【おすすめのCDN比較5選】CDNサービスの比較ポイント・選び方を解説!
ウェブサイトのパフォーマンスは、ユーザーエクスペリエンスやSEOの観点からも非常に重要です。
しかし、トラフィックの増加やグローバル展開に伴い、サーバー負荷や遅延、セキュリティリスクなど、運用上の課題が増えてきます。そこで注目されるのが、CDN(Content Delivery Network)です。CDNを利用することで、サーバー負荷の軽減やウェブサイトの表示速度の向上、さらにはDDoS攻撃への対策など、数多くのメリットがあります。
ただし、CDNサービスの選び方を誤ると、更新の遅れやセキュリティトラブル、さらにはコストが予想以上にかさむといったデメリットも存在します。
本記事では、CDNの概要やサービスの具体的な内容と選び方のポイントを詳しく解説します。
CDNとは
CDNは「大容量データのコンテンツ配信」「WEBサイトの表示」といった場面で、高速かつ安定したネットワーク通信を実現するサービスです。
一つのサーバーだけで大容量データのコンテンツを配信すると、突発的なアクセス集中の影響でサーバーダウンするリスクや通信の遅延が発生する恐れがあります。しかし、CDNを導入すると世界各地に分散配置されたサーバーからの配信が可能となり、高速通信が実現できるのです。利用ユーザーの現在地に最も近いサーバーへ、分散してアクセスすることで、サーバーの負担も軽減します。
CDNは、利用者の現在地に最も近いサーバーからコンテンツを配信するため、サーバーへの負荷を分散させることができます。この分散によって、サーバーの負担が軽減され、結果としてコンテンツ配信の安定性が向上し、ウェブサイトの表示速度も高速化されます。これにより、ユーザーの体験が向上し、ストレスを軽減する効果が期待できます。
CDNのメリット
CDNの導入により、インターネット通信が利用できない状況に陥ることやコンテンツの表示が遅延する問題を、未然に防ぐことができます。ここからは、CDNを導入するメリットを詳しく見ていきましょう。
サーバー負荷の軽減
CDNでは、突発的にアクセスが急増しても、世界各国に分散されたサーバーでトラフィック処理を行って負荷を分散します。トラフィックとは、外部からのアクセス数やWEBサイトの閲覧者の流れです。
CDNサービスを導入し、一つのサーバーにかかるトラフィック処理の負担を軽減すれば、サーバーダウンなどのトラブルが起こるリスクは下がります。
ウェブサイトのパフォーマンス向上
CDNサービスを導入すると、利用ユーザーの最も近くにあるサーバーから最短ルートでデータを読み込むことができるため、ページの読み込み速度が速くなります。WEBサイトのページや配信コンテンツをクリックしてすぐに表示されると、利用ユーザーの満足度も高まるでしょう。
また、利用ユーザーが高速にページを閲覧できるWEBサイトほど、検索エンジンに好まれるため検索順位は上がりやすくなります。その結果、ウェブサイトの訪問者数の増加やブランドの認知度向上につながります。CDNはウェブサイトのパフォーマンスを大幅に向上させる強力なツールと言えます。
DDoS攻撃対策
DDoS攻撃とは、複数の通信端末を利用し大量のリクエストを送信してWEBサイトや配信コンテンツへアクセスし、サーバーの機能を妨害する攻撃手法の一つです。このDDoS攻撃により、サーバーがダウンしてしまう被害が多数報告されています。また、DDoS攻撃で個人や企業を脅迫し、金銭を要求する悪質な攻撃も増加しているため注意が必要です。
CDNサービスを利用し、アクセスを分散させることで、DDoS攻撃による被害防止につながります。ただし、CDNサービスはセキュリティ機能をメインとしたサービスではないため、DDoS攻撃の遮断や感知機能はありません。セキュリティを強化したい場合は、WAFのようなセキュリティ対策サービスの追加導入も視野に入れましょう。
オリジンサーバー運用費の削減
オリジンは「起源、発端」を意味し、オリジンサーバーは、配信するコンテンツの元となるサーバーを指します。すべてのコンテンツは、オリジンサーバーから配信される仕組みです。
処理が膨大になると、このオリジンサーバーに負荷がかかるため、オリジンサーバーや回線を増やす必要があり費用も増大します。しかし、CDNを介して複数のサーバーを利用することにより、オリジンサーバーの負担を軽減し、サーバーダウンなどのリスクを回避します。
オリジンサーバーだけで全てを運用する費用に比べて、CDNを導入するとメンテナンス費や購入費などのコスト削減が可能です。
CDNのデメリット
CDNの導入を検討する際には、メリットだけでなく、デメリットもしっかりと理解しておくことが重要です。ここでは、CDNに関連するいくつかの懸念点を確認しましょう。
更新の遅れ
CDNサービスは、複数のサーバーに反映されるまでに時間がかかることがあります。コンテンツの更新を行っても、一部の地域では、新しいコンテンツをなかなか閲覧できないケースも確認されており、地域差によってタイムラグが生じる可能性があることが懸念点です。
