メール遅延はなぜ起こるのか?遅延の原因と対策を解説

2024年2月21日

メールは古いツールに思われがちですがビジネスにおいてはまだまだ利用されており、メール配信の市場も年々伸び続けています。

もし、メールが遅延してしまうと日常業務において多大な影響を及ぼすことでしょう。特に、タイムリーなコミュニケーションが求められるビジネスシーンにおいては、メールの遅延がプロジェクトの遅れや機会損失を引き起こす可能性があります

メールが遅延する原因は一つではなく、技術的な問題から人為的なミスまで、さまざまな要因があります。

この記事では、メール遅延の主な原因を詳しく掘り下げ、それらの対策方法をご紹介します。

メール送信の仕組み

メールの遅延が起こる原因を解説する前に、まずはメールを送信してから相手が受信するまでの流れを確認しましょう。

  1. メール送信者がメールを作成し送信する
  2. メールは自社ののメールサーバー(SMTPサーバー)に転送される
  3. 3.SMTPサーバーがドメイン名とIPアドレスを変換するDNSサーバーに問い合わせをし、配送先のメサーバーのIPアドレスを宛先のメールアドレスから確認する
  4. 宛先のIPアドレスがわかったら、配送先のSMTPサーバーにメールを転送する
  5. 受信側のメールサーバーがメールを受け取り、受信者のメールボックスへメールを振り分ける
  6. 受信者がメールソフトからメールを開封する

ざっくりとした説明ではありますが、このような流れでメールは受信者へと届けられます。

本記事ではこのあとさまざまなメール遅延の原因について解説しますが、メール配信の仕組みを理解していれば、問題が起きた際にどのプロセスで遅延が発生しているかが把握しやすくなります。

また、どの箇所に問題があるのかを予想できると、改善するための具体的な対策を取りやすくなるでしょう。

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メール遅延による悪影響

メールは個人対個人の1to1メールで利用されるのはもちろん、最近ではメルマガのような一斉送信も活用されるケースが多くなってきました。

メールはコストを抑えて一度にたくさんの人に情報を届けられるのがメリットです。では、メールが遅延してしまうとどのような影響があるのでしょうか。詳しく解説します。

情報共有の遅れやコミュニケーションロス

特にタイムセールなどの期間限定のお知らせメールが遅れて届いた場合、ビジネスチャンスの機会損失となってしまいます。

ビジネスチャンスを逃すうえ、顧客が企業に対し不信感を抱く可能性もあります。結果として企業のイメージや信頼が低下する恐れがあるのです。

また、情報共有の遅れはビジネスシーンコミュニケーションにおいてもトラブルになりかねません。例えば、会議に必要な情報を事前にメールで送信していたのにメールの遅延で届いていないと、話がうまく伝わらないといったことが起こります。

せっかく時間を割いて集まった会議で、事前に伝えておきたかった情報の説明に時間を費やしてしまうことは非効率です。

クレームの発生

先述のようにタイムセールなどの期間限定のお知らせメールが遅れた場合、顧客にとっては購入の機会を逃すことになります。「メールが遅れ、限定品を手に入れる機会を失った」「タイムセールが終わってからメールが届いた」などのクレームにもつながる恐れがあります。

クレームは会社の信頼を損なうだけでなく、対応に多くのコストを割かなければなりません。ビジネスチャンスと顧客からの信頼を得るには、メールの遅延問題はすぐに対処すべきです。

また、注文確認メールやアカウント登録メール、パスワードリセットメールなど、特定のユーザー操作に基づく自動化されたメールの送信であるトランザクションメールが遅れてしまうと大きなトラブルに発展してしまうリスクもあります。

メールが遅延する原因

メールの遅延にはどのような原因があるのでしょうか。メールの遅延は必ずしも送信側に原因があるとは限らず、時には受信側に問題がある場合もあります。

ここでは、メールが遅延する原因を送信側と受信者側に分けて解説します。

送信側の理由

メール遅延の送信側の理由としては以下のようなものが考えられます。送信者自身が対策を講じていれば防げるものも多くあります。それぞれの理由について詳しく解説します。 

メール生成と転送処理の時間が長い

メールサーバーが抱えきれない量のメールを作成・配信すると、メールの生成や転送処理に時間がかかり、遅延の原因になります。

通常、メールサーバーでは配信エラーが出た場合、一定時間おいた後に再配信を試みる仕組みになっています。しかし、再配信のメールが多い場合は送信待ちの列のようなキューというものにメールが溜まっていくため、遅延を引き起こしてしまうのです。

