【保存版】メールアドレスの存在確認の方法|推奨・非推奨の方法と正しい対策も解説

ビジネスにおいて、メールの到達率は非常に重要です。特にメルマガや販促メール、請求書や契約書の送付など、企業が顧客とのやりとりをメールに依存しているケースは少なくありません。しかし、せっかく送信したメールが届かず、顧客に見てもらえなかったらどうでしょうか。最悪の場合、メールの不達がビジネスチャンスを逃す原因になりかねません。
この問題を回避するために必要なのが「メールアドレスの存在確認」です。実際に登録されているメールアドレスが正しいのか、そもそも存在するのかを事前にチェックすることで無駄な送信を防ぎ、メールの到達率を向上させることができます。また、存在しないメールアドレスへの送信が続くと送信元の評価(レピュテーション)が低下し、他のメールまで迷惑メール扱いされるリスクもあります。
例えば、ECサイトでは新規会員登録の際に誤ったメールアドレスを入力したユーザーに対して、確認メールが届かずに注文が完了しないといったトラブルが発生することがあります。また、BtoBの取引では契約書や請求書を誤ったアドレスに送信してしまうことで、支払い遅延や信用問題に発展するケースもあるでしょう。
こうしたリスクを避けるためにも、メールアドレスの存在確認を適切に行うことが重要です。本記事ではメールアドレスの存在確認を行うべき理由や、推奨される方法、避けるべき方法について詳しく解説します。メールの到達率を向上させ企業の信頼性を守るための対策をしっかりと押さえていきましょう。

【推奨】メールアドレスの存在確認の方法
メールアドレスの存在を確認する方法はいくつかありますが、推奨されているのは専用のサービスを利用することです。適切に確認を行うことでメールの到達率を向上させ、ブラックリスト入りのリスクを回避できます。
メールアドレス存在確認サービスを利用する
メールアドレスの存在確認には各企業が提供する専用サービスの利用がおすすめです。これらのサービスを使うと、宛先のサーバーが応答するかどうかや実際に存在するかをチェックできます。メリットは以下の通りです。
- 配信前に無効なアドレスを除外できる
- メールの到達率が向上する
- レピュテーションの低下を防げる
ただし、メールアドレスの存在を確認できても、エンゲージメントの高さ(開封率やクリック率など)は測れません。エンゲージメントを向上させるためには別途データ分析を行う必要があります。
メールアドレス存在確認サービスの例
メールアドレスの存在確認が可能なサービスの例は以下の通りです。
Zero Bounce
350,000以上のユーザーを抱えたスパムトラップの検証や捨てアドの作成ができるサービスです。契約中は、24時間無休でカスタマーサービスを受けられます。zero bounceの料金プランは以下の通りです。
無料プラン | 毎月100クレジットまで無料 |
有料プラン | 従量課金制:3,000クレジット以上は21ドルを課金サブスクリプション:31.5ドル / 5,000クレジット |
clearout
世界各国のさまざまな企業で使われており、スパムトラップの検証や捨てアドの作成などが可能です。clearoutの料金プランは以下の通りです。
無料プラン | 毎月100クレジットまで無料 |
有料プラン | 従量課金制:2,000クレジット以上は16ドルを課金サブスクリプション:15ドル / 2,000クレジット |
MailerCheck
マーケティングに特化しており、サービス提供の実績が12年以上あります。スパムトラップの検証によってメールの到達率は98%以上です。メール到達率の高さを維持することで、利用ユーザーのレピュテーションの低下を防いでいます。MailerCheckの料金プランは以下の通りです。
無料プラン | 毎月200クレジットまで無料 |
有料プラン | 従量課金制:1,000クレジット以上は10ドルを課金サブスクリプション:20ドル / 2,500クレジット |
Mailfloss
利用ユーザーが操作せずに自動でメールアドレスの存在確認が行えるサービスです。プロバイダは、Drip・ConvertKit・Sendinblue・MailChimpなど、幅広く対応しています。Mailflossの料金プランは以下の通りです。
無料プラン | 1週間のトライアル |
有料プラン | サブスクリプション:17ドル / 10,000クレジット |
Hunter.io
Email Verifierが搭載されたメールアドレスの存在確認サービスです。認証画面にメールアドレスを入力するとリンクが記載されたメールが届き、URLへアクセスするだけで認証が完了します。Hunter.ioの料金プランは以下の通りです。
