介します。

表示速度が速い

ヘッドレスCMSは従来型CMSと比べて表示速度が速いという性質があります。なぜなら、Webサイトを表示する仕組みが異なるからです。

従来型CMSでは、ユーザーの要求に対し、プログラムから出力する「動的ファイル」を表示します。動的ファイルは、HTMLファイルがWebサイトにアクセスする度に作成されるため、サーバーに負荷がかかりやすく、表示速度が遅くなる傾向があります。

一方、ヘッドレスCMSは「静的ファイル」を表示します。静的ファイルは、Webサイトにアクセスする前にあらかじめHTMLファイルが作成されているため、動的ファイルよりも表示速度が速くなるのです。

他にも、表示速度が上がることでGoogleなどの検索エンジンからの評価が高まる可能性もあります。検索エンジンの評価が高くなると、Webサイトへのアクセス数増加が期待できます。

コストパフォーマンスに優れる

ヘッドレスCMSは、2つの観点からコストパフォーマンスに優れているといえます。

一つ目は、サーバーにかかるコストが安い点です。ヘッドレスCMSは閲覧用ファイルを生成しない分、サーバーの処理が割愛できるため、サーバーに求めるスペックが従来型CMSと比べて低くなります。スペックが低くなると、サーバーの費用を抑えることが可能です。低スペックだと動作に心配があるかもしれませんが、問題なく動作します。

二つ目は、人材コストが削減される点です。フロントエンドとバックエンドが分離されていることで、それぞれに特化したフレームワークが利用できます。これにより、システム構築を短期間で行えるため、人材コストの削減が見込めます。

フロントエンドを改修しやすい

フロントエンドとバックエンドが独立していることで、フロントエンドでシステム変更を行ってもバックエンドに影響がでません。そのため、最新のフロントエンド技術を常に取り入れられます。最新のフロントエンド技術は、ユーザーのコンテンツ利用の満足度を高めるでしょう。

開発の自由度が高い

ヘッドレスCMSがコンテンツ管理のバックエンドに特化している性質から、開発者はチームの目的や状況に応じて最適なフロントエンド技術やインフラ、実装方法が選択可能です。具体的には、以下のようなことが行えます。

  • ホームページの作成後に編集や機能の追加が可能
  • 記事やカテゴリ、タグといったコンテンツモデルを自由に作成可能
  • 管理画面の入力フォーマットに縛らないコンテンツの設計が可能
  • サイト全体をCMSに移行して作り直す必要がない

また、開発の自由度が高いと、パフォーマンスやセキュリティが強化されたWebサイトを作れます。

セキュリティ面を強化できる

一般的に動的ファイルは、サイバー攻撃のターゲットにされる傾向があります。従来型CMSは、Webサイトがサーバーとやりとりをする際、動的にファイルを構成して表示するケースが多く、攻撃されやすくなる箇所が増えてしまいます。

例えば、WordPressはたくさんの実績がある半面、脆弱性対策情報データベースには9,000件以上の脆弱性報告が挙げられています。

その点、ヘッドレスCMSはフロントエンドに静的ファイルのみ配置されることから、外部に公開されているのは表示面のみです。そのため、内部的な構造がわかりづらく、従来のCMSよりはセキュリティ面のリスクは抑えられます

他サービスとの連携が容易

ヘッドレスCMSは、APIを利用して多様なサービスと連携ができます。例えば、ブログをCMSで作成し、XなどのSNSと連携をしてブログ投稿と同時に配信することや、サロンの予約システムと連携することなどが挙げられます。

CMSと連携すれば、ヘッドレスCMSのコンテンツを他サービスへ展開する他、顧客データをヘッドレスCMSに取り込むといったサービスの拡張が可能です。

マルチデバイスに対応できる

フロントエンドが独立していることで、マルチデバイスにも対応します。ヘッドレスCMSは、別システムとのAPI連携によってコンテンツを提供しているためです。提供されたデータは、iOSアプリやAndroidアプリ、Webサイトなどで表示できます。

ヘッドレスCMSのデメリット

バックエンドに特化することでさまざまなメリットが生まれましたが、デメリットもあります。

ここでは、ヘッドレスCMSのデメリットを3つ紹介します。

高度スキルを持った開発者が必要

従来型CMSには、WordPressというエンジニア以外でも導入・設定・運用ができるものがあります。一方、ヘッドレスCMSはサーバーやデータベースを自社設置し、専門的な知識を持ったエンジニアが設計・運用を行う必要があります。

