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Amazon SESとは?仕組み・メリット・料金・代替サービスを徹底解説!

更新日:
執筆者: 森神 佑希

「Amazon SESとは何か?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。ビジネスで大量のメールを配信したいけれど、コストを抑えたい、サーバー運用の手間を減らしたい…そんな悩みを解決してくれるのが、Amazon SES(Simple Email Service)です。

Amazon SESはAWSが提供するフルマネージド型のメール配信サービスで自社でサーバーを構築しなくても簡単に大量のメールを送れるのが特長です。例えば、購入完了通知やパスワードリセットメール、会員向けのニュースレターなど、さまざまな用途で活用されています。

一方で、審査の厳しさや運用時のモニタリング、バウンス対応など、導入前に把握しておくべき注意点もあります。さらに、他の代替サービスとの比較も大切です。本記事ではAmazon SESとはどんなサービスなのか、メリットやデメリット、料金体系、そして代替サービスについて分かりやすく解説します。

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Amazon SESとは

AWSが提供するサービスのひとつ、Amazon SES(Simple Email Service)はフルマネージド型のメール配信サービスです。AWS環境であれば自分でメールサーバーを構築・管理しなくても、サービスを有効化するだけでメールを送信できます。

メール配信はビジネスにおいて会員獲得やセールの告知など、マーケティング活動に欠かせない手段のひとつです。他のメール配信サービスを利用してももちろんメッセージを配信できますが、Amazon SESは比較的低コストで導入でき、配信先の設定や配信結果の分析なども行えるのが大きな魅力といえます。

なお、Amazon SESはメールの受信も可能ですが、受信したメッセージはAWS内の特定の領域(S3バケットなど)に保存されるため、スマホやパソコンのメールソフト(メーラー)では直接受信できません。こうした特徴から、送信専用として利用されるケースも多く見られます。例えば、Amazon SESを構築して利用する際は、以下のような手順を踏むことが一般的です。

  • AWSアカウントでログインする
  • SESを開いて送信元のメールアドレスを登録・認証する
  • 確認のため自分のメールアドレス宛に送信テストを行う
  • 送信制限を解除するための緩和申請を出す
  • 外部のメールアドレスにも送信できるようSMTP認証情報を作成する
  • 普段利用しているメールクライアントからテスト送信を行う

AWS SNSとの違い

AWSにはAmazon SESと名前がよく似たサービスとして「Amazon SNS(Simple Notification Service)」があります。SNSは主にユーザーへの通知機能を提供するサービスで、サーバーレスで簡単に通知機能を利用できるのが特長です。例えば、商品発送の完了通知や商品購入時のプッシュ通知などが実装例として挙げられます。

一方、Amazon SESはメール送信に特化したサービスで、送るメッセージの内容を柔軟にカスタマイズでき、用途に応じた使い分けが可能です。それに対してAmazon SNSは送信する通知の内容やタイミングをあらかじめ登録しておく必要があり、SESと比べると自由度はやや低めです。それぞれ、以下のような違いがあります。

  • Amazon SES
    メール配信に特化、コンテンツの自由度が高い、マーケティングや大量配信に適する
  • Amazon SNS
    通知機能に特化、プッシュ通知やSMS送信などに強い、リアルタイム通知に向いている

名前が似ているため混同しやすいもののメール配信か通知機能かという点で役割ははっきり分かれています。ビジネスやマーケティングの目的に合わせて最適なサービスを選ぶことが大切です。

SMTPとAPIの2つの送信方式

Amazon SESには、大きく分けて2つの送信方式があります。既存システムとの連携方法を決める重要なポイントなので、違いを理解しておきましょう。

ひとつはSMTPインターフェースを使う方法です。多くのアプリケーションやメールソフトはSMTP送信に対応しているため、送信先サーバーの設定をSESのSMTPエンドポイントに切り替えるだけで利用を開始できます。既存システムの改修を最小限に抑えたい場合に向いています。

もうひとつはAPI(SES API)を使う方法です。プログラムから直接APIを呼び出してメールを送信する方式で、送信内容を細かく制御したい場合や、アプリケーションに深く組み込みたい場合に適しています。どちらを選ぶかは、既存システムの構成と求める柔軟性次第です。

