メール送信サーバー「SMTPサーバー」とは?POP・IMAP・DNSサーバーとの違いやエラーと対処法を徹底解説

ビジネスシーンでも日常的にも利用されているメール。しかし、メールを送信しようとした際に「550エラー」「554エラー」といった謎のメッセージが表示され、うまく送信できず困った経験はないでしょうか。こうしたエラーの多くは「メール送信サーバー」に関わる問題が原因です。
メールの仕組みは一見シンプルに見えて、実は複数の専門的なサーバーが連携して成り立っています。中でもメールを外部に送り出す役割を担う「SMTPサーバー(メール送信サーバー)」はメール送信時の重要なポイントです。正しく設定されていなかったり接続時に認証がうまくいっていなかったりすると、送信がブロックされたり、迷惑メール扱いされたりすることがあります。
また、メールの送信が失敗した場合には、「Mail Delivery Subsystem」や「MAILER-DAEMON」といった差出人からエラーメールが返ってきますが、多くの方はその内容を十分に読み解けていないのが実情です。しかし、エラーメッセージには具体的な原因とヒントが含まれており、内容を理解することで素早くトラブルに対応できるようになります。
この記事では、メールに使われる各種サーバーの説明とよく発生する代表的なメール送信エラー(550、551、552、553、554)について、それぞれの意味や原因、具体的な対処法を詳しく解説します。

メール送信サーバー「SMTPサーバー」とは
まずはメールサーバーの仕組みについて押さえておきましょう。メールサーバーとはメールの送受信を支えるサーバーのこと。送信したメッセージが正確に宛先へ届くよう、いくつかの専用サーバーが連携して動作しています。
メールの基本的な流れとしては、Outlookなどのメールソフトで作成・送信したメッセージが自分のメールサーバーを経由して宛先のメールサーバーに転送され最終的に受信者のメールソフトに届きます。
このとき、送信・転送の役割を担っているのが「SMTPサーバー」です。メールアドレスの「@(アットマーク)」以降にあるドメイン名ごとにSMTPサーバーが存在します。「SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)」は、日本語で「簡易メール転送プロトコル」と訳され、名前のとおりメールを転送するための基本的な仕組みを提供しています。
メールソフトからメッセージを送る際、SMTPサーバーは「DNSサーバー」に問い合わせて送信先のメールサーバーの情報を取得し、その宛先へメッセージを中継します。郵便にたとえるなら、SMTPサーバーは手紙を投函したときに最寄りの郵便局まで運ぶ配達員のような存在です。
SMTPサーバーと他サーバーの違い
メールの送受信には以下のような複数のサーバーが連携して機能しています。それぞれの役割を理解しておくとメールトラブルの原因を特定しやすくなります。
- SMTPサーバー:送信・転送を担当
- POPサーバー:受信したメールを端末にダウンロード
- IMAPサーバー:受信メールをサーバー上で管理・閲覧
- DNSサーバー:宛先ドメインのIPアドレスを解決
それぞれのサーバーの特徴を見ていきましょう。
POPサーバーとは
「POP(Post Office Protocol)」サーバーは、SMTPサーバーから送られてきたメールを一時的に保管し、受信者の端末へダウンロードする役割を持つ受信専用サーバーです。現在主流のバージョンは「POP3」と呼ばれるものです。
メールは受信者側のSMTPサーバーで受け取られた後、POPサーバーに渡されユーザーのメールソフトからアクセスされると端末にダウンロードされます。こうすることでオフライン環境でもメールを閲覧することが可能になります。また、POP方式では基本的にサーバー上のメールは削除されるため、サーバー容量を節約できるというメリットがあります。
IMAPサーバーとは
「IMAP(Internet Message Access Protocol)」サーバーも受信専用ですが、POPと異なりメールをサーバー上に保管したまま閲覧できます。メールソフトはその都度、サーバーにアクセスしてメールを読み込む仕組みになっています。
IMAPの特徴は、複数端末から同じメールを閲覧・管理できる点です。例えば、自宅のパソコンで読んだメールを、外出先のスマホでも確認できます。こうした理由から、スマホやタブレットなどストレージ容量の少ない端末では、IMAP方式が好まれます。
