API連携とは?仕組みやメリット・デメリット、連携手順を解説
近年では、ビジネスにおいてAPIを活用するシーンが増えており「APIエコノミー」といった言葉まで生まれています。また、企業が提供しているWebサービスにおいて「API連携」という言葉を目にする機会も多くなってきました。
しかし、「APIとはそもそも何なのか」「どんなメリットがあるのか」と疑問を抱いている方は少なくありません。本記事では、APIの意味や仕組み、メリット・デメリットを連携手順と合わせて解説します。
APIとは
API(Application Programming Interface)とは、異なるソフトウェアアプリケーションが互いに通信し、データや機能を共有するためのインターフェースです。「機能を公開しているアプリケーション」と「その機能を使いたいアプリケーション」をつなげる窓口と考えるとよいでしょう。
簡単に言えば、APIはソフトウェア間の「仲介役」として機能し、特定のルールやプロトコルに従ってデータを送受信します。APIは、開発者が特定の機能を自分のアプリケーションに簡単に組み込むことを可能にします。たとえば、GoogleマップAPIを使えば、自分のウェブサイトに地図機能を追加することができます。APIは、インターネットサービス、モバイルアプリケーション、デスクトップソフトウェアなど、あらゆる分野で広く利用されています。
APIの仕組み
APIの基本的な仕組みは、「リクエスト」と「レスポンス」から成り立っています。
API利用者は、アプリケーションの中でAPIの機能が必要になると、都度APIへリクエストします。リクエストを受けたAPIがその都度必要な情報を返す(レスポンス)ことで、APIの一部機能が利用可能になるのです。
例えば、ネットショッピングでクレジットカード決済の機能を新たに追加する場合、サーバーのセキュリティや決済システムの開発にコストがかかってしまいます。しかし、クレジットカード会社が提供するAPIを利用すれば、決済に必要な情報をAPIにリクエストするだけで決済を完了できるでしょう。
なお、リクエストの内容はAPI提供元が定めたルールに基づくため、APIに厳密な定義はありません。
APIの種類
APIは、使用する環境によって4種類に分類できます。それぞれについて簡単に説明します。
WebAPI
1つ目は、Web上で利用できる「WebAPI」です。WebAPIは、インターネットを介してアクセス可能なAPIの一種です。
WebAPIは、HTTP/HTTPS通信を使ってやり取りするAPIで、プログラミング言語が異なっていても情報がやり取りできるため、広く利用されています。
また、WebAPIはデータの形式やアプリケーションの設計によって、「SOAP」「RPC」「REST」の3つに細分化できます。一般的に、APIと呼ばれるものはこのWebAPIを指すことがほとんどです。
WebAPIは、クラウドサービス、ソーシャルメディア、eコマースなど、広範な分野で活用されています。
ネイティブAPI
2つ目は、WindowsやAndroidなどのOSにあらかじめ組み込まれた「ネイティブAPI」です。
ネイティブAPIは、OSが持っている機能を他のアプリケーションから呼び出せるAPIで、開発者向けに提供されています。ネイティブAPIを利用することで、ファイルの操作やメモリの管理など、アプリケーション単体では難しい動作を実行することが可能です。近年では、手軽にAPIを使えるようにツールやフレームワークの提供も増えています。
しかし、ネイティブAPIはプラットフォームに依存するため、クロスプラットフォームの開発には向いていません。モバイルアプリ開発においても、iOSのCore FoundationやAndroidのNative Development Kit(NDK)など、各プラットフォームごとに異なるネイティブAPIが提供されています。
ランタイムAPI(ライブラリAPI)
3つ目は、JavaやC++のようなプログラミング言語が提供する「ランタイムAPI(ライブラリAPI)」です。
プログラムの実行時に使用されるAPIで、プログラムの実行時間やメモリの使用量の取得など、動的な操作が行えます。そのため、エラーや問題が発生した際に適切な対応を素早く実行できます。
ランタイムAPIは、開発の生産性を向上させるとともに、コードの再利用性を高めるために重要です。また、これらのAPIは通常、ライブラリのバージョンアップとともに機能が拡張され、最新の技術トレンドに対応することができます。
データベースAPI
4つ目は、データベースベンダーが提供する「データベースAPI」です。
外部のデータベースと連携することで、リアルタイムな情報取得が可能になり、システムとデータベースとの円滑なやり取りが期待できます。なお、使用する環境以外にも「パブリックAPI」や「パートナーAPI」など、提供方式によって分類されることもあります。