Amazon SESの特徴・メリット

メール配信にAmazon SESを利用することで低コストで導入できることや、拡張性の高さなど、さまざまなメリットがあります。Amazon SESをうまく活用するためには、こうした特徴をしっかり把握しておくことが大切です。ここではAmazon SESを使うことで得られる主なメリットをご紹介します。

拡張性が高い

Amazon SESはAWSの堅牢なインフラ上で動作しているため、高い信頼性と自動的なスケーラビリティを備えています。スケーラビリティとはシステムやソフトウェアの拡張性を指す言葉です。例えば、大量のメールを配信する際も、Amazon SESが自動的にリソースをスケールさせて対応してくれるため、安定して大量配信を実現できます。

独自でメールサーバーを構築する場合はサーバーの負荷やインフラの拡張を常に考慮する必要がありますが、Amazon SESを利用すればそうした心配がほとんど不要になります。

送信オプションを選択できる

Amazon SESは用途に応じて以下の送信方法を選ぶことができます。

  • Amazon SESコンソール
  • SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)インターフェース
  • Amazon SESのAPI

SMTPとは、メールを送信するための通信プロトコルのことです。一方、APIとはソフトウェア同士を連携させるためのインターフェースを指します。Amazon SESを利用すれば、SMTPやAPIを使って柔軟にメール送信が可能で、例えばホームページに機能を組み込むなど、プログラムへの統合もしやすいのが特長です。

配信可能性が高くなる

配信可能性とは送信したメールが迷惑メールフォルダに入らず、きちんと受信トレイに届く確率を指します。「配信成功率」と言い換えることもできます。

メールマーケティングは手軽に始められる反面、送信内容によってはスパム扱いされるリスクが伴います。Amazon SESには質の低いメールを自動でふるい分ける機能や、苦情発生を予測する機能が備わっており、こうしたリスクを最小限に抑えられるようになっています。

また、配信可能性を高めるための管理機能として、問題の発生状況を把握できるダッシュボードも用意されており、苦情の報告などの通知を受け取ることが可能です。

送信アクティビティをモニタリングできる

Amazon SESには送信状況をリアルタイムでモニタリングできる機能が搭載されています。これにより、送信エラーや配信数、バウンス(エラー)の発生状況などを把握し、必要に応じて迅速に対処することができます。

取得したデータはAmazon S3やAmazon Redshiftに保存でき、さらに「Amazon Kinesis」などの分析ツールを利用すれば、詳細なデータ解析も行えます。こうした仕組みにより、ユーザーに最適なコンテンツ配信が可能になります。

メール受信後の処理を自動化できる

Amazon SESは送信だけでなく受信もサポートしています。ただし、受信したメールはAWS内の特定領域(たとえばS3バケットなど)に保存されるため、一般的なメールクライアントで直接読むことはできません。

とはいえ、ドメイン宛てのメールを受信できるサーバーとして利用でき、受信後の処理も自動化できます。送信者のIPアドレスやドメインごとに、メールを受信するかどうかを設定することも可能です。さらに、Amazon WorkMailやAWS Lambdaを組み合わせれば受信後の処理を柔軟に制御できます。

ここまで、Amazon SESの主なメリットを紹介しました。このほかにも、セキュリティ面に優れ、なりすまし防止の仕組みを取り入れやすい点もAmazon SESの大きな特長といえるでしょう。

Amazon SESのデメリット・導入前に知るべき注意点

Amazon SESを利用すると多くのメリットを享受できますが、一方でいくつか注意すべきデメリットも存在します。ここでは、Amazon SESでメールを送信する際に特に気を付けたい3つのポイントを解説します。

サンドボックスと本番アクセス申請

新しく作成したAmazon SESアカウントは、すべてサンドボックスという制限された状態に置かれます。これはAWS公式ドキュメントで明記されている仕様で、サンドボックス状態では次の制限がかかります。

  • 送信先は、検証済みのメールアドレス・ドメイン、またはSESのメールボックスシミュレーターに限定される
  • 24時間あたり最大200通までしか送信できない
  • 1秒あたり最大1通までしか送信できない

