問い合わせフォームのスパム対策とは?原因・リスク・効果的な防止策を詳しく解説

問い合わせフォームを設置している企業にとってスパム対策は避けて通れない問題です。スパムメールの増加は業務効率の低下だけでなく、企業の信頼性や顧客対応にも悪影響を与える可能性があります。
スパムの多くは自動化された「bot」によって送信されており、問い合わせフォームを標的にして大量の迷惑メールを送りつけてきます。これにより企業は以下のようなリスクに直面します。
- セキュリティリスクの増大
フィッシング詐欺やマルウェア感染の危険が高まり、情報漏えいのリスクが発生。 - 企業の信用低下
問い合わせフォームが悪用され、第三者へスパムを送信してしまうと、企業の信頼が損なわれる。 - 顧客対応の遅れ
スパムメールに埋もれ、本来対応すべき顧客からの問い合わせを見落とす可能性がある。 - 業務の効率低下
不要なスパムメールを仕分ける手間が増え、従業員の負担が増加。
スパムを放置すると問い合わせフォーム自体が攻撃の踏み台にされ、悪意のあるスパムメールの拡散に利用されるケースもあります。これにより企業がスパムの送信元と認識され、メールの到達率が低下する恐れもあります。
本記事では問い合わせフォームのスパム対策の具体的な方法をわかりやすく解説します。

問い合わせフォームを狙うスパムの仕組み
問い合わせフォームを狙ったスパムはウイルスや危険なサイトのURLを含む可能性があり、企業にとって大きなリスクとなります。スパムの手口を理解し適切な対策を講じることが重要です。
フォーム設置企業を狙うスパム
問い合わせフォームを狙うスパムの多くは自動化された「bot」と呼ばれるプログラムによって実行されます。このbotはインターネット上の問い合わせフォームを探し出し、発見次第スパムメッセージを送信します。主な手口は以下のとおりです。
- フォームに不要な情報を大量に入力し、送信を繰り返す
- 企業に対する迷惑行為として、大量のスパムを送りつける
- 自動化された攻撃のため、短時間で大量のメッセージを送信できる
このようなスパム攻撃は企業の問い合わせ業務を妨害し、顧客対応の効率を著しく低下させる原因となります。
問い合わせフォームを踏み台にしたスパム
問い合わせフォームを利用して第三者のアドレスを返信先に指定し、ウイルスを含むリンクやフィッシングサイトのURLを拡散する手口もあります。たとえば、以下のようなケースが考えられます。
- フォームの「返信先」に他人のメールアドレスを指定し、企業がスパムメールを送信する形にする
- 送信されたメールの本文に、悪意のあるリンクを埋め込み、フィッシングサイトへ誘導する
- 企業の問い合わせフォームを悪用し、詐欺メールを大量にばらまく
このようなスパムが発生すると、企業がスパム送信者と見なされ、メールがブロックされるリスクがあります。そのため、適切な対策が必要です。
問い合わせフォームのスパム対策が必要な理由
問い合わせフォームのスパム対策は企業のセキュリティを守るために欠かせません。スパムを放置するとウイルス感染や情報漏えいのリスクが高まり、さらには第三者への被害や企業の信頼低下につながる恐れがあります。ここではスパム対策の重要性について詳しく解説します。
ウイルス感染や情報漏えいを防ぐため
スパムメールには危険なサイトのURLやウイルスが含まれていることが多く、うっかり開封するとウイルス感染や情報漏えいにつながる恐れがあります。特に企業の問い合わせ窓口に届くスパムメールには以下のような危険があります。
- ウイルスを含む添付ファイルを開くことで、社内ネットワーク全体に感染が広がる
- フィッシングサイトへ誘導され、ログイン情報などが盗まれる
- 機密情報や顧客データが流出し、信用を失う
このような被害を防ぐためにはスパム対策を徹底することが重要です。
第三者の被害を防ぐため
問い合わせフォームがスパムに悪用されると企業だけでなく、関係のない第三者にまで被害が及ぶ可能性があります。たとえば、問い合わせフォームを踏み台にしてスパムメールが送信されると被害者は企業からの正規のメールと誤解しフィッシング詐欺に引っかかるかもしれません。