無料プラン | 毎月200クレジットまで無料 |
有料プラン | 従量課金制:1,000クレジット以上は10ドルを課金サブスクリプション:20ドル / 2,500クレジット |
EmailListVerify
処理速度と高水準な精度でレピュテーション低下を防ぐサービスです。リーズナブルな価格ではあるものの、12段階の検証で高い安全性を確保しています。EmailListVerifyの料金プランは以下の通りです。
無料プラン | 毎月100クレジットまで無料 |
有料プラン | 従量課金制:1,000クレジット以上は4ドルを課金サブスクリプション:139ドル / 5,000クレジット |
Snov.io
一定期間メール配信を行う「ドリップキャンペーン」を毎月100人分利用できるサービスです。また、Snov.ioにはメールの一括検証・検索といった機能も備わっています。
無料プラン | 毎月50クレジットまで無料 ※100人分のドリップキャンペーン込み |
有料プラン | 従量課金制:1,000クレジット以上は4ドルを課金サブスクリプション:33ドル / 1,000クレジット |
Email Checker
Dell・QuickenLoans・Uber・Girl Scoutsといった有名企業で導入されているサービスです。2014年にサービス提供を開始しました。企業と個人をあわせて125,000以上ものユーザーが利用しています。
無料プラン | 毎月100クレジットまで無料 |
有料プラン | パッケージプラン:1,000クレジットまでは10ドル :10,000クレジットまでは49ドル :50,000クレジットまでは99ドル :100,000クレジットまでは159ドル :250,000クレジットまでは249ドル :500,000クレジットまでは499ドル :1,000,000クレジットまでは999ドルカスタムプラン :1,000,000以上 |
【非推奨】メールアドレスの存在確認の方法
メールアドレスの存在を確認する方法はいくつかありますが、中にはリスクが伴うため推奨されていない方法もあります。とはいえ、状況によっては役立つ場合もあるため、どのようなリスクがあるのかを理解しておくことが重要です。ここでは推奨されていないメールアドレスの存在確認の方法と、それぞれのリスクについて解説します。
確認用のメールを送信する
確認用のメールとはサービスに登録したユーザーに送信するメールのことです。例えば、商品を購入した際に「購入確認メール」が送られることがありますが、これは確認用メールの一種です。また、一般的に感謝を伝える目的で送られることが多いため「サンキューメール」とも呼ばれます。
この方法では送信後にエラーメッセージが返ってくるかどうかでメールアドレスの存在を確認できます。しかし、不特定多数に対して確認用メールを送ると以下のような問題が発生する可能性があります。
- スパムと判断されるリスク
繰り返し不要な確認メールを送ると、スパム判定されやすくなります。 - レピュテーションの低下
受信者に迷惑をかけることで、送信元の評価が下がる恐れがあります。 - 顧客の信頼を失う
不要なメールを送ることで、ブランドイメージが損なわれる可能性があります。
こうしたリスクを考えると確認用のメールを存在確認目的で送信するのはおすすめできません。
VRFYコマンドを利用する
VRFY
コマンドを使用すると、SMTPサーバーに対してメールアドレスの存在を問い合わせることができます。手順は以下の通りです。
- SMTPサーバーにTCP接続を行う
VRFY
コマンドを使用してメールアドレスの存在を確認する
一見便利な方法に思えますが、実際にはほとんどのメールサーバーでVRFY
コマンドは無効化されています。これはスパム業者がこのコマンドを悪用して無差別にメールアドレスを収集する危険性があるためです。したがって、この方法は実用的ではなく利用できる場面もほとんどありません。
SMTP通信を中断して確認する
SMTP通信を利用してメールアドレスの存在を確認する方法もあります。具体的にはRCPT TO
コマンドを送信し、受信サーバーの応答を確認することでアドレスの有無を判定するものです。
しかし、この方法には以下のようなリスクがあります。
- 大半のメールサーバーで拒否される
サーバーに負荷がかかるため、多くのメールサーバーでブロックされる可能性があります。 - スパムと判定される可能性がある
繰り返し検証を行うと、不審なアクティビティとしてブラックリストに登録される恐れがあります。 - 手間がかかる
SMTP通信を中断すると、再開するための操作が必要になり、作業効率が下がります。