また、データベースAPIは、トランザクション管理、接続プール、エラーハンドリングなどの高度な機能を提供し、信頼性と効率性の高いデータ操作を実現します。クラウドベースのデータベースサービスとも連携し、スケーラビリティやパフォーマンスの向上も図れます。
API連携とは
APIを利用してアプリケーションの機能とデータを、サードパーティ製のアプリケーションに連携することをAPI連携といいます。
旧来のAPIは、連携するために独自の利用手順や仕様に従った開発が必要でした。しかし、Webブラウザを利用したWebAPIが主流となった現在では、API連携はポピュラーな存在となっています。
例えば、eコマースサイトが支払い処理のためにPayPal APIを利用したり、カレンダーアプリがGoogleカレンダーAPIを使ってスケジュールを同期したりするケースがあります。API連携により、異なるシステム間でリアルタイムのデータ共有や機能の呼び出しが可能になり、全体の効率とユーザーエクスペリエンスが向上します。
また、API連携はビジネスプロセスの自動化や、複数のサービスを統合した新しいソリューションの開発にも役立ちます。
API連携のメリット
実際にAPIと連携することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。具体的なメリットとして、以下の4点が挙げられます。
利用しやすさ
多くのAPIはインターネット上で公開されており、複雑な契約や専門知識も必要としないため、容易に利用できます。開発者だけでなく一般ユーザーでも使用できるうえ、無料で利用できるAPIもあるため、幅広いユーザーが目的に応じたAPIを利用することが可能です。
例えばGoogleアカウントだけでさまざまなサービスにログインできたり、ブログに地図や検索機能を搭載したりできることからも、APIの利用性の高さがわかるでしょう。
また、クラウドサービスを利用する際、APIを通じて直接データをやり取りすることで、複雑なインフラの設定や移行を省くことができます。これにより、迅速な導入が可能となり、ビジネスの俊敏性が向上します。
コストの削減
通常、アプリケーションやWebサービスの機能を拡張する際は、設計や開発を行う必要がありますが、APIを利用すればこれらの工程は必要ありません。そのため、労力や開発コストを大きく削減できるでしょう。
また、すでに完成されているサービスを利用するため、開発するうえで避けられないエラーやバグの修正が不要であることも魅力です。さらに、APIの提供元がシステムの運用を行うため、ランニングコストの削減も期待できます。
ユーザーの利便性・満足度の向上
ユーザーにとって、会員登録や購入は個人情報を打ち込む作業が負担になりやすく面倒なものです。一方API連携を利用すれば、ユーザーが複数のサービスを利用している場合でも、API連携を通じてデータが同期され、一つの統一されたインターフェースで操作が可能になります。
また、自社のショッピングサイトの利用を後押しするために、API連携を利用して他社サービスのポイントを付与するといったサービスも構築できます。そのため、自社にとっては利用者数の増加が期待できるだけでなく、ユーザーにとってはポイントを獲得できるため満足度が上がるでしょう。
そのほか、API連携によって最新情報を自動で取得して自社サイトの情報を常にアップデートすることで、より良いサービスを提供できます。
セキュリティの向上
API連携の中にはGoogleやFacebook、X(旧Twitter)など大手サービスが提供しているケースがあります。こうした大手サービスはセキュリティが高く、安全性が担保されています。
そのため、自社でセキュリティシステムを開発せずとも、大手サービスの認証システムを利用するだけで、セキュリティレベルを向上させられるでしょう。
API連携のデメリット
メリットばかりのように見えますが、API連携にはデメリットもあります。
連携先のサービスに依存してしまう
APIは容易にサービスを拡張できる一方、自社での開発を必要としないため、サービスに必要なノウハウを蓄積できません。そのため、連携先がサービスを終了してしまうと、自社サービスの運用に多大な影響を与えるでしょう。
また、仕様が変更される場合でも、変更に合わせてアプリケーションの修正が求められるおそれがあります。さらに、連携先のサービスでトラブルがあったとしても自社では対応できないため、トラブル解決のめどが立ちません。
こうした問題が発生しても対応できるように、システムの重要な部分はAPIに依存せず自社で開発する必要があります。
セキュリティリスク
連携先の設計ミスや不具合によってシステムに脆弱性が生まれるおそれがあるため、セキュリティ対策が必要です。