メールサーバーの過負荷

送信側または受信側のメールサーバーが過負荷状態にあると、メールの処理に時間がかかるようになり遅延が発生します。

特に自社のメールサーバーで一斉送信を行うと、大量のメールがメールサーバーに滞留し、他の業務メールの送受信にも遅延が生じる恐れがあります。

その他、サーバーのリソース不足やサーバーやネットワークの障害でメールの遅延が発生していることもあります。メッセージヘッダーを確認してみると、経由したサーバーやメールの経過時間がわかるため、どこで遅延しているかを解析できるかもしれません。

サーバーの制限がかかっている

レンタルサーバーを利用している場合、一般的に1時間あたりもしくは1ヶ月あたりといった範囲でメール送信に制限が設けられています。理由としては、スパムメールを防止するためです。上限を超えてメールの送信に制限がかかるとメール遅延の直接的な原因となります。

利用しているレンタルサーバーの上限がどれくらいかをよく確認し、大規模な一斉送信をする場合は気をつけて配信したほうがよいでしょう。

IPレピュテーションが低い

IPレピュテーションとは、英語で「IP Reputation」と表記し、「レピュテーション」には「評判」という意味があります。IPアドレスの信頼性についての評判に基づいてスコアリングを行い、通信の許可・不許可を判断するものです。

評価基準となる要素の一例をまとめました。

  • 送信者ドメイン認証が設定されているかどうか
  • 急激なメール配信の増加
  • スパムトラップへメールを配信していないか
  • メールの内容に不適切なキーワードが含まれていないか

その他にも開封率やクリック率などのエンゲージメント率が低いなど様々な評価基準があります。

IPアドレスのIPレピュテーションのスコアが低いメールの場合、メールの到達率が下がるため、結果として迷惑メールに分類されやすくなります。

また、インターネットサービスプロバイダにブロックされてしまう恐れもあります。IPレピュテーションが低いこともメール配信の遅延や不達に直結するため、IPレピュテーションを向上させるもしくは維持することが大切です。

キャリアやISPによる制限

キャリアやISP(インターネットサービスプロバイダ ※以下「プロバイダ」)には規定のガイドラインがあるため、違反するとメールがスパム扱いされ、メール配信が遅延や停止します。ガイドライン違反が疑わしい場合、キャリアやプロバイダのガイドラインを確認し、自社のメール配信に問題がないかをクリアにしましょう。

例えば、キャリアは送受信できるメールの上限を定めています。日常的にメルマガの一斉送信を利用する場合は、自社の送信数がキャリアが定める上限を超えていないか注意すべきでしょう。

また、現在は使用されていないメールアドレスにメールを送信するのも厳禁です。不達でメールが戻ってくることが多くなると、キャリアやプロバイダからスパムであると判断されてしまいます。メールの件名や本文に公序良俗に反する文言が使われていないか、送信側のIPアドレスがブロックされていないか確認しましょう。

グレーリストに入っている

「グレーリスト」(greylisting)とは、キャリアがスパム対策として意図的にメールの受信を遅延させることです。この他に無条件にメールの配送を拒否する「ブラックリスト」、無条件に配送を許可する「ホワイトリスト」が存在します。

メールの受信サーバーは、グレーリスト内の特定の送信者によるメールの受信を一時的に拒否します。時間をおいて再送信すれば受信されますが、スパムであれば一度送るだけで再送信は行いません。しかし、規格に沿ったメールサーバーソフトであれば、一般的に15分程度間をおいて再配送を試すようになっているのです。そのため、通常のメール送信者からのメールであればサーバーが再送信する、という前提のもと生まれた対策方法になります。

グレーリストに入るとメールの配信が遅延してしまうため、後述するIPウォームアップでIPレピュテーションを上げておく必要があるでしょう。

受信側の理由

メール遅延の受信側の理由もいくつか挙げられます。自分では気付けない原因もあるため、日頃からメールに関するメンテナンスを行うことが大切です。

メールボックスの容量不足

メール遅延が起きたとき、見落としがちなのがメールボックスの容量です。メールを受信する側のメールボックスがいっぱいになっている場合、遅延が発生したり受信できなかったりします。