また、複製の保持期間の調整に関する設定を怠っていると、キャッシュサーバーが更新前のコンテンツを複製し、そのまま継続して配信してしまうことがあります。古いコンテンツではなく更新後の最新コンテンツを配信するためにも、保持期間の設定は事前の確認が必要です。
セキュリティトラブルの可能性
オリジンサーバー内には、重要な秘密保持情報が保存されている場合もあるでしょう。何も設定せずにCDNのサーバーを導入してしまうと、秘密保持情報を含めた状態で複製し配信されてしまう恐れがあります。そのため、オリジンサーバーの情報をどの範囲まで複製すべきか事前の設定が必要です。
CDNを通じてコンテンツを配信する前に、セキュリティ設定を慎重に行いましょう。
サービス利用料
CDNは、大きく分けて3つの料金形態に分かれています。料金ごとの特徴は以下のとおりです。
料金 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
従量料金 | 配信コンテンツのデータ量やトラフィック使用量によって課金される | 使用した分のみ支払うため、状況によってはコストを抑えられる | 急激なアクセス数の増加で高額な請求になる可能性がある |
コミット料金 | 契約したデータ容量までを定額で支払い、上回ったトラフィック使用量は従量料金で追加分の費用を支払う | 従量料金に比べて、データ量の単価が安い | アクセス数を確保できていないコンテンツは余分なコストが発生する |
定額料金 | 毎月定額で料金を支払う | 予算を定める際に計画を立てやすい | アクセス数の少ないコンテンツは費用が割高になる |
3種類の料金形態の中で、従量料金が最も多く利用されています。一般的な従量料金は、利用するCDNサービスによって異なりますが、一か月あたり100万前後のPV数であれば、数千円から高くても数万円程度で利用できるケースが多いようです。
しかし、常時100万PVを超えるようなアクセス数を確保できるコンテンツであれば、コミット料金や定額料金の契約の方がお得となりおすすめです。
CDNの比較ポイント・選び方
多くのサービス会社から、CDNサービスが提供されています。どのようなことに注意して選んだらよいのでしょうか。ここでは、選択に失敗しないための比較ポイントと選び方を詳しく紹介します。
自社コンテンツに対応可能か
一般的に、WEBコンテンツは「動的コンテンツ」「静的コンテンツ」の2種類に分類されます。
動的コンテンツは、利用ユーザーによって表示される内容が変化するコンテンツです。例えばECサイトなら、利用ユーザーの好みに応じて「お気に入りリスト」「おすすめ商品」といった、マーケティングに効果的な情報を表示します。一方静的コンテンツは、利用ユーザーが誰かを問わず、同じ内容を表示するコンテンツです。
CDNサービスは、動的コンテンツに対応していないことも少なくありません。自社のコンテンツに対応可能か確認することが大切です。
費用は適切か
CDNサービスは、従量料金・コミット料金・定額料金といった料金形態に分けられています。自社コンテンツの規模に応じて最適な料金形態の選択が重要です。
例えば、トラフィック使用量がひと月ごとに大きく変動したり、キャンペーンやイベントを不定期で行ったりするコンテンツであれば、従量料金やコミット料金が適しています。
毎月一定のトラフィック使用量かつ長期プロジェクトの場合は定額料金がおすすめです。
十分なサポートを受けられるか
DDoS攻撃の対策が不十分なセキュリティや予期せぬトラブルを避けるためにも、導入したいCDNサービスのサポート体制の確認は重要です。24時間365日いつでもサポート対応しているサービスであれば、迅速なトラブル解決に期待できるでしょう。
サポート内容は、CDNサービスによって異なり、サーバー構築支援や設定代行などさまざまなサポートサービスが展開されています。安心して利用するためには、サポート体制が充実したCDNサービスを選択しましょう。
グローバル対応は可能か
自社コンテンツを海外へ展開するなら、導入を検討しているCDNのグローバル規模を事前に確認することが重要です。ターゲットにしている利用ユーザーが海外在住者の場合、国内の利用ユーザーがサイトにアクセスする際に比べアクセス経路は複雑化します。
通信速度の遅延が起こるたびに利用ユーザーはストレスを感じるでしょう。自社のターゲットが快適にアクセスできるネットワークポイントは設置されているか確認が必要です。
おすすめのCDN比較5選
最後に、おすすめのCDNサービスを5つ紹介します。それぞれの特徴やサービス内容を確認し、自社にあったサービスを選択しましょう。
Cloudflare
「Cloudflare」は、世界各国の幅広い地域にネットワークを設置しており、動的コンテンツや静的コンテンツの配信をサポートしています。
WEBサイトのパフォーマンス向上に役立つだけでなく、サーバーを保護する安全性の高いセキュリティ対策サービスも魅力です。自社コンテンツに合わせた機能のカスタマイズや、保存されているアクセスデータを制御できます。
Cloudflareの料金プランは以下のとおりです。
プラン | 月額利用料金 |
---|---|
FREE | 無料 |
PRO | 20ドル |