DNSサーバーとは
「DNS(Domain Name System)」はドメイン名とIPアドレスをひも付ける仕組みです。そしてDNSサーバーは送信先ドメインのIPアドレスを特定する役割を担います。
メール送信時には送信側のSMTPサーバーがDNSサーバーに問い合わせて、送信先のメールサーバー(SMTPサーバー)の場所(IPアドレス)を割り出します。これによって、宛先が正しく識別され、メッセージが迷わず届くのです。厳密にはDNSサーバーは「メールサーバー」そのものではありませんが、SMTPサーバーが正常に動作するためには欠かせない存在といえるでしょう。
メールサーバーの設定方法
メールを使うためにはメールソフトやアプリに「メールサーバー」の設定が必要です。ここでは、よく使われているOutlookとGmailでの設定方法を例にご紹介します。
Outlookでの設定方法(PC版)
- Outlookを起動し、「ファイル」タブをクリック
- 「アカウントの追加」を選択
- メールアドレスを入力して「接続」をクリック
- パスワードを入力して「OK」→「完了」をクリック
これだけでOutlook側が自動的に設定を進めてくれます。うまくいかない場合は、手動設定でサーバー情報(受信・送信サーバーやポート番号)を入力する必要があります。
Gmailアプリでの設定方法(スマートフォン)
- Gmailアプリを開き、画面右上のプロフィールアイコンをタップ
- 「別のアカウントを追加」を選択
- 追加したいアカウントの種類(Google/Outlook/Yahooなど)を選ぶ
- 表示される案内に従ってログイン・追加する
設定が完了するとGmailアプリ内で複数のアカウントを簡単に切り替えて利用できるようになります。通知設定も個別に管理可能です。
Gmail(PCブラウザ)での設定方法
- ブラウザでGmailにログイン
- 右上の歯車アイコンから「すべての設定を表示」を選ぶ
- 「アカウント」または「アカウントとインポート」タブをクリック
- 「他のアカウントでメールを確認」→「メールアカウントを追加する」をクリック
- 追加したいメールアドレスを入力し、「次へ」をクリック
- 「Gmailifyでアカウントをリンクする」か、POPでの取り込みかを選び、手順に従って進める
設定が完了するとGmail上で他のメールアドレスの受信メールを確認・返信できるようになり、管理がよりスムーズになります。
設定時の注意点
メールソフトでサーバー設定を行う際には、以下のような点に注意が必要です。
- 接続方法として「POP」または「IMAP」を選ぶ必要がある(IMAP推奨)
- メールソフトによっては、POPしか設定できないことがある
- サーバー情報はメールサービス提供元の案内を確認する
- セキュリティソフトの影響やメールサーバー側の障害により設定がうまくいかないこともある
例えば、会社のセキュリティポリシーで外部メールサービスとの接続がブロックされている場合、通常の手順では設定できないケースもあります。その場合はネットワーク設定やセキュリティ設定を見直す必要があります。
メールサーバーの設定において知っておくべきこと
メールサーバーの設定を行う際には「SMTP認証」と「Outbound Port 25 Blocking」という2つのキーワードを理解しておくことが重要です。どちらもメールの送信に深く関わる仕組みであり、セキュリティ対策としても非常に大切です。
SMTP認証とは
SMTP認証(SMTP-AUTH)とはメール送信時にユーザー名とパスワードを使って送信者の正当性を確認する仕組みです。これにより、不正なユーザーが勝手にメールを送ることを防ぐことができます。
もともとSMTPは非常にシンプルなプロトコルで認証機能がなく誰でもメールを送信できてしまう仕組みでした。そのため、スパムメールやなりすましによる被害が多発するようになり、SMTP認証が導入されました。認証方式にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。
- LOGIN
エンコードしたユーザー名とパスワードを個別に送信。暗号化プロトコルとの併用が前提です。 - PLAIN
平文で認証情報を送る形式。セキュリティ上の懸念があるため、暗号化と併用するのが一般的です。 - CRAM-MD5
共通パスワードとハッシュによる挑戦応答方式。セキュリティは高めですが、現在はあまり使われていません。 - XOAUTH / XOAUTH2