つまり、サンドボックスのままでは不特定多数のユーザーにメールを送れません。実運用するには、AWSサポート経由で本番アクセス(プロダクションアクセス)のリクエストを行い、利用目的やバウンス対策の方針などを説明して承認を得る必要があります。この申請は審査制で、内容によっては追加情報を求められたり、すぐには通らなかったりすることもあります。「すぐ使い始められる」と思っていると、ローンチ直前にこの審査で足止めされるおそれがあるため、スケジュールには余裕を持たせましょう。

審査が厳しい

Amazon SESを利用する際に注意したいのが審査の厳しさです。初期状態では「サンドボックス」という制限付きの環境で運用され、外部のアドレスにメールを自由に送信することができません。ビジネス用途で本格的に利用するためにはサンドボックスからの解除申請を行い、AWSの審査に通過する必要があります。例えば、申請の際には以下のような情報を提出することが求められます。

  • メール配信の目的や内容
  • 想定する送信ボリューム
  • 送信リストの取得方法や管理体制

審査の結果次第では、申請が却下される場合もあります。特にマーケティング用途や大量配信を行う場合、送信内容の健全

専用IPアドレスからの送信が必要な場合がある

利用状況によっては専用IPアドレスからメールを送信しなければならないケースがあります。例えば、コンプライアンス上の要件で専用IPが必須となる場合や、連携しているプログラムごとにIPアドレスを使い分けることで送信評価を管理したいときなどが挙げられます。

受信側のサービスプロバイダによっては、これまで送信履歴のないIPアドレスから突然大量のメールが届くと、スパムと見なされる可能性があります。こうしたリスクを回避するためには送信用IPアドレスの信頼度(レピュテーション)を高める必要があります。

なお、Amazon SESでは共用IPアドレスだけでなく専用IPアドレスの利用も可能で、送信負荷を分散したりメール配信規模に応じてリソースを調整したりする仕組みが整っています。

モニタリングが必要

Amazon SESを利用する際はメール送信数の制限や送信結果のモニタリングを欠かすことができません。制御せずに大量のメールを一度に配信すると受信側のサービスプロバイダからスパム送信者と判断され、メールがブロックされる恐れがあるためです。

Amazon SESには、一定期間内に送信できるメールの上限を設ける機能が用意されています。また、AWSが提供する「Amazon CloudWatch」を活用することで、送信状況や拒否の有無などを確認でき、対策を講じることが可能です。例えば、以下のような情報をモニタリングすることが重要です。

  • 送信数の推移
  • エラーや拒否の発生状況
  • 苦情やバウンスの割合

こうしたモニタリングによって、配信リスクを抑え、メール配信の信頼性を維持できます。

バウンス処理が必要

メール送信時に発生するエラーは「バウンス」と呼ばれます。受信側サーバーのトラブルや、メールアドレスが存在しない場合など、さまざまな理由で起こります。

バウンス率が高いまま放置すると信元の評価が下がり、最終的にはメールが受信者に届きにくくなる恐れがあります。さらに、Amazon SESの場合、バウンス率が高いとAWS側からサービスの利用を一時停止される可能性もあるため注意が必要です。バウンスの対策としては、以下のような対応が必要です。

  • バウンスしたメールアドレスをリストから手動で削除する
  • バウンス処理を自動化する仕組みを構築する

特にバウンス率は2%未満に抑えることが推奨されています。配信リストの品質を保ち、定期的にメンテナンスすることが重要です。

開封率などの効果測定機能が限定的

メルマガ運用者が見落としがちなのが、Amazon SESには専用エディタや開封率・クリック率の分析ダッシュボードといったマーケティング機能が標準では用意されていない点です。SESはあくまで「確実に送り届ける配信基盤」であり、HTMLメールをノーコードで作成したり、開封状況をグラフで分析したりといったマーケティング向けのUIは備えていません。

開封・クリックを計測したい場合は、設定セットのイベント送信を使って自前でトラッキングの仕組みを構築する必要があります。「メルマガの効果をすぐに分析したい」「専門知識のない担当者でも画面操作だけで配信したい」という用途には、そもそも設計思想が合っていないことを理解しておきましょう。

