GitHubとは?メリットやデメリット・注意点を解説!使い方や用語・基礎知識まとめ
ソフトウェア開発の現場ではコードの管理や共同作業が欠かせません。そのために必要なツールの一つが「GitHub」です。
GitHubは、世界中の開発者たちが集い、コードを共有し共同でプロジェクトを進めるためのプラットフォームです。オープンソースプロジェクトや企業内のチーム開発、個人のプライベートプロジェクトまで、幅広い用途で利用されています。
しかし、GitHubを活用するには、その背後にある「Git」というバージョン管理システムの理解が不可欠です。GitHubは、このGitをベースにしたサービスであり、コードの変更履歴を記録し、複数人での効率的な開発をサポートする機能が満載です。
この記事では、GitHubの概要とメリット、デメリット・注意点や使い方・手順を紹介します。
GitHubとは
GitHubは、Git(ギット)の仕組みを利用してソースプログラムなどを共有・保存したり、バージョンバージョン管理を行うためのプラットフォームです。
ソフトウェアの開発では、同時に複数のメンバーで作業するケースも少なくありません。GitHubはそのような状況で、いつ・誰が・何を・どのように変更したのか詳細にわかる機能を備えているため、多くの開発現場で利用されています。
まずは、Gitの概要とともにGitHubの特徴を見ていきましょう。
そもそもGitとは
Gitとは、ソフトウェア開発における分散型のバージョン管理システムのことです。リーナス・トーバルズによって開発されて以来、オープンソースプロジェクトから企業のソフトウェア開発まで、幅広く利用されています。
Gitの主な目的は、ソースコードのバージョンを管理し、複数の開発者が同時に作業する際の競合を避けることです。GitHubはこのGitを基盤にしており、プロジェクトの管理や開発者間のコラボレーションを容易にするための機能を提供しています。
GitHubの特徴
ソフトウェア開発に欠かせないサービスとなったGitHubには、2つの特徴があります。
- ソースコードのバージョンを管理できる
前述の通り、GitHubに登録されたソースコードは、バージョンを管理できます。いつ・誰が・何を・どのように編集したのか記録しているため、わからなくなることはありません。また、記録を確認することによりバグの修正や機能追加、フィードバックなどを素早く簡単に行なえるため、複数のメンバーで開発する際の開発効率が大幅に向上します。
- Gitよりも強化されたプロジェクト管理とコラボレーション機能
Gitはソースコードのバージョン管理に特化していますが、GitHubはこれに加えてプロジェクト管理やコラボレーション機能を強化しています。例えば、プルリクエスト機能を使って、コードの変更内容をレビューし、チームメンバーと協議した上でプロジェクトに反映させることができます。また、イシュー(課題)管理やWiki、プロジェクトボードなど、プロジェクト全体を包括的に管理するためのツールも提供されています。これにより、チーム全体でのコミュニケーションと協力が促進され、開発作業が円滑に進行します。
GitHubの料金プラン
GitHubは、個人やチームのニーズに応じた複数の料金プランを提供しています。無料プランでは、無制限の公開リポジトリと非公開リポジトリが利用可能で、個人開発やオープンソースプロジェクトに最適です。
無料プランでも、基本的な機能はすべて利用できますが、チームでの共同作業に必要な機能を拡張したい場合は、有料プランを検討するとよいでしょう。たとえば、GitHub ProやTeamプランでは、より高度なアクセス制御、プライベートリポジトリの無制限利用、優先サポート、詳細な分析機能などが利用可能です。
また、大規模な企業向けには、GitHub Enterpriseが提供されており、オンプレミスでの運用や大規模チーム向けのカスタマイズ機能、強力なセキュリティオプションなどを備えています。プロジェクトや組織の規模に応じて最適なプランを選ぶことが、効率的な開発運用に役立ちます。
GitHubのメリット
GitHubは、なぜ多くのプログラマーから支持されているのでしょうか。それは、使うことによってさまざまな効果が期待できるからです。ここでは、4つのメリットを紹介します。
開発効率や品質の向上
GitHubで最も大きなメリットといえば、開発効率や品質の向上でしょう。例えば、共有フォルダを使ってソースプログラムを管理する場合、共同で編集するメンバーが多ければ多いほど、どれが最新版のプログラムかわかりにくくなります。本来なら上書きしてはいけないファイルを、誤って上書きしてしまうなど、トラブルの原因にもなりかねません。