さらに、企業がスパムの踏み台にされると以下のような問題が発生します。
- 取引先や顧客に迷惑メールが送信され、企業の信用が低下する
- スパムメールの送信元と見なされ、企業のメールがブロックされる
- 問い合わせ対応に支障をきたし、本来の業務に悪影響を与える
こうしたトラブルを未然に防ぐためにも問い合わせフォームのセキュリティ対策を強化することが大切です。
企業の信頼性を保つため
一度でもスパム被害に遭うと企業のイメージに大きなダメージを与える可能性があります。特に顧客情報が流出した場合、その影響は長期間にわたって続くことも珍しくありません。
- 「あの会社はセキュリティが甘い」という悪評が広がる
- 顧客や取引先の信頼を失い、契約の見直しや解約につながる
- 企業のブランドイメージが低下し、新規顧客の獲得が難しくなる
信頼を回復するには時間とコストがかかるため、あらかじめスパム対策を万全にしておくことが重要です。企業の評判を守るためにも問い合わせフォームのセキュリティを強化しましょう。
問い合わせフォームのスパムによる被害事例
スパム対策を怠ると企業の業務に大きな影響を及ぼします。問い合わせフォームを悪用したスパム攻撃は単なる迷惑メールにとどまらず、さまざまな被害を引き起こす可能性があります。ここでは実際に発生したスパム被害の事例を紹介しその深刻さを解説します。
企業の問い合わせ対応が麻痺するケース
スパムが大量に送られてくると企業の問い合わせ対応が追いつかなくなり、本来の業務に支障をきたします。たとえば、短時間に数千件のスパムメッセージが送信されることでカスタマーサポートのメールボックスが埋まり、重要な顧客からの問い合わせを見落としてしまう事態が発生します。特に小規模な企業では問い合わせ対応を少人数で行っているため、スパムの影響を大きく受けやすいです。
企業のドメインがスパムリストに登録される
問い合わせフォームが悪用されることで企業のメールドメインがスパムリストに登録されるケースもあります。たとえば、フォームを踏み台にしたスパム送信が継続的に行われるとGmailやYahoo!メールなどの主要なメールサービスプロバイダによって「迷惑メール送信元」と判断され、企業の正規のメールまでもが迷惑メール扱いされることがあります。一度スパムリストに登録されると解除が難しく取引先や顧客との重要なやりとりにも支障をきたすことになります。
フィッシング詐欺やウイルス感染のリスク
問い合わせフォーム経由で送信されるスパムの中にはフィッシングサイトへ誘導するURLが含まれていることがあります。これをクリックした従業員が誤ってログイン情報を入力してしまうと、社内システムが不正アクセスの被害を受ける可能性があります。また、添付ファイル付きのスパムメールにはウイルスが仕込まれていることがあり、これを開封すると社内ネットワーク全体に感染が広がる恐れがあります。
このように問い合わせフォームのスパムは単なる迷惑行為ではなく、企業に深刻な被害をもたらす可能性があるため早急な対策が求められます。
問い合わせフォームのスパム対策の方法
自社の問い合わせフォームに急に大量のメールが届く場合その多くはスパムです。これを放置すると業務に支障をきたすだけでなく企業の信頼を損なう原因にもなります。以下の方法を活用して、適切にスパム対策を行いましょう。
自動応答メールを廃止する
問い合わせフォームに自動応答メールを設定している場合、一度その必要性を見直してみましょう。自動応答メールは顧客への即時対応として便利ですが、悪意のあるユーザーに悪用されるリスクもあります。
たとえば、スパム送信者が第三者のメールアドレスを問い合わせフォームに入力し、企業の自動応答メールを利用してスパムを拡散させるケースがあります。このような行為により、企業の信頼性が損なわれるだけでなく意図せず迷惑行為に加担してしまうことも。
そのため、可能であれば自動応答メールの廃止を検討し必要な場合は慎重に設定することが重要です。