SMTP通信を利用した確認は一時的には有効な場合もありますが、長期的に見るとデメリットの方が大きいため推奨されません。
メールアドレスの存在確認をすべき理由
メールアドレスの存在確認はただの手間ではなく、企業にとって重要なリスク回避の手段です。実在しないメールアドレスにメールを送信すると情報が届かないだけでなく、レピュテーションの低下や不正利用のリスクも伴います。ここではメールアドレスの存在を確認すべき具体的な理由を解説します。
重要なメールが届かない
どれだけ重要な内容のメールを送っても宛先のメールアドレスが存在しなければ、当然ながら相手に届きません。企業のメルマガであれば新商品の案内やシステム変更の通知を送ることもあるでしょう。
- サービスの重要なアップデート情報
- パスワードリセットメール
- 請求書や支払いに関する通知
こうしたメールが届かなければユーザーは情報を受け取れず、混乱を招くことになります。また、企業への信頼が損なわれるだけでなく売上機会の損失にもつながりかねません。
レピュテーション低下につながる
実在しないメールアドレスに繰り返し送信するとエラーメッセージが大量に返ってきます。この状態が続くと送信元のIPアドレスの評価(レピュテーション)が低下し、メールが迷惑メールフォルダに振り分けられる確率が高くなります。
一度レピュテーションが低下すると重要な取引先や顧客に送ったメールまで迷惑メール扱いされることがあり、ビジネスへの影響は無視できません。これを防ぐために、オプトイン(登録時のメール認証)を導入するのも一つの手です。オプトインのメリットは以下の通りです。
- 実在しないメールアドレスを事前に排除できる
- 確実にメールを受け取る意欲のあるユーザーのみリスト化できる
- レピュテーションを守り、到達率を維持できる
不正注文のリスクがある
メールアドレスの存在確認を怠ると不正注文やアカウントの不正利用を許してしまう可能性があります。特にECサイトやポイントサービスでは、不正行為が発生しやすくなります。不正注文の代表的な事例は以下の通りです。
- アフィリエイトポイントの不正取得
- 紹介キャンペーンを利用し、実在しないメールアドレスで架空のアカウントを作成
- 複数のアカウントを用意し、自作自演で報酬を獲得
- 転売目的の大量購入
- 数量限定商品を架空のアカウントで大量に購入
- フリマアプリやオークションサイトで高値で転売
不正注文が横行すると本来の顧客に商品が行き渡らなくなり、企業イメージの低下につながります。メールアドレスの存在確認サービスを活用し不正注文のリスクを未然に防ぐことが重要です。
メールアドレスが存在しない場合の対応方法
メールアドレスの存在確認を行うと実在しないアドレスが見つかることがあります。このまま放置するとメールの到達率が低下し、最悪の場合は送信元の評価(レピュテーション)が悪化してしまいます。ここでは、メールアドレスが存在しないときに取るべき対応方法をご紹介します。
送信先リストから削除する
存在しないメールアドレスが判明したら速やかに送信リストから削除しましょう。そのまま送り続けるとエラーメールの増加によって送信元の評価が下がり、最終的には送ったメールが迷惑メールフォルダに振り分けられるリスクが高まります。削除しない場合のデメリットは以下の通りです。
- 送信元のレピュテーションが低下する
- 迷惑メールと判定され、メールの到達率が下がる
- 受信者に届いても迷惑メールフォルダ行きになる
削除の手間を減らしたい場合は会員登録時に自動返信メールを送る仕組みを導入し、登録アドレスの確認を事前に行うのも有効な対策です。
電話番号を利用してアドレスの確認連絡を行う
登録時の入力ミスによって誤ったメールアドレスが登録されるケースは少なくありません。これを防ぐために、電話番号を利用した確認連絡を行うのも一つの手段です。例えば、以下のようなシーンで利用可能です。
- BtoBの取引先で重要な連絡が必要な場合
- 高額商品の注文時にメールアドレスの正確性を確保したい場合
このような場面では電話で直接確認することで、間違ったメールアドレスが登録されるリスクを大幅に減らせます。ただし、手間が増えるため必要な場面に限定して活用するとよいでしょう。
登録時に存在確認ができる仕組みにする
最も確実な方法は会員登録時にメールアドレスの存在確認を自動で行う仕組みを導入することです。具体的には以下のような方法が考えられます。
- 登録後に確認メールを送信し、リンクをクリックしないと登録完了しない仕組み
- メールアドレスの存在確認APIを導入し、入力時点でチェックを行う