BUSINESS | 200ドル |
ENTERPRISE | お見積り |
※料金は地域ごとの為替レートにより異なる場合があります。詳細については公式サイトを参照してください。
Azure CDN
「Azure CDN」は、Microsoft・Verizon・AkamaiCDNといった、3社のCDNプロバイダーが提供しているサービスです。世界中に600以上のネットワークポイントを所持しており、広範囲かつ高速配信を実現します。
Azure CDNの料金プランは以下のとおりです。
プラン | 月額利用料金 |
---|---|
Basic | 無料 |
Developer | 29USドル |
Standard | 100USドル |
Professional Direct | 1,000USドル |
※料金は地域ごとの為替レートにより異なる場合があります。詳細については公式サイトを参照してください。
Content Delivery Network 料金プラン
Google Cloud CDN
Google社が提供している「Google Cloud CDN」は、世界中に設置している120以上のネットワークポイントからコンテンツ配信を行うサービスです。Google Cloud Storageに保存されたコンテンツからCDNを介して配信します。
高いパフォーマンスを備えたGoogle Cloud CDNは、データ転送の遅延が起こりにくく、サーバーの負荷軽減が可能です。また、サービス利用料も低額のプランから用意されています。
Google Cloud CDNの料金プランは以下のとおりです。
プラン | 1GBごとの料金 |
---|---|
10TB以下 | 0.08ドル |
10TBから150TB | 0.055ドル |
150TBから500TB | 0.03ドル |
北米・ヨーロッパ内(ハワイを含む) | 0.01ドル |
アジア太平洋・南アメリカ・中東・アフリカ・オセアニア(香港を含む)の各エリア内 | 0.02ドル |
アジア太平洋と北米間などのエリア内 | 0.04ドル |
1万件あたりの追加使用量 | 0.0075ドル |
※料金は地域ごとの為替レートにより異なる場合があります。詳細については公式サイトを参照してください。
Amazon CloudFront
「Amazon CloudFront」はAmazon社が提供しているサービスです。世界各国に410以上のネットワークポイントを確保しています。AWSの「AWS WAF」「AWS Shield」といった、他サービスとも連携も簡単にできるため、自社の求める最適なセキュリティ環境を整えられるでしょう。
Amazon CloudFrontには「AWS Shield Standard」が搭載されており、自動的にDDoS攻撃を検知し、攻撃を緩和する機能を持っています。
Amazon CloudFrontの料金プランは以下のとおりです。
プラン | 1GBごとの料金 |
---|---|
10TB | 0.085ドル |
40TB | 0.080ドル |
100TB | 0.060ドル |
350TB | 0.040ドル |
524TB | 0.030ドル |
4PB | 0.025ドル |
5PB以上 | 0.020ドル |
1万件あたりの追加使用量 | 0.0075ドル |
※料金は地域ごとの為替レートにより異なる場合があります。詳細については公式サイトを参照してください。
Fastly
Fastly社が提供している「Fastly」は、北アメリカおよびヨーロッパ各国を中心にネットワークポイントを設置しています。アジアや南アメリカにも多くのネットワークポイントが設置されているものの、他のCDNサービスに比べてサーバー数は少ない傾向です。
しかし、次世代のWAFに対応しており、DDoS攻撃対策といったセキュリティ強化が施されています。また、ログ機能が充実しているため、トラフィック使用量を即時に確認できる点が魅力的です。
Fastlyの料金プランは以下のとおりです。
プラン | 1GBごとの料金 |
---|---|
10TB以下 | 約15円 |
10~50TB | 約10円 |
50TB超 | 約8円 |
1万件あたりの追加使用量 | 約2円 |
TLS/SSLセキュア接続共有証明書 | 11,000円 |
TLS/SSLセキュア接続共有ワイルドカード証明書 | 30,250円 |
TLS/SSLセキュア接続証明書のホスティング | 110,000円 |
※料金は地域ごとの為替レートにより異なる場合があります。詳細については公式サイトを参照してください。
まとめ
CDNサービスの導入は、Webサイトやコンテンツを表示させる速度を高速化したい場合や、急激なアクセス増によるサーバーダウン回避に有効です。また、オリジンサーバー単体の運用では困難なセキュリティ強化やコスト削減といった問題を解決できます。しかし、自社コンテンツに適さない料金形態を選択してしまうと、費用面で割高になる可能性があるため注意が必要です。
数多く提供されているCDNサービスそれぞれの特徴を確認し、自社にあったCDNサービスを選択しましょう。