受信側の問題である場合、送信側の働きかけだけでは解決できません。受信側にメールボックスの容量を空けてもらう必要があります。

日頃から定期的にメールボックスの容量を確認、整理する習慣をつけましょう。

メールサーバーの過負荷

一度に大量のメールを受信すると、サーバーの負荷が大きくなって配信が遅延します。例えるなら交通渋滞のようなものです。車の走行量が多すぎて前に進めないといった状態に似ており、メールがサーバー内に溜まってしまうのです。

メールの送受信には3つのサーバーが使われているため、いずれかに過負荷がかかるなどの不具合があると配信に遅延が発生してしまいます。システムを管理する担当者か、もしくはサービスを利用している場合はサービスに障害が起きていないか確認しましょう。

メール遅延の対策方法

メール遅延には送信側、受信側それぞれに問題が起きている可能性がありますが、基本的には以下の対策を行うことで解決できるでしょう。ここでは、メール遅延の対策方法を5つ紹介します。

送信環境を改善する

メール遅延対策には、送信環境を改善することが重要です。配信性能を高めることによってメールの到達率や配信スピードを上げることができます。

例えば、SPFやDKIM、DMARCなどのメール認証の設定も送信環境改善のひとつと言えるでしょう。

SPF認証が必要な理由と設定方法
【図解】初めてでも腹落ち!DKIMの仕組みと設定方法
DMARCとは?メリットや設定方法、DMARCレポートの読み方について徹底解説

また、最も理想的な対策はメール配信システムを利用することです。メール送信性能が高く信頼できるIPからメールを送信することができるため、メールの高速配信が可能となります。

メール配信システムについては次の章で詳しく解説します。 

配信先リストを精査する

現在ではフリーメールアドレスの取得が一般的になり、気軽にメールアドレスを発行できるようになった一方、不達となるメールアドレスも増えています。宛先不明で不達となるメールが多い場合、無作為にメールを送るスパム業者と判定される恐れがあります。

スパム業者と判定されないために、定期的に配信先リストを精査し、使われていないメールアドレスはリストから削除しましょう。

メールを小分けにして送信する

メール配信の環境を変えずに遅延を防ぐには、少量ずつ小分けにしてメールを送信する方法もあります。レンタルサーバーの送信制限や、各キャリアやメールサービスの受信制限に当てはまらなくなるため、より確実に配信ができます。

また、メールを小分けにして送信する方法は、送信メールサーバーのネットワーク環境やスペックに問題がある場合にも有効な対策です。

IPウォームアップを行う

IPレピュテーションを向上させるための施策を「IPウォームアップ」と呼びます。必ずメールを受信できる送信先リストに対して少しずつメールを送信していき、1ヶ月〜数ヶ月かけて徐々に数を増やしていく方法です。メールの送信数を少しずつ増やすことには、送信実績を上げる、つまりIPレピュテーションが向上する効果があります。

固定IPアドレスが割り当てられている場合や、送りたい通数に対し、十分なレピュテーションがない場合はIPウォームアップが必要です。

IPレピュテーションが低いと、一斉送信をした時の受信制限が起こりやすくなります。受信制限はメールの遅延やブロックの原因となるため、IPレピュテーションを向上させてキャリアによる受信制限やIPスロットリング、グレーリストを回避しましょう。

なお、IPスロットリングとは、一定の間に受信できるメールの量を超えた場合に受信の制限がかかってしまうことです。一時的ではありますが、IPスロットリングの状態ではメールが届かなくなるため注意する必要があります。

ガイドラインを守る

携帯電話キャリアや各メールサービスは、メール送信に関するガイドラインを公開しており、送信したメールが迷惑メールと判定されないためにはどのように対応したらよいかをまとめています。

それぞれのガイドラインを確認し、自社のメール配信の手段が適切であるかを確認しましょう。主なメールサービスのガイドラインは以下の通りです。

 特に注意が必要なのはGmail宛のメール送信です。

2024年2月にメール送信者ガイドラインが変更され、1日5000件以上送信する場合はSPFやDKIM、DMARCなどのメール認証の設定が必須になるなど様々な条件が指定されています。

Googleの送信者ガイドラインについては以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

【2024/1/19最新】Gmail送信者のガイドライン変更の内容と対応方法を”1から”解説!