自動応答メールを固定の文言に設定する
どうしても自動応答メールを廃止できない場合は以下の対策を取りましょう。
- 自動応答メールの送信元アドレスを「送信専用(no-reply)」のものにする
- メール本文に「このメールは自動送信です。返信は受け付けていません」などの文言を含める
- 返信用メールアドレスの流出を防ぐため、余計な情報は記載しない
こうした対策を取ることで、スパムの踏み台にされるリスクを軽減できます。
ただし、昨今はメールのセキュリティ強化も著しいです。「no-reply」で送付するメールが迷惑メールとして扱われるリスクについても考慮しておきましょう。
問い合わせフォームに必須項目や確認画面を設ける
問い合わせフォームには以下のような入力必須項目や確認画面を設けることで、スパムを防止できます。
- 氏名や電話番号の入力を必須にする
- フォーム送信前に確認画面を表示する
- 特定の質問に回答しないと送信できない仕組みにする
botはこうした追加の手順に対応できないことが多いため、スパムの侵入を防ぐのに有効です。
reCAPTCHA v3を実装する
Googleが提供する「reCAPTCHA v3」は問い合わせフォームのスパム対策として非常に効果的です。従来の「画像認証」ではなく、ユーザーの行動パターンをもとにスコアを生成しbotか人間かを判定します。
- ユーザーがフォームを開いた時間やマウスの動きを分析
- スコアに応じて、スパムと疑われる送信をブロック
- 人間には負担をかけず、botのみを排除
このようにユーザーの利便性を損なうことなく、スパム対策を強化できます。
WordPressではスパム対策プラグインを導入する
WordPressを利用している場合「Contact Form 7」などのプラグインと組み合わせることでスパム対策を強化できます。特にスパムワードの設定やIPアドレスのブロック機能を活用すると効果的です。
- 「100%無料」「リスクなし」など、スパムでよく使われる単語を禁止ワードに登録
- 特定のIPアドレスやドメインからの送信をブロック
これにより、問い合わせフォーム経由でのスパムを減らせます。
メールアドレスを工夫して掲載する
問い合わせフォームとは別に、メールアドレスをサイト上に直接掲載している場合、botに取得されないように工夫することが大切です。
- 「contact@example.com」ではなく、「お問い合わせ先:info[at]example.com」と表記する
- 英語表記の「Contact」ではなく、日本語表記の「お問い合わせ」に変更する
- 画像でメールアドレスを掲載する(ただし、ユーザビリティの低下に注意)
こうした工夫により、スパム業者によるメールアドレスの自動収集を防ぐことができます。
アクセス元のIPやドメインを制限する
スパムを送信してくるのが特定のIPアドレスやドメインの場合、それらを制限することでスパムを減らせます。
- 問い合わせフォームのログを確認し、怪しいIPアドレスを特定する
- .htaccessファイルを使って、特定のIPアドレスやドメインをブロックする
- Whois情報をチェックして、怪しい送信元を把握する
特に海外の怪しいIPアドレスから大量のスパムが送られている場合は、国別のアクセス制限を検討するのも一つの方法です。
メール配信システムを利用する
問い合わせフォームのスパム対策を強化するためにはメール配信システムの導入も有効な手段の一つです。メール配信システムを活用することで問い合わせフォームから送信されるメールの管理を最適化し、スパムの影響を最小限に抑えることができます。特にスパムメールのフィルタリングや送信元の認証機能を強化することで、問い合わせ対応の効率を向上させることが可能です。
なぜメール配信システムがスパム対策になるのか
一般的な問い合わせフォームでは送信されたメールが直接企業のメールサーバーに届くため、スパムメールもそのまま受信してしまいます。しかし、メール配信システムを活用すると以下のような仕組みでスパム対策が強化されます。