しかし、GitHubを使えば、すべての変更履歴が自動的に記録され、どのバージョンが最新でどのような変更が行われたかを簡単に把握できます。これにより、チーム全体での作業がスムーズになり、バグの発見や修正も迅速に行えるようになります。
公開/非公開でファイルを保存・管理できる
GitHubは、無料プランであっても公開/非公開でファイルを保存・管理できます。例えば、複数のメンバーで共有したい場合は公開に設定して管理し、コードをバックアップしたい場合は非公開に設定して管理できるのです。
ファイルを公開すると世界中の人と共有できるため、共に学び合ったりアドバイスを受けたりできます。結果として、より質の高いコードが書けるようになるでしょう。
GitHubを利用するときは、公開と非公開をうまく使い分けるのがコツです。
他者の作成したファイルを検索・閲覧できる
GitHubには、他者が作成したファイルを検索・閲覧できる機能が備わっています。つまり、GitHubで検索することで、山のように存在する公開ファイルから参考になるものを探し出せるのです。「使用例が知りたい」や「コーディングの仕方がわからない」ときなどに役立ちます。
また、他者が作成したソースプログラムを参考にすることは、自身のスキルアップにもつながるため、GitHubで興味があるファイルを検索して積極的に閲覧してみましょう。
コミュニティ機能を利用できる
GitHubには、開発者同士がコミュニケーションを取れるコミュニティ機能が充実しています。GitHub Communityなどのフォーラムでは、機能の使い方や開発に関する質問を気軽に投稿でき、他の開発者からのアドバイスを得ることができます。
また、オープンソースプロジェクトでは、さまざまな国の開発者が共同で作業を進めており、その過程で知識を共有し合うことができます。GitHubのコミュニティ機能を活用することで、技術的な問題を解決するだけでなく、ネットワークを広げ、プロジェクトをさらに発展させることができます。
GitHubのデメリット・注意点
GitHubには、多くの利点がある一方で、いくつかのデメリットや注意点も存在します。
まず、GitHubを効果的に運用するためには、プロジェクトや案件に合った運用設計が必要です。このため、初期設定やワークフローの構築に時間がかかる場合があります。特に、大規模なプロジェクトや複雑なワークフローを持つ開発チームにとって、最適な設定を見つけるまでのプロセスは煩雑で時間がかかることがあります。
また、GitHubには、プロジェクトや案件に合った運用設計に時間がかかる、学習や教育コストが高いといったデメリットもあります。Git自体が強力なツールである一方、その操作や概念に慣れるまでに時間がかかるため、新しい開発者やチームメンバーに対する教育が必要です。
さらに、GitHubはクラウド上にソースコードを管理する仕組みであるため、情報漏洩のリスクが伴います。ソースプログラムをローカル環境で管理しているのであれば、流出する確率はそれほど高くありません。しかし、クラウド上にソースプログラムを公開する仕組みは、情報漏洩のリスクが高くなるのです。
セキュリティのベストプラクティス
GitHubを使用する際、セキュリティを考慮することは非常に重要です。
まず、機密情報(APIキー、パスワードなど)をリポジトリに含めないことが基本です。これには、環境変数を使用して機密情報を管理する方法や、.gitignoreファイルを使って特定のファイルをリポジトリに含めないようにする方法が含まれます。
また、リポジトリのアクセス権限を適切に管理することも重要です。特に公開リポジトリでは、プルリクエストをレビューしてからマージするなどの対策を講じることで、コードの安全性を保つことができます。
さらに、GitHubには依存関係の脆弱性を自動的に検出する機能も備わっており、これを活用してセキュリティリスクを未然に防ぐことが推奨されます。
GitHubの使い方・手順
GitHubを使う際は、アカウントの作成・登録が必要です。ここでは、GitHubの使い方や手順について解説します。
- アカウント作成・登録
Gitをインストールした後、GitHubのトップページ(https://github.com/)にアクセスし、アカウント作成・登録します。
- リモートリポジトリを作成
アカウントの作成・登録が終わったら、リモートリポジトリを作成しましょう。 なおリポジトリには、GitHub上に存在するリモートリポジトリと、ローカル環境に存在するローカルリポジトリがあります。ローカルリポジトリで開発したら、リモートリポジトリにアップロードするのが基本的な使い方です。