トークンベースの認証方式で、GmailやOutlookで採用されており、今後さらに主流になると考えられています。
SMTP認証を導入するにはメールサーバー側とクライアント(ユーザー側)両方での設定が必要です。以下のような確認と対応が必要になります。
- メールサーバーでSMTP認証が有効か確認する
- 暗号化(TLSやSSL)と組み合わせて通信経路を保護する
- メールソフトでユーザー名・パスワードを入力し、適切な認証方式を選ぶ
例えば、古いソフトやサーバーでSMTP認証の設定がされていないとメールが送れなくなる可能性があります。
なお、SMTP認証はユーザー名とパスワードを利用するレガシー方式であるため、パスワードの強度を高めたり必要に応じて多要素認証(MFA)を併用するなど、追加のセキュリティ対策も大切です。
Outbound Port 25 Blocking(OP25B)とは
メール送信に使われる通信ポートには「25番ポート」があります。これはSMTPの標準ポートとして広く使われてきましたが近年ではスパム対策の一環として「Outbound Port 25 Blocking(OP25B)」という制限が導入されています。
OP25Bはプロバイダやクラウドホスティング事業者が迷惑メール防止のため、個人ユーザーが25番ポートから外部にメールを送信することを制限する仕組みです。この影響を受けるとメールが正常に送信できなくなることがあります。その代わりに使われるのが以下のポート番号です。
- 465番ポート
SSL/TLSによる暗号化通信に対応したSMTP送信用ポート - 587番ポート(サブミッションポート)
SMTP認証に対応し、正規のユーザーのみが利用できる安全な送信専用ポート
つまり、現代的なメール送信環境では「SMTP認証 + 587番ポート」の組み合わせが主流となっています。25番ポートは基本的にメールサーバー間の転送用としてのみ使われるケースがほとんどです。
メールサーバーのエラーと対処方法
メールを送信したときやサーバーの設定直後などにエラーが発生することがあります。エラーが起きると、「Mail Delivery Subsystem」や「MAILER-DAEMON」などの差出人からエラーメールが届くことがありますが、これは送信失敗の通知です。エラーメッセージには原因が記載されているため内容を確認することが解決への第一歩になります。ここでは代表的なエラーコードとその原因、対処法について紹介します。
550エラー:宛先が見つからない
送信先のメールアドレスが誤っている場合などに発生します。特に「@」以降(ドメイン)や「@」より前(ユーザー名)の誤りによって、表示されるエラーが少し異なります。
- 「550 Host Unknown」「DNS Error」「host not found」→ドメイン名の誤り
- 「550 User Unknown」「Invalid recipient」→ユーザー名の誤り
対処法は以下の通りです。
- メールアドレスにスペルミスがないか確認
- 相手先に正確なメールアドレスを確認
- 不明な点があれば、ドメインの有効性をチェック
551エラー:宛先が無効
「551 Access denied」などと表示され、送信先が有効でない場合に起こります。メールアドレスの入力ミスや、アカウントの削除・無効化が原因です。対処法は以下の通りです。
- メールアドレスのスペルを再確認
- 相手のメールアドレスが現在も使われているか確認
- ドメインの契約更新がされているか、相手に確認してみましょう
552エラー:メールの容量が大きすぎる
添付ファイルが大きすぎたりメール本文が長すぎたりすると、相手の受信ボックスに入りきらず「552 Message is too large」などのエラーが返ってきます。対処法は以下の通りです。
- 添付ファイルをZIP形式で圧縮
- メールを複数回に分けて送信
- Google Driveなどクラウドストレージのリンク共有を活用
- 送信先に、メールボックスの空き容量を確認してもらう
553エラー:送信側の問題
「553 Recipient is not local」などと表示され、送信元のアドレスが不正と判断された際に出るエラーです。送信認証の設定不足やアドレスの入力ミスが原因のことが多いです。対処法は以下の通りです。
- メールソフトのSMTP認証が有効になっているか確認
- 送信元のメールアドレスの入力ミスをチェック
- SMTPサーバーに正しくログインできているか確認