日本語サポートと運用知識の壁

Amazon SESはエンジニア向けのサービスであり、設定や運用には一定の技術知識が前提となります。ドキュメントは充実しているものの、トラブル時に踏み込んだ日本語サポートを受けたい場合、AWSのサポートプラン契約が前提になるなど、ハードルを感じる場面もあります。社内にAWSの運用知識を持つ人材がいるかどうかが、SESを使いこなせるかの分かれ目になります。

Amazon SESの料金体系を徹底解説

Amazon SESの最大の魅力はコストの低さです。ただし「安い」と言われる理由と、実際の請求がどう積み上がるかを正確に把握しておかないと、想定外の追加料金に戸惑うことになります。一次情報(AWS公式料金ページ)をもとに整理します。

基本料金(従量課金)

Amazon SESは使った分だけ支払う従量課金制で、最低料金やサービス利用義務はありません。主な料金は以下の通りです(金額はAWS公式料金ページに基づく米ドル建て)。

サービスタイプ料金追加料金
アウトバウンドメール(送信)0.10 USD / 1,000通添付データ 1GBごとに 0.12 USD
インバウンドメール(受信)0.10 USD / 1,000通受信チャンク1,000件ごとに 0.09 USD
グローバルエンドポイント0.03 USD / 1,000通マルチリージョン送信時に基本料金へ上乗せ
Eメールアドレスの検証0.01 USD / 検証

送信は1,000通あたり0.10ドルと、非常に低単価です。なお、配信分析機能であるVirtual Deliverability Manager(VDM)を有効にすると、送信1通が2件分のメッセージ料金としてカウントされる点は覚えておきましょう。

無料利用枠の条件

Amazon SESには無料利用枠がありますが、その条件は過去から変更されています。現在は、SESの利用開始から最初の12か月間、毎月最大3,000件分のメッセージ料金が無料になる仕組みです。

かつてはEC2インスタンスから送る場合に月62,000通まで無料という枠が存在しましたが、2023年8月の料金改定で現在の「3,000メッセージ料金/月(12か月間)」へと変わりました。古い情報を参照すると無料枠を過大に見積もるおそれがあるため、最新の条件を必ず確認してください。なお、2025年7月15日以降にアカウントを作成する新規顧客には、対象サービスに使える最大200ドルの無料利用枠クレジットが付与される仕組みも案内されています。(※最新の適用条件やキャンペーン期間については、必ずAWS公式ページをご確認ください)

AWS公式ページ(料金):https://aws.amazon.com/jp/ses/pricing/

料金シミュレーション

実際にどれくらいのコストになるのか、月10万通の送信を例にシミュレーションしてみましょう(無料枠終了後、添付データを考慮しない単純計算、1ドル=約150円換算の概算)。

月間送信数SESの送信料金(USD)日本円換算(概算)
10,000通約1.0 USD約150円
100,000通約10.0 USD約1,500円
1,000,000通約100.0 USD約15,000円

このように、純粋な送信単価だけを見ればAmazon SESは群を抜いて安価です。ただし、ここに表示されているのは「メールを送るだけ」のコストです。後述するように、送信基盤を安定運用するための設計・監視・障害対応といったエンジニアの工数は別途かかります。請求書に載らないこの「運用コスト」まで含めて比較することが、後悔しない選定のポイントです。

Amazon SESの始め方(基本ステップ)

実際にAmazon SESを使い始めるまでの流れを、大まかなステップで整理します。

STEP 1:AWSアカウントの作成とSESの有効化
AWSアカウントを用意し、マネジメントコンソールからAmazon SESを開きます。利用するリージョン(東京リージョンなど)を選択します。

STEP 2:ドメイン・メールアドレスの検証
送信に使うドメインやメールアドレスをSESに登録し、所有権を検証します。あわせてEasy DKIMを有効化し、DNSにDKIM用のレコードを設定します。

