【申込完了、認証メール】自動送信メールの最適解
新しい扉を開くようなイベントに申し込んだとき、飛行機のチケットを買った時、発売後すぐに売り切れてしまう商品を発売時間ぴったりにネットショップで買えた時、一仕事終えた充足感とともに訪れるのは『ほんとにこれ申込できてる/買えてる??』といった不安感だった。
そんな経験がある人は少なくないのではないでしょうか?
筆者はIT業界で働いているといった職業柄もあり、『完了画面は出たけど処理がどこかでエラーになってしまったらどうしよう』という気分になったり、『完了画面はセッションが切れると再表示できないし、いざイベント会場に着いたときにリストから名前が漏れていたらどうやって申し込んだことを証明するんだろう』といった不安感に襲われる瞬間があります。
そんな時に自分のメールフォルダに申し込み完了メールや購入完了メールがあると安心しますよね。
今回はそんな自動送信メールについて種類やそれぞれの特徴から最適な運用の方法まで解説していきたいと思います。
1.自動送信メール(=トランザクションメール)の基本説明
1-1.概要
このブログで紹介していく自動送信メールについてはメール業界では「トランザクションメール」という言葉で表されるものです。(以下ではトランザクションメールという言葉をメインで使っていきます。)
例えばユーザーが商品を購入した際などに注文番号や発送予定日などを添えて送れらる購入完了メールはトランザクションメールの一種になります。
このようにユーザーの行動を起点に送られることから「トリガーメール」と呼称されることもしばしばあります。
1-2.マーケティングメールとの区別
トランザクションメールは一般的に言うマーケティングメールとは異なる概念になります。
マーケティングメールは例えばメルマガや、プロモーションの告知などサービスの利用を促進する目的の一斉配信メールを指していることが多いです。
対して、トランザクションメールはサービスを利用する中で必須性の高いプロセスの一部となっているメールを指しています。このため、マーケティングメールではメール送信に対して個別にオプトインが必要ですが、トランザクションメールは個人情報利用の許諾を取れた時点で送信することが可能です。
1-3.トランザクションメールの種類
トランザクションメールにはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。
①購入/申込完了メール
冒頭の例に挙げたタイプがこれにあたります。ユーザーの商品購入や申込などの行動をトリガーにメールが送られます。トリガーとなる行動をユーザーが取ったというエビデンスとしての役割がメインですが、銀行振込先などを記載して、ユーザーに次に取ってほしい行動を促すような中間プロセスとなるケースもあります。
実際のメールをベースにした送信例を見てみましょう。(※実際のメールを元にサンプルにしています。)
メール送信例①購入完了メール
○○事務局です。
この度は ○○ でアイテムをご注文いただき、ありがとうございました。
ご注文内容は以下のとおりとなりますのでご確認ください。
■注文日
2022年12月15日 18時43分
■注文番号
XXXXXXXX
+ —————————————————————
注文内容
+ —————————————————————
商品ID YYYYYYY : マグカップ – 直径 8 cm / 高さ 9.5 cm
小計 SSSSS円
配送料 PPP円
クーポン割引 -DDD円
合計 TTTTTT円
■お届け先
お名前:△△様
住所:~~~~~~~~~~~~~~~~~
ご注文の詳細はこちらのURLからご確認いただけます。
https://hoge.com/orders
アイテム発送後に、改めてご連絡いたします。
アイテムがお手元に届くまで、このメールは削除しないようお願いいたします。
今後とも ○○ をよろしくお願いいたします。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
運営会社:hoge Inc.
住所:~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
お問い合わせ: https://hoge.net/support
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
※このメールアドレスには返信できません。お手数ですが、お問い合わせの際は
よくある質問: https:/hoge.com/faq/
をお読みになってから行っていただけますようお願いいたします。
※このメールにお心当たりがない場合は、お手数ですが本メールを破棄してください。
これくらい丁寧なメールですとユーザーも安心することができ、ロイヤリティの向上にもつながるのではないでしょうか?