554エラー:さまざまな理由による拒否
554エラーは原因が複数あり、メッセージ内容をよく確認する必要があります。
- 「554 Service unavailable」→サーバーが一時的に停止・過負荷状態
- 「554 5.7.1 <送信先>: Relay access denied」→SMTP認証が未設定
対処法は以下の通りです。
- 送信先サーバーの状況を確認(メンテナンスや停止中の可能性)
- SMTP認証を有効に設定することで、Relay制限を回避
エラー時にまず確認すべきこと(チェックリスト)
メール送信時にエラーが発生した場合、焦って対応するよりもまずは基本的な原因を一つひとつ丁寧に確認することが大切です。特に設定や入力内容の見直しによって解決するケースが多く確認すべきポイントをあらかじめ把握しておくことで、トラブル時の対応が格段にスムーズになります。
- アドレスのスペルミスはないか
- SMTP認証が設定されているか
- 添付ファイルの容量が大きすぎないか
- 相手のメールサーバーが正常に動いているか
- 迷惑メール扱いされていないか
上記のチェックポイントを一つずつ確認することで多くの送信エラーは原因を特定して解決することができます。特にビジネスシーンではエラーの放置が信頼損失につながることもあるため、迅速な対応が重要です。
メール送信の安定性を高めるならメールリレーサービスを導入する
メール送信におけるエラーの多くはSMTPサーバーの設定不備や認証ミス、プロバイダーによるポート制限(OP25B)など環境依存のトラブルが原因となっています。こうしたトラブルを最小限に抑える手段のひとつがメールリレーサービスの活用です。
メールリレーサービスは信頼性の高い外部SMTPサーバーを中継することで、到達率の向上・設定の簡素化・IPウォームアップの負担軽減など多くのメリットがあります。特にビジネス用途で一斉送信や通知メールを安定して届けたい企業にとっては有効な選択肢です。
おすすめのメールリレーサービス「blastengine(ブラストエンジン)」

ブラストエンジンは、SMTPリレーサーバーを使用して、簡単に大量のメールを高速配信することが可能です。さらに、メールサーバーを必要とせず、API経由でメールを送信する仕組みも提供しています。
ブラストエンジンはサーバーの運用やメンテナンスを行っているため、常に高いIPレピュテーションを維持しながら安全にメールを送ることができます。以下のような課題がある場合はブラストエンジンの利用を検討してみることをおすすめします。
- レンタルサーバーから配信しているメールが届かない
- 自社のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていてメールが届かない
- スパム判定を避けながら、大量のメールを確実に届けたい
- 国内キャリアにメールが届かず、対応方法がわからない
- 自社でメールサーバーを管理・運用したくない
また、ブラストエンジンは各メールプロバイダーや携帯キャリアのドメインに最適化されており、大規模なネットワークを経由してメール配信を行うことで、日本国内での到達率を圧倒的に高めています。SPF / DKIM / DMARCなどの最新のメール認証技術に対応しており、迷惑メール判定を回避する対策が整っています。
利用料金は月額3,000円からとコストパフォーマンスにも優れており、メールだけでなく日本語での電話サポートにも対応しているため、技術的な不明点も安心して相談できます。
メールアドレスの入力のみで無料トライアルが可能ですので、まずは気軽にお試しください。
まとめ
メール送信時に発生するエラーの多くはSMTPサーバー(メール送信サーバー)の設定ミスや認証の不備、アドレス入力の誤りが原因です。特に「550」「554」などのエラーメッセージは一見わかりづらいですが、その内容を正しく読み取ることで問題をスムーズに解決できます。
今回ご紹介したように、エラーコードごとの特徴と対処法を理解しておくことは日々の業務や大切な連絡の信頼性を守るためにも非常に重要です。また、SMTP認証やメールの容量制限、ポート番号の使い分けなど、基本的な送信サーバーの仕組みを押さえておくだけでトラブルの多くは未然に防ぐことができます。
今後、同じようなメールトラブルに出くわした際はこの記事の内容を思い出して落ち着いて対応してみてください。メール送信サーバーへの理解がトラブル知らずの快適なメール運用のカギになります。