ヘッドレスCMSを用いた開発で必要となるスキルは次の通りです。

  • コンテンツモデリング(テーブル設計)
  • Webデザイン・UIデザイン
  • フロントエンドフレームワーク・ホスティングサービスの選定
  • フロントエンドの実装(HTML、CSS、JavaScript)
  • ホスティングサービスの設定
  • 自動デプロイの設定
  • APIに関する知識

このように、ヘッドレスCMSを運用するためには多くの技術が求められます。

プレビュー機能が別途必要

ヘッドレスCMSを導入しただけでは、コンテンツがどのように表示されるのか確認できません。なぜなら、フロントエンド機能が備わっておらず、ビューワーがないからです。そのため、プレビュー表示も自分たちで追加する必要があります。

ただし、ヘッドレスCMSにプレビュー表示機能を搭載すると、構造が複雑化するリスクが伴います。

動的な機能には外部ツールが必要

ヘッドレスCMSは、静的ファイルのみの配置で動的なデータのやり取りに対応していません。そのため、ヘッドレスCMSでデータベースや入力フォームなどの動的な機能を利用したい場合は、外部ツールが必要です。

例えば、フォームの送信やユーザーのインタラクションを処理するために、外部のバックエンドサービスやサーバーレス機能を活用することが求められます。

ヘッドレスCMSの代表例

ヘッドレスCMSは、プラットフォームによってさまざまな魅力があります。導入する際は、どのような機能が欲しいか考えて選びましょう。

ここでは、代表的なヘッドレスCMSを5つ紹介します。

Strapi

Strapiは、Node.js環境で動作するサービスです。オープンソースのため、完全無料で利用できます。特徴として、1行のコマンドで簡単に始められる「クイックスタート」と、カスタマイズの自由度が高い点が挙げられます。GatsbyやNext.jsといった多くのSSGや、フロントエンド技術と組み合わせて利用することが可能です。

Ghost

Ghostは、Strapiと同じくNode.js環境で動作するサービスです。最大の特徴は、メディアやブログの構築に特化している点で、ニュースレターやアナリティクス、メンバーシップなどが標準搭載されています。

また、ブログ運営に必要なアコーディオンやギャラリーをはじめとする、リッチコンテンツの挿入にも対応しています。従来型CMSの中で世界一のシェアを誇る「WordPress」に近い構造を持っており、今までWordPressを使ったことがある方はすぐになじむでしょう。

Contentful

Contentfulは、ドイツ発、APIベースのクラウドサービスです。コンテンツの入稿へマークダウンが利用できることや、画像を自動でリサイズするといった機能の多彩さが特徴です。

また、世界中で利用されているサービスのため、ドキュメントが豊富にあります。問題が起きても、解決につながる情報にたどりつきやすいでしょう。

MicroCMS

MicroCMSは、Contentfulと同じくAPIベースのクラウドサービスです。日本のmicroCMS社が開発しているため、日本語のコンテンツ投稿はもちろん、管理画面も日本語を標準で利用できます。

また、CMSでおなじみの権限管理や予約公開、imgixを利用した画像の高速配信が得意です。imgixは、サイト表示の高速化を担う他、画像に対し適切なパラメーターを付与するだけでその場に応じたサイズや品質、加工処理を施します。

さらにMicroCMSでは、日本語でのドキュメントやサポート体制に力を入れています。PanasonicやBenesseといった日本の大企業による導入事例が豊富です。スタートアップ企業からの人気も強い、有望なサービスといえます。

Cosmic

Cosmicは、アメリカのスタートアップ企業「Cosmic Inc」が開発および運営しているヘッドレスCMSです。「開発者による開発者のためのヘッドレスCMS」をコンセプトに、開発者に寄り添った更新を行っています。充実したコンテンツ管理機能に加え、ホスティングサービスの利用が可能です。

また、コーディングすればツールやフレームワークを自由に組み替えできる他、APIや他のアプリケーションと連携する機能も充実しています。そのため、開発者目線のプラットフォームといえます。

まとめ

これまで選ばれてきたWordPressといった従来型のCMSは、運用するうえで限界があります。そこで生まれたのがヘッドレスCMSです。ヘッドレスCMSは、バックエンド機能に特化しており、多様性に対応するCMSです。ヘッドレスCMSは、APIを利用してコンテンツを配信するため、さまざまなデバイスやプラットフォームでの利用が可能です。

また、セキュリティ面や検索エンジンの評価向上などは、ヘッドレスCMSでしか得られないメリットといえます。動的なコンテンツ生成が不要なため、攻撃対象が減少し、表示速度が速くなることでSEOにも有利です。WebサイトをCMS化したい方はヘッドレスCMSの運用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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