このような仕組みを取り入れることで登録時に存在しないメールアドレスを排除でき、エラーメールを受け取るリスクを事前に防ぐことができます。また、正しいアドレスだけがリストに入るため、メール到達率が向上し企業の信頼性も維持できます。
メールアドレスの存在確認が重要な業界・ケース
メールアドレスの存在確認はすべてのビジネスにとって重要ですが、特に以下の業界やケースではその必要性がより高まります。適切な確認を行うことで業務の効率化や不正の防止、マーケティングの成功につながります。
ECサイト・ネットショップ運営
ECサイトでは顧客が入力したメールアドレスが正しくないと、注文確認メールや発送通知が届かずトラブルの原因になります。
- 注文確認メールが届Qかず、注文が無効になるリスク
- 発送通知が届かず、顧客が問い合わせを増やす可能性
- 架空のアカウントを利用した不正注文や転売対策
特に限定商品の販売時には不正なアカウントによる大量購入を防ぐため、メールアドレスの事前チェックが必須です。
BtoB取引・法人向けサービス
企業間取引では正確なメールアドレスでのやり取りが重要です。特に以下のようなメールは確実に送信できるようにする必要があります。
- 契約書・請求書の送付
- 重要な業務連絡や社内通知
- 新規顧客やパートナー企業とのやり取り
一度でも誤ったアドレスに送信するとビジネス上の信頼に関わる問題に発展する可能性があるため、事前の確認が欠かせません。
SaaS・サブスクリプションサービス
SaaSや定額制のオンラインサービスではユーザー登録時にメールアドレスを誤って入力すると、認証メールが届かずアカウントが有効化されない問題が発生します。
- 二要素認証(2FA)やログイン認証に影響
- 課金や契約更新通知が届かず、ユーザーの解約率が上がる
- スパムアカウントの増加を防ぐためのフィルタリング
このような理由からユーザー登録時点でのメールアドレスの検証は、SaaSビジネスの安定運用に不可欠です。
メールアドレスの存在確認のベストプラクティス
メールアドレスの存在確認を適切に行うことでメール配信の精度を向上させ、ビジネスの信頼性を維持できます。以下のベストプラクティスを実施することでメール到達率を最大化しましょう。
定期的にメールリストをクリーニングする
古くなったメールアドレスや無効なアドレスを放置すると配信エラーが増え、結果的にスパム判定のリスクが高まります。最低でも 3ヶ月に1回はリストのクリーニングを実施し無効なアドレスを除外することが推奨されます。
登録時にメール認証を導入する
メールアドレスの存在を事前に確認するために二重オプトイン(ダブルオプトイン)を導入すると、確実に存在するアドレスのみをリストに追加できます。
- 仮登録メールを送信し、認証完了後に本登録
- 登録時にリアルタイムでメールアドレスをチェック
これにより不正な登録や入力ミスを防ぎ、より質の高いメールリストを構築できます。
送信エラーの分析と対策を行う
メールを送信した際にどのアドレスがエラーになったのかを分析し、原因を特定することも重要です。エラーメールには以下の2種類があります。
- ハードバウンス(Hard Bounce)
存在しないアドレスへの送信(削除推奨) - ソフトバウンス(Soft Bounce)
一時的なエラー(一定回数続く場合は削除)
エラーメールの種類を見極めて適切にリストを管理することで到達率の向上につながります。
メールアドレスが存在しない場合の対応
メールアドレスが存在しない場合は適切な対応を取ることで、メール配信の効果を維持し企業の評価を守ることができます。具体的な対応方法は以下の通り。
- 送信先リストから削除する
送信元のレピュテーションを守るために必須 - 電話番号で確認する
重要な連絡先には直接確認するのも有効 - 登録時に存在確認を行う
事前にチェックする仕組みを導入し、エラーを防ぐ
こうした対策を講じることで、効率的かつ安全にメール配信を運用することができます。
まとめ
メールアドレスの存在確認はビジネスにおいて欠かせないプロセスです。誤ったアドレスに送信するとメールが届かないだけでなく、送信元の評価が低下し迷惑メール判定を受けるリスクが高まります。また、不正注文やスパム行為の温床になる可能性もあるため事前のチェックが重要です。
送信リストのクリーニングを定期的に行い不要なアドレスを削除することで、無駄な送信を防ぎ、メールの到達率を向上させることができます。専用のメールアドレス確認ツールを活用すれば手間をかけずに正確なデータを維持でき、エラーメールによる影響を最小限に抑えられます。さらに、会員登録時に確認メールを送信する仕組みを導入すれば実在しないアドレスの登録を防ぎ、信頼性の高いリストを構築できます。
適切な方法でメールアドレスの確認を行い確実にメールを届ける環境を整えましょう。