実際に筆者が受け取った時も、意図したとおりの注文ができていることが簡単に確認でき、よいユーザー体験である印象を受けました。
②メッセージ通知
チャット機能のあるSNSやCtoCサービスの場合、ほかのユーザーからのメッセージが来ていることをメールでお知らせしてくれることがありますが、そのメールもトランザクションメールに分類することができます。CtoC系のサービス(フリマアプリなど)ではメッセージをやり取りして取引条件を合意する必要がありますが、特に初めて使ったサービスなどは頻繁にサイトを訪れて更新を確認するのは現実出来ではありません。
そこで、初期のユーザーにサービスメリットを享受してもらい、エンゲージメントを獲得するためにも、メールなどユーザーにとってなじみ深い手段で通知を送る必要が発生します。
例えば筆者のもとにはこういったメールが送られてきます。(※実際のメールを元にサンプルにしています。)
店舗からメッセージが届きました。
下記URLよりご確認ください。
https://XXXXX.jp/mypage/inbox/detail/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○○マーケット https://XXXXX.jp
ヘルプ https://faq.XXXXX.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
一転してとてつもなくシンプルなメールになっています。
小規模ビジネスと顧客をつなぐプラットフォームのようなサービスでしたが、このように顧客に次に取ってもらいたい行動が明確な場合は、本当に必要最低限の情報とアクション促進の文面のみの方がユーザーにとって伝わりやすいと思います。
③認証メール
サービスの新規登録などの際に、主にいたずらや不正登録の防止のためのセキュリティ的な用途で、メールアドレスの実在を確かめるための認証メールを送るケースがありますが、こちらもトランザクションメールの代表例の一つとなります。
このプロセスがないと、ユーザーが入力した適当なアドレスにメールを送ってしまい、ISPから不正な送信事業者であることを疑われレピュテーションを棄損し、ブロックを受けやすくなるなどのリスクが発生します。
もちろんメールというステップが導線上に挟まるため、webページの性質に合わせて導入すべきかどうかを検討する必要があります。
しかし、ユーザーと適切にコミュニケーションを取るためにも正しいメールアドレスを取得することは重要となり、サインアップ時には必須のプロセスと言えるでしょう。
こちらも、筆者に実際に届いたメールを元にしたメール例です。
メール送信例③ユーザー仮登録のお知らせ
このメールは、お申し込みいただいたアドレスが正しいかどうか、確認するために送信させていただいております。
登録を完了するために以下のURLをクリックしユーザー登録処理を続けてください。
なお、このURLは送信日時から72時間有効となっています。https://hoge.com/register/XXXXXXXXXXXX
ログインできない等、ユーザー登録処理に問題がある場合は、ご遠慮なく事務局までご連絡ください。
今後とも、XXXXXサービスをよろしくお願いします。
【サービス案内】
□hogeホームページ
https://hoge.com/
□hogeに関するお問い合わせhttps://hoge.com/help/contact
———————————————————————
■YYYYYYY事務局 https://hoge.com/help/contact
———————————————————————
2.メール本文のtips
先ほどはトランザクションメールの種類について説明しましたが、ここからは実際の送信の中で押さえておかなければならない要素について触れていきます。
2-1.シンプルでCTAがわかりやすくある必要がある。
先ほどの②のパターンでも触れましたが、明確に送信の目的がある場合は余計な宣伝は控えた方が無難です。例えばECサイトなどで他の商品のキャンペーンバナーなどを入れてしまうと、ユーザーの認知負荷が高まり、本来期待していた行動と異なる動きをしてしまう可能性が発生してしまいます。
ただし、同じECサイトでも①で紹介した購入完了メールなどでは証憑的な意味合いでのメールとなり、特に意図する後続のプロセスもないため、アップセルを狙った商品紹介などを入れることも、売り上げアップの手段の一つとなります。
2-2.自動で送信しているメールであることを明示する。
様々にいるユーザーの中には、自分の名前が入っているなどのパーソナライズがされたメールが自動生成されたものであると気づかない人もいます。そういったユーザーがメールに何かしらの返信をしてしまうと多くの場合、大切なユーザーからのメッセージが無視されている状態になってしまいます。
それも見越した対応フローがあるなら別ですが、そうでないサービスの場合はきちんと自動送信であることをメール内に明示的に記載し、同時に問い合わせフォームや電話などの通常の問い合わせ導線をご案内しましょう。
さらに応答可能な時間帯や返答にかかる目安の時間なども記載されているとより親切で、顧客体験の向上につながるのではないでしょうか。
3.トランザクションメールを配信する際の注意
先ほど紹介したようなメール本体にこだわりを持つことは大切です。そこに関してはイメージがつきやすいのですが、実は同じくらい大切なのが、送り方や送信するシステムにもこだわりを持つということです。
3-1.速度にこだわる。
特に③のようなプロセスの中間で送られるメールに関しては高いリアルタイム性が求められ、理想的には数秒、少なくとも30秒から1分以内に届ける必要があります。
もちろん通常のメール送信であれば簡単にクリアできますが、数千件、数万件と数が増えてくると、自社システムの制約や通信プロバイダの制限を受けやすくなってしまいます。
5分後にやっとメールが届いたとしてもユーザーは興味を失うか、別のサービスに移ってしまっているのではないでしょうか。
3-2.到達率にこだわる。
先ほどのケースではまだユーザーが後からメールボックスを確認して戻ってきてくれる可能性は残っていますが、もしメールがそもそも届いていなかったり、届いていても迷惑メールボックスに入ってしまっていたらどうしようもありません。