STEP 3:SPF・DMARCの設定
送信ドメイン側のDNSに、SPFレコードとDMARCレコードを設定します。これにより受信側からの信頼性が高まり、迷惑メール判定を受けにくくなります。

STEP 4:本番アクセスの申請
サンドボックスを解除するため、利用目的やバウンス対策方針を記載して本番アクセスをリクエストします。承認後、検証していない宛先にも送信できるようになります。

STEP 5:送信テストと監視設定
メールボックスシミュレーターでテスト送信を行い、バウンス・苦情の通知や送信統計の監視を設定したうえで本番運用を開始します。DNS設定やSMTPリレーの具体的な構築手順については、以下の記事も併せてご確認ください。

SMTPリレーとは?メール送受信の仕組みとメリットを解説
DNSサーバーの基本と設定・確認方法を徹底解説

Amazon SES最大のリスク「アカウント停止」とその対策

Amazon SESを本番運用するうえで、最も注意すべきなのが「アカウント単位での送信停止」リスクです。これは前述のバウンス・苦情の延長線上にある問題ですが、影響範囲が大きく、事業へのダメージに直結するため独立して理解しておく価値があります。

なぜ「アカウントごと」止まるのか

Amazon SESは、標準では複数の利用者で共有するIPアドレス群からメールを送信します。AWSはこの共有IPの評価(レピュテーション)を守るため、品質の低い送信を行うアカウントを検知すると、そのアカウントの送信機能そのものを一時停止することがあります。これはAWS公式ドキュメントにも明記された仕様です。

怖いのは、停止が「特定のメールだけ」ではなくアカウント全体に及ぶ点です。マーケティングメールのバウンス率が原因で停止された場合でも、同じアカウントから送っている会員登録の完了通知・パスワードリセット・決済通知といった重要なトランザクションメールまで、すべて一斉に送れなくなります。メール送信が事業の動線に組み込まれているサービスでは、これは実質的なサービス停止に等しい単一障害点(Single Point of Failure)となります。

実際に、テスト時に架空のメールアドレスへ大量送信してしまいバウンス率が急上昇し、送信機能を停止された——という事例は珍しくありません。なお、SESの送信が停止されても他のAWSサービス自体は使えますが、「メールが送れない」という影響は全送信に及びます。

停止につながるバウンス率・苦情率のしきい値

では、どの程度の数値で危険水域に入るのか。AWSが公開している基準を整理すると次の通りです。

指標レビュー対象になる目安送信停止のおそれがある水準AWS推奨
バウンス率5%以上10%超5%未満(できれば2%未満)
苦情率(スパム報告)0.1%以上0.5%超0.1%未満

注意したいのは、これらの数値が意外と低いことです。たとえば1万通送って500通がバウンスすれば、それだけでレビュー対象(5%)に達します。古いリストや誤入力アドレスを抱えたまま配信すると、あっという間にラインを超えかねません。一度レビュー対象になり、レビュー期間内に改善できなければ、送信機能が一時停止されます。

アカウント停止リスクを下げる5つの対策

SESを使い続ける前提であれば、次のような「送信者としての衛生管理」を自社で運用する必要があります。

  • メールボックスシミュレーターでテストする:架空アドレスへの実送信を避け、テストでバウンス率を上げない
  • CloudWatchアラームを設定する:バウンス率5%・苦情率0.1%にしきい値を置き、危険水域に入る前に検知する
  • サプレッションリストで無効アドレスを即時除外:ハードバウンスしたアドレスへの再送を止める
  • ダブルオプトインと配信頻度の管理:同意を得た宛先にのみ送り、過剰配信による苦情を防ぐ
  • 反応のないアドレスを定期的に削除:一定期間(例:6か月)開封も反応もないアドレスをリストから外す

ただし、これらはいずれも利用者側が継続的に運用し続けなければならないタスクです。監視の仕組みづくり、停止時の復旧申請(サポートケースへの返信と根本対策の説明)まで含めると、エンジニアの運用負荷とリスクは決して小さくありません。

リスクそのものを移転する選択肢を検討する

ここまでの対策は「アカウント停止リスクを自社で管理し続ける」というアプローチです。一方で、そのリスク管理ごと配信サービス側に委ねてしまうという、より根本的な選択肢もあります。