- ローカルリポジトリを作成
ローカル環境にローカルリポジトリを作成します。リモートリポジトリをクローンすることで、リモートリポジトリの内容をローカルにコピーすることが可能です。これにより、オフラインでも開発作業を進めることができます。
- ファイルの作成と編集
ローカルリポジトリ内で、プロジェクトのコードやファイルを作成し、編集を行います。編集が完了したら、ファイルをステージングエリアに追加(インデックスに追加)し、その後、変更をローカルリポジトリにコミットします。
- ファイルの作成/変更/削除をインデックスに追加
新規ファイルの作成や既存ファイルの変更・削除を行った場合、それらをインデックスに追加する必要があります。この操作を「ステージング」と呼びます。ステージングエリアに追加されたファイルは、次回のコミット時にリポジトリに反映されます。
- ローカルリポジトリに変更内容をコミット
ステージングエリアに追加された変更内容をローカルリポジトリにコミットします。コミット時には、変更内容を説明するメッセージを付けることで、変更の履歴をわかりやすく管理することができます。
- リモートリポジトリにアップロードし反映
最後に、ローカルリポジトリの変更内容をリモートリポジトリにプッシュします。これにより、リモートリポジトリに新しいバージョンが反映され、他のメンバーと共有することができます。
GitHubを使う上で知っておきたい用語・基礎知識
GitHubを使ううえで知っておきたい用語や基礎知識を5つ紹介します。
リポジトリ
リポジトリは、バージョンを管理したいファイルやディレクトリを記録・管理する場所です。「ローカルリポジトリ」と「リモートリポジトリ」があります。ローカルリポジトリで開発を進め、最終的にリモートリポジトリに変更をプッシュして共有します。
コミットとプッシュ
ローカルリポジトリに変更内容を反映させる機能が、コミットです。コミットを行うと、変更内容がローカルリポジトリに記録され、後で確認したり、過去の状態に戻したりすることができます。
一方、ローカルリポジトリの中身をリモートリポジトリに反映させる機能がプッシュです。プッシュによって、リモートリポジトリが最新の状態に更新され、他の開発者と変更を共有することができます。
クローン
クローンとは、リモートリポジトリを自分のローカル環境にコピーする機能のことです。ほかのメンバーが変更を行ったリモートリポジトリを丸ごとコピーして作業できます。
クローンしたリポジトリは、ローカルリポジトリとして扱われ、変更を行った後にプッシュすることで、リモートリポジトリに反映されます。
フォーク
他のメンバーのリポジトリをコピーして編集する機能が、フォークです。アクセス権・編集権がないリポジトリでも、ローカル環境に取り入れられます。この機能を使って取り入れたファイルを編集しても、元のリポジトリには影響を与えません。
これにより、オープンソースプロジェクトに貢献したり、自分のプロジェクトとして発展させたりすることができます。
ブランチ
ブランチは、リポジトリ内で異なるバージョンの開発を並行して進めるための機能です。主に、バグ修正や新機能の開発を別々のブランチで行い、他のブランチに影響を与えることなく作業を進められます。
メインのブランチ(通常は「main」または「master」と呼ばれる)に対して、別のブランチで作業を行い、完了したらマージするのが一般的な流れです。
プルリクエスト
ローカルリポジトリで行った変更を、他のメンバーに通知する機能が、プルリクエストです。ソースプログラムの変更内容をレビュー担当者やマージ担当者などに通知する際に使います。
プルリクエストは、チーム開発においてコードの品質を保ちつつ、円滑なコラボレーションを実現するために欠かせないプロセスです。
マージ
マージとは、プルリクエストを受け取ったレビュー担当者やマージ担当者などが「承認」することで、自身のリポジトリへマージ(統合)させる機能です。
反対に「拒否」した場合は、マージされません。マージは複数のメンバーで開発するときによく行われます。
まとめ
複数のプログラマーが同時に作業することが多いソフトウェア開発において、ソースプログラムなどを共有・保存、およびバージョン管理できる「GitHub」を使いこなすスキルは必須です。
GitHubを効果的に使いこなせれば、開発効率や品質の向上が図れ、プロジェクトの成功に大きく貢献できます。また、GitHubの基本を押さえておくことは、プログラマーの今後のキャリアにおいても非常に重要です。より高品質なソフトウェアを迅速に提供できるように、GitHubを積極的に学びましょう。