メール技術に今まであまり関心がなかった方(恐らくほとんどの方)にはイメージがつきにくいのですが、メールは少し送り方を間違えたり、突然大量に送ったりすると簡単に受信ボックス側で弾かれてしまったり、迷惑メールボックスに入ってしまったりします。
特に、自社で簡単なメール送信の機構を作っているケースや、専門の仕組みを用意していない申込フォームのツールですと、国内通信キャリアの厳しいフィルターを通過することは難しいです。
顧客エンゲージメントの低下や、場合によってはクレームにも繋がってしまうので、専門のメールシステムを利用して高い到達率を担保できる環境を構築していきましょう。
3-3.送信が失敗した場合のフェールセーフ策を用意する。
高い到達率の環境を用意していたとしても、様々な送信失敗要因をすべて潰しきることは難しいため、予め送信が失敗した際のフェールセーフ策を用意しておくことをお勧めします。
- システムエラー時のレスポンスコードを起点にプロセスを再実行する仕組みを入れる。
- 受信側のメールサーバーとの通信時の一時的な失敗(ソフトバウンス)を検知してリトライする。
- 受信側のメールサーバーとの通信時の恒久的な失敗(ハードバウンス)が起きた際には別の連絡手段を取る。
特に最後に紹介した部分では、メールアドレスが存在しないなどのハードバウンスが起きているアドレス宛てのメールを送り続けていると、プロバイダーなどから不正な配信をしていると疑われ、レピュテーションが低下し、サービス全体でメールが届きにくくなってしまうなどのリスクを誘発します。
例えば、電話番号を同時に取得するプロセスであれば、メールが失敗した際にSMSを送ったり、サポートセンターから電話をすることで、メール送信プロセスの失敗をカバーすることができます。
もちろんメールを送ることの何十倍もコストがかかるので、失敗しないように何重にも対策をした上で、それでも失敗したレアケースのための最終手段の位置づけで考えなければなりません。
4.最適化のためのプロセス
ここからはトランザクションメールが上手く動いているかチェックして最適化していくプロセスについて説明していきます。
4-1.顧客の反応を分析できるようにする。
1-3.トランザクションメールの種類で紹介した②③のパターンの場合はユーザーに期待する行動が明確なので、ユーザーがきちんと次の行動に移れているかを確認することで、トランザクションメールが当初の役割を果たしているかを測ることが可能です。
例えば認証メールの場合、送信したメール内のURLのページを訪れたユーザーの数をGoogle Analyticsなどを使って確認することができます。
また認証メール送信後の次のアクション完了時にもメールを送っていれば、両者の送信数を見比べることでも簡単に確認ができます。
サービスにもよりますが、認証メールなどで例えば5%以上乖離がある場合は何か問題があるので、その場合は詳細な分析を行い、原因を特定していきましょう。
4-2.定期的に問題が起きていないかチェックする。
一度計測ができた後も様々な環境の変化で問題が発生する場合があるので、定期的な監視フローを構築していると安心することができます。
システム的に監視とアラートの仕組みをいれることができればベストですが、始めのうちはなるべくミニマムにしたい場合など、週次~月次の頻度で乖離率に大きな変化がないか見に行く程度でも代替可能です。
5.トランザクションメールを配信する方法
最後にトランザクションメールを配信する仕組みの構築手段について紹介します。
APIメール配信サービスを利用する
もちろん一番のおすすめはこちらの方法になります。様々なAPIメール送信サービスがありますが、弊社の『blastengine』を例に説明すると、豊富なライブラリやAPIで簡単に実装できるため、あらゆるタイプのサービスで柔軟に安定したメール配信をすることができます。
また、こういったサービスの利点として、大量配信でもプロバイダーに弾かれにくくなり、またバウンスやエラーが起きた際もリトライや通知の仕組みがデフォルトで実装されています。つまり、この記事で紹介したベストプラクティスを一番簡単に実現できるのがこの方法になります。
決済ツールなどに備え付けの方法
トランザクションメールを送る手前のECの決済や、申込フォームなどを提供するサービスには、トランザクションメールの仕組みが備え付けられているケースが多いです。
この方法でも簡単にトランザクションメールの仕組みを持つことができますが、複数のユーザーが同じメール配信の仕組みを共有しているため、配信の成功率やカスタマイズ性に問題が生じるケースがあります。
ただし、そういったケースでもSMTPリレーの仕組みを使って配信の成功率を向上させることが可能になります。
SMTPリレーサーバーを経由することで、API系のメールサービスと同じように大量配信でもプロバイダーに弾かれにくくすることができますが、ツールによってはSMTPリレーサーバーと連携が難しい場合があるので、使っているサービスがSMTPリレーに対応しているかは確認が必要です。『サービス名+SMTP』で検索して設定方法などが出てくる場合は対応している可能性が高いので、是非確認してみてください。
自社メールサーバー
おそらく多くのエンジニアの方が一番に思いつくのはこの方法だと思います。かなり基礎的な仕組みなので、理解しやすいですし、月間1000通以下の少量のメール配信などであれば、トラブルも起きにくいと考えられます。
ただ、サービスがスケールした際の移行コストやメールサーバー構築の手間を考えると、最初からAPI配信サービスなどの専門的な仕組みを利用することをお勧めします。
6.まとめ
今回は自動配信メール=トランザクションメールについて、送信例や構築と運用の際のポイントなどをお話ししました。EC事業などの業種では、お客様にサービスを提供する上でかなりコアなプロセスを担っているのがトランザクションメールになるので、安定的に役割をこなすことのできる仕組みを作っていくことが重要です。
『blastengine』ではトランザクションメールの配信の仕組みを提供しているので、まずは無料のトライアルをご活用ください。