近年では、APIが攻撃の標的となることもあり、セキュリティリスクが高まっています。APIのセキュリティ対策として、リクエストされた情報を許可するか判断できるOAuth 2.0が挙げられます。そのほか、トークンの署名やなりすまし防止など厳格に規定されているFAPIも有効です。
ただし、悪意あるAPIの場合は情報が筒抜けになってしまうため、信頼できる企業のサービスであるかをよく確認しましょう。
APIを利用する際の注意点
APIを利用するうえで、いくつか注意しなければならない点があります。以下の4点を参考に、API連携を行いましょう。
APIキーとシークレットキーの扱いに注意する
APIを使用する際は、「APIキー」を取得する必要があります。APIキーとは、リクエストしたアプリケーションやユーザーに、権限があるかどうかを識別するために用いられるコードです。提供元によっては非公開の環境で使うことを前提とした「シークレットキー」も存在します。
これらのキーは、ユーザーIDやパスワードなどに相当する情報であるため、外部へ伝えたり複数の部署で使い回したりしないように注意しましょう。特に、シークレットキーは必要最低限の関係者のみ使用できるように、徹底したアクセスや権限の管理が必要です。
リクエストの上限に注意する
APIの多くは、セキュリティやサーバー保護の観点からリクエスト数に上限を設けています。むやみやたらにAPIへリクエストすると、必要なタイミングにAPIを利用できなくなるかもしれません。そのため、自社のシステムを修正したり制限の緩いAPIに切り替えたりして、リクエストの上限に到達しないようにしましょう。
また、リクエストの上限は1時間につき60回や1日につき10,000件など提供元によって大きく異なるため、APIのリクエストの上限をチェックすることも大切です。
従量課金制のAPIは料金に注意する
APIによっては、リクエストした量に応じて料金が変化する従量課金制を導入している場合があります。従量課金制のAPIの場合、プログラムのミスや利用者の増加によって膨大なリクエストが行われると、多額の料金を請求されるおそれがあります。
そのため、想定より料金が高くならないようにプログラムを設計し直したり利用に制限を設けたりしましょう。APIの中には、予算額より利用料金が超過した際にアラートを通知する「課金アラート機能」も備わっているため、こうした機能を利用してみるのもおすすめです。
また、運用時にデータ量やアクセス数を予想して利用料金の見積もりを出すことも重要です。
海外のAPIは設定時刻に注意する
海外のAPIは、日本時間ではなく現地時刻を基準にしている場合があるため、想定した結果が得られないかもしれません。
そのため、時刻を設定する際はタイムゾーンをつけたり、現地との時差を考えて修正したりしましょう。
API連携の手順
ここからは、実際にAPI連携する際の手順を解説します。一般的に、以下のステップを踏むことでAPI連携が可能です。
目的を明確にする
最初に、APIを導入する理由や目的を明確にしましょう。目的を定めることで、抱えている問題の解決に適したAPIを絞り込めます。API導入する理由としては「開発の手間やコストを減らしたい」「必要とするシステムの開発が難しい」などが挙げられます。
目的を実現するためにいくつか候補を選び、運用コストやサービス内容を比較して連携先を選定しましょう。
API提供元にユーザー登録する
導入するAPIを選定し終えたら、ユーザー登録を行います。多くのAPI提供元では、ユーザー登録を通じてAPIキーやシークレットキーを発行し、利用者を管理しています。
登録プロセスは提供元によって異なりますが、個人情報の他に「アプリケーションの名称・概要」「利用の目的」「住んでいる国」などの項目を入力します。場合によっては契約書を取り交わす必要もあるため、関係各所との調整を準備しておくとよいでしょう。
一般的に、ユーザー登録後に審査を実施することが多いため、登録には1〜2日程度の時間を要します。
APIキー・シークレットキーを取得する
ユーザー登録が完了したら、APIを使用するうえで必要なAPIキーとシークレットキーを取得します。これらのキーは、ユーザーを特定し認証する重要な情報のため、取り扱いには注意が必要です。実際に、誤ってサイト上に公開してしまった結果、100万円以上の損害が発生したケースもあります。こうした損害を引き起こさないためにも、徹底した情報管理が重要です。
なお、取得方法は提供元によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
ソフトウェアと連携する
取得したキーを使用しているアプリケーションに登録して、APIを呼び出す処理を実装します。