- スパムフィルターの適用
送信されたメールを事前にスキャンし、スパムと判断されたものを除外する。 - メール認証技術の活用
SPF、DKIM、DMARCなどの認証を活用し、なりすましメールや不正送信を防ぐ。 - ブラックリストの管理
スパム送信元のIPアドレスやドメインをブロックし、信頼できる送信元のみ許可する。 - メールのログ管理と監視
送受信ログを記録し、異常な動きがないか監視することで、不審なアクティビティを早期発見できる。
問い合わせフォームとメール配信システムを連携するメリット
問い合わせフォームから送信されたメールを直接管理するのではなくメール配信システムを経由させることで、スパムの影響を大幅に軽減できます。例えば、問い合わせ内容を一定の基準でフィルタリングし、自動返信を適切に制御することでスパムの踏み台にされるリスクを回避できます。また、問い合わせメールを一元管理することでスパムメールと重要な問い合わせを効率的に振り分けることも可能です。
さらに、企業のメールがスパム扱いされるリスクを軽減できる点もメリットです。スパムが多発すると自社のドメインがブラックリストに登録される可能性がありますが、信頼性の高いメール配信システムを利用すればメールの到達率を維持しつつスパム対策を強化できます。
上記で紹介したWordpressのプラグインであるContact Form 7でメールが届かない場合は以下の記事を参考にしみてください。
SMTPリレー・API連携サービス「ブラストエンジン(blastengine)」

SPFやDKIMなどGmail送信者ガイドライン対応しており、API連携・SMTPリレーが可能なメール配信システムです。
ブラストエンジンは、SMTPリレーサーバーを使用して、簡単に大量のメールを高速配信することが可能です。さらに、メールサーバーを必要とせず、API経由でメールを送信する仕組みも提供しています。
ブラストエンジンは、サーバーの運用やメンテナンスを行っているため、常に高いIPレピュテーションを維持しながら、安全にメールを送ることができます。
以下のような課題がある場合は、ブラストエンジンの利用を検討してみることをおすすめします。
- 自社のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていて、メールが届かない場合
- 国内キャリアにメールが届かず、対応方法がわからない場合
- 自社でメールサーバーを管理・運用したくない場合
また、ブラストエンジンは各メールプロバイダーや携帯キャリアのドメインに最適化されており、大規模なネットワークを経由してメール配信を行うことで、日本国内での到達率を圧倒的に高めています。
利用料金は月額3,000円からとコストパフォーマンスにも優れており、メールだけでなく、日本語での電話サポートにも対応しています。
メールアドレスの入力のみで無料トライアルが可能ですので、まずは気軽にお試しください。
まとめ
問い合わせフォームのスパム対策を怠ると業務効率の低下やセキュリティリスクの増加、さらには企業の信頼低下につながる可能性があります。スパムのリスクを最小限に抑えるためには以下の対策を実施することが重要です。
- 自動応答メールの適切な設定(不要なら廃止、必要なら送信専用にする)
- 必須項目や確認画面の設置(botによるスパムを減らす)
- reCAPTCHA v3の導入(ユーザーの負担なくスパムを防ぐ)
- スパム対策プラグインの活用(特にWordPressサイトでは有効)
- メールアドレスの掲載方法を工夫する(botに拾われないようにする)
- アクセス元のIPやドメインを制限する(特定の悪質な送信元をブロック)
これらの方法を組み合わせることで、問い合わせフォームを狙うスパムの脅威を大幅に軽減できます。
スパム対策は一度実施すれば終わりではなく定期的な見直しと更新が必要です。最新のスパム手法に対応するために適切な対策を継続的に行い、問い合わせフォームの安全性を確保しましょう。