SMTPリレーやAPIで既存システムと連携できるメール配信サービスの多くは、IPレピュテーションの維持・管理やバウンスメールの自動対応をサービス側が担います。送信評価の管理を自社で抱え込まずに済むため、Amazon SESで懸念される「ある日突然アカウントごと送信停止」というリスクの構造そのものから距離を取れます。たとえば後述するblastengineは、IPレピュテーション管理とバウンス自動対応を備え、国内99%以上の到達率でそもそもバウンス・苦情が起きにくい配信を実現します。

ただし、メールリレーサービスは各社で機能・料金・サポート体制が大きく異なります。自社の送信規模や用途に合うサービスを比較検討したい場合は、主要サービスを横断的にまとめたメールリレーサービスのおすすめ比較記事もあわせて参考にしてください。SESを含めた選択肢を俯瞰したうえで、リスクと運用負荷の落としどころを判断できます。

【2026年最新】メールリレーサービスおすすめ13選!比較のポイントや選び方、メリット・デメリットを徹底解説

Amazon SESが向いているケース・向かないケース

ここまでの内容を踏まえ、どんな組織・用途にAmazon SESが適しているのかを整理します。判断の軸は「エンジニアリングリソースの有無」と「求める機能」です。

観点Amazon SESが向いているケース向かないケース・別の選択肢が有利なケース
主な用途システム通知・トランザクションメールの大量送信開封率分析を伴う本格的なメルマガ運用
技術リソース社内にAWS運用に明るいエンジニアがいる専門知識のない担当者が画面操作で配信したい
機能ニーズ送るだけ・自前で計測基盤を作れる効果測定UIやノーコードエディタが欲しい
サポート英語ドキュメント中心でも問題ない手厚い日本語サポートを受けたい
運用体制バウンス・苦情の監視を自社で回せる配信周りの運用を極力アウトソースしたい

整理すると、Amazon SESは「AWSを使いこなせるエンジニアがいて、トランザクションメールを安く大量に送りたい」という組織に最適です。逆に、運用負荷を抑えつつ確実な到達率を求める場合や、マーケティング用途で効果測定をしたい場合は、運用代行込みのメール配信サービスのほうが結果的に低コストになることも少なくありません。次章で具体的な選択肢を紹介します

Amazon SESの代替サービス

Amazon SESの代替サービスとして、ここでは「blastengine」を紹介します。blastengineは国内向けに開発されたクラウド型のメール配信サービスで、特に日本企業のニーズに合わせたきめ細かい機能やサポートが特長です。AWSのようなグローバルサービスも魅力的ですが、国内運用に特化した安心感や、分かりやすい日本語対応を重視したい企業にとって、有力な選択肢のひとつです。以下の表はAmazon SESとblastengineの比較表です。

比較項目Amazon SESblastengine(ブラストエンジン)
料金体系従量課金制(1,000通ごとに約0.10USD)EC2経由は月62,000通まで無料枠あり月額3,000円から
(従量課金・配信数が増えるほど単価減)
到達率世界規模で高い到達率。
日本国内キャリア最適化は自社設定が必要
国内キャリア・ISP最適化済み。
日本国内向け到達率99%
サポート体制基本は英語サポート。
日本語サポートは限定的
日本語による電話・メールサポート。
国内スタッフが迅速対応
導入のしやすさAWSアカウント・ドメイン等の
準備が必要。API・SMTP対応
無料トライアルあり。API・SMTP対応。
管理画面がわかりやすい
機能大量配信・分析・自動化に強い。
グローバル対応
国内最適化・高速配信・エラー自動処理・国内法令対応
セキュリティ  SPF/DKIM/DMARC対応。
AWS基準のセキュリティ
SPF/DKIM/DMARC対応。
24時間365日監視体制

おすすめのメール配信システム「blastengine」

ブラストエンジン

blastengine(ブラストエンジン)は、お客様のシステムとSMTPリレーやAPIで連携することで、トランザクションメールや一斉配信を簡単に実現できる開発者向けのメール配信サービスです。Amazon SESと同じく既存システムへの組み込みを前提としながら、運用・メンテナンスはブラストエンジン側が担うため、面倒なメールサーバー管理から解放されます。