APIによっては、REST APIやSDKなど形式がさまざまあるため、公式マニュアルを確認しましょう。公式マニュアルには、使用するプログラミング言語に応じたサンプルが提供されています。そのため、コピー&ペーストだけで実装できるものもあるかもしれません。
動作を確認する
連携処理を終えたら、正常に動作するかテストを行いましょう。不具合が起こらないように、さまざまな条件でテストすることが大切です。特に、401や403のエラーが起こる場合、認証がうまく行われていない恐れがあるため、ログイン情報やキーを再設定し直す必要があります。また、一定時間で処理をタイムアウトさせたり処理が終わるまでアクセスを制限したりして、APIに負荷がかからないようにしましょう。
動作の確認が終了したら、正式リリースへと進みます。
メールを「API連携」で配信する
API連携を活用するサービスのひとつにメール配信システムがあります。外部のシステムやアプリケーションとデータを自動でやり取りできる機能を持ったメール配信サービスです。
APIは、異なるソフトウェア間で情報交換や機能の実行を可能にする仕組み。これにより、顧客管理システム(CRM)やウェブサイト、Eコマースプラットフォームなどと連携し、顧客データをリアルタイムや一定のタイミングなどで同期させることができます。
メールの利用シーンは大きく3つあります。
- 会員登録時や決済情報の通知などに使用するシステムメール
- 社内のSMTPサーバの代替として利用するSMTPメール
- メルマガ配信などの一斉送信
1つ目と2つ目の場合、API連携・SMTPリレーサービスの「ブラストエンジン(blastengine)」を活用することがおすすめです。3つ目のケースでは、シェア1位のメール配信システム「ブラストメール」を利用することが最適です。
それぞれの詳細について、以下で詳しく説明します。
API連携・SMTPリレーサービス「ブラストエンジン(blastengine)」の活用
ブラストエンジンは、SMTPリレーサーバーを使用して、簡単に大量のメールを高速配信することが可能です。さらに、メールサーバーを必要とせず、API経由でメールを送信する仕組みも提供しています。
ブラストエンジンは、サーバーの運用やメンテナンスを行っているため、常に高いIPレピュテーションを維持しながら、安全にメールを送ることができます。
以下のような課題がある場合は、ブラストエンジンの利用を検討してみることをおすすめします。
- 自社のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていて、メールが届かない場合
- 国内キャリアにメールが届かず、対応方法がわからない場合
- 自社でメールサーバーを管理・運用したくない場合
また、ブラストエンジンは各メールプロバイダーや携帯キャリアのドメインに最適化されており、大規模なネットワークを経由してメール配信を行うことで、日本国内での到達率を圧倒的に高めています。SPF・DKIM・DMARCの設定ももちろん可能です。
利用料金は月額3,000円からとコストパフォーマンスにも優れており、メールだけでなく、日本語での電話サポートにも対応しています。
メールアドレスの入力のみで無料トライアルが可能ですので、まずは気軽にお試しください。
シェア1位のメール配信システム「ブラストメール」の活用
ブラストメールは、13年連続で顧客導入シェア1位を獲得している信頼性の高いメール配信システムです。ブラストエンジンとは異なり、メルマガなどのメール一斉送信に利用することができます。
このメール配信システムの特徴は、使いやすさとコストパフォーマンスの高さです。さまざまな業種や官公庁でも利用されており、定番のメール配信システムとして広く知られています。
SPF・DKIM・DMARCなどの迷惑メール対策機能はもちろん、セグメント配信や効果測定、HTMLメールエディタなど、基本的な機能がすべて揃っています。最も安いプランでも、月額4,000円以下で導入することができます。
シンプルで安価なため、初めてメール配信システムを利用してみたい方にもおすすめです。無料トライアルも用意されているので、まずは試してみることをお勧めします。
その他、おすすめのメール配信システムは以下の記事でも詳しく解説されています。各サービスをしっかりと比較して選びたい方は参考にしてください。
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まとめ
現代のアプリケーション開発にとって、APIは必要不可欠な存在です。APIを利用することで、コスト削減や業務効率改善などさまざまな効果が期待できます。ただし、利用する際はキーの情報管理やリクエストの上限などに注意です。
API連携の手順を参考にして、自社に合ったAPIを選びましょう。