  • API連携・SMTPリレー: 既存システムへの組み込みが容易で、設定のみで最短当日から利用を開始できる
  • 99%以上の高いメール到達率: 国内キャリア・ISPへの個別送信ロジックで、確実にメールを届ける
  • IPレピュテーション管理: ブラストエンジン側で運用・管理するため、常に高い送信者評価を維持できる
  • バウンスメール自動対応: エラーメール管理を自動化し、エンジニアの運用負荷を大幅に削減
  • SPF/DKIM/DMARC対応: 最新のメール認証技術に標準対応し、なりすまし・迷惑メール判定を回避

初期費用無料・月額3,000円からの従量課金で、サンドボックス審査やバウンス管理に悩むことなく、エンジニアが即座に確実なメール配信環境を構築できます。Amazon SESの運用負荷に課題を感じる開発者にとって、現実的な代替・移行先となるサービスです。

ブラストエンジン公式サイト:https://blastengine.jp/

Amazon SESに関するよくある質問

最後に、Amazon SESについて検索される頻度の高い疑問に回答します。

FAQ

Amazon SESは無料で使えますか?
A:利用開始から最初の12か月間は、毎月最大3,000件分のメッセージ料金が無料になる無料利用枠があります。それを超えた分は1,000通あたり0.10ドルの従量課金です。2023年8月の改定で無料枠の条件が変わっているため、古い情報(月62,000通無料など)には注意してください。
Amazon SESですぐに大量配信を始められますか?
A:いいえ。新規アカウントはサンドボックス状態に置かれ、検証済みアドレスにしか送れず、24時間あたり200通・1秒あたり1通までの制限があります。不特定多数へ配信するには本番アクセスの申請と審査が必要なため、スケジュールに余裕を持たせてください。
Amazon SESで開封率やクリック率は測定できますか?
A:標準ではマーケティング向けの分析ダッシュボードは用意されていません。設定セットのイベント送信を使って自前で計測基盤を構築する必要があります。画面操作だけで効果測定をしたい場合は、blastmailのような効果測定機能を備えたメール配信システムが適しています。
Amazon SESとblastengineの違いは何ですか?
A:どちらもAPIやSMTPで連携する送信基盤ですが、blastengineはサーバー運用・IPレピュテーション管理・バウンス自動対応をサービス側が担い、日本語サポートも受けられます。SESの運用負荷や審査の手間に課題を感じる場合の代替・移行先になります。
Amazon SESの利用に技術知識は必要ですか?
A:はい。AWSのコンソール操作やDNS設定、API/SMTPの連携など一定の技術知識が前提です。社内にAWS運用の知見を持つ人材がいない場合は、運用負荷の低いメール配信システムの利用を検討するとよいでしょう。

まとめ

Amazon SESは、AWSが提供する従量課金型のメール配信サービスで、1,000通あたり0.10ドルという低単価と高いスケーラビリティが最大の魅力です。AWS上にシステムを構築しており、社内にエンジニアリングリソースがある組織にとっては、トランザクションメールの送信基盤として非常に有力な選択肢になります。

一方で、サンドボックスの本番アクセス申請、バウンス率・苦情率の自己管理、効果測定機能の不在といった運用上のハードルがあり、請求額に表れない「運用コスト」まで含めて評価する必要があります。安価な送信単価だけに目を奪われると、導入後の運用フェーズでつまずきかねません。

まずは自社の用途を「送信単価を最優先したいトランザクション送信」「効果測定を伴うメルマガ運用」「運用負荷を抑えた確実な配信」のどれに当てはまるかを整理してみてください。

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森神 佑希
この記事の執筆者

株式会社ラクスライトクラウド Webマーケティングリーダー
森神 佑希

顧客導入社数シェアNo.1のメール配信システム「blastmail」・「blastengine」のWebマーケティング担当。2年以上メルマガ配信の実務を行っており、先頭に立ってPDCAを回してきた。メルマガのノウハウは日本最高クラスと言っても過言ではない。

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