これらのガイドラインは、スパムなどの対策のため随時変更されます。特定のキャリアにメールが届かなくなった場合、ポリシーが変更されている可能性もあります。大量の不達が出ても焦らないよう、ガイドラインは都度目を通しておくようにしましょう。

また、メール配信サービスを導入する際は、事前に適切な運用ができるかを相談してみることをおすすめします。キャリアのガイドラインに合った配信ができるか、利用者側でできる対策などを確認しましょう。

メール遅延対策におすすめのメール配信システム

SMTPやAPIなどでシステム連携をしてメール配信をする場合はブラストエンジンを利用するのがおすすめです。メール配信に問題が生じた際に、「いつ、どのメールアドレスで、どのような原因のエラーが起きたのか」をすぐに確認できるため、再配信などの対応が迅速に可能となります。

メルマガなどの一斉送信を行う場合は、ブラストメールなどのメール配信システムを利用すれば、配信エラーとなる無効なメールアドレスを自動的に除外して配信を行うことが可能です。大量のメールをクリーンに送信するのであれば、メール配信システムの利用は欠かせません。

API連携・SMTPリレーサービス「ブラストエンジン(blastengine)」の活用

blastengineのアイキャッチ画像

ブラストエンジンは、SMTPリレーサーバーを使用して、簡単に大量のメールを高速配信することが可能です。さらに、メールサーバーを必要とせず、API経由でメールを送信する仕組みも提供しています。

ブラストエンジンは、サーバーの運用やメンテナンスを行っているため、常に高いIPレピュテーションを維持しながら、高速かつ安全メールを送ることができます

以下のような課題がある場合は、ブラストエンジンの利用を検討してみることをおすすめします。

  • 自社のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていて、メールが届かない場合
  • 国内キャリアにメールが届かず、対応方法がわからない場合
  • 自社でメールサーバーを管理・運用したくない場合

また、ブラストエンジンは各メールプロバイダーや携帯キャリアのドメインに最適化されており、大規模なネットワークを経由してメール配信を行うことで、日本国内での到達率を圧倒的に高めています。

利用料金は月額3,000円からとコストパフォーマンスにも優れており、メールだけでなく、日本語での電話サポートにも対応しています。

メールアドレスの入力のみで無料トライアルが可能ですので、まずは気軽にお試しください。

シェア1位のメール配信システム「ブラストメール」の活用

ブラストメールのアイキャッチ画像

ブラストメールは、13年連続で顧客導入シェア1位を獲得している信頼性の高いメール配信システムです。ブラストエンジンとは異なり、メルマガなどのメール一斉送信に利用することができます。

このメール配信システムの特徴は、使いやすさとコストパフォーマンスの高さです。さまざまな業種や官公庁でも利用されており、定番のメール配信システムとして広く知られています。

高速配信はもちろん、迷惑メール対策機能、セグメント配信や効果測定、HTMLメールエディタなど、基本的な機能がすべて揃っています。最も安いプランでも、月額4,000円以下で導入することができます。

シンプルで安価なため、初めてメール配信システムを利用してみたい方にもおすすめです。無料トライアルも用意されているので、まずは試してみることをお勧めします。

まとめ

メール遅延は送信側、受信側それぞれに原因があることが考えられます。メール配信の際には、各キャリアやメールサービスのガイドラインを遵守し、迷惑メールの判定を受けないよう気を配らなければなりません。送信環境の改善や、IPレピュテーション向上のためのIPウォームアップなどが、メールの遅延防止の解決策となるでしょう。

また、受信する側もメールボックスの容量を空けておく、サーバーの負荷状況を把握しておくなど、大切な連絡を確実に受け取れるよう対策を講じることが重要です。

キャリアメールでは送信できるメールの上限が決まっているため、メールマガジンなどで頻繁に大量のメールを送る場合は、メール送信サービスを検討するとよいでしょう。無料のものもありますが、サーバー機能が弱い場合があるため、サービスの安定している有料サービスがおすすめです。メール配信サービスを導入するかどうかは、まず自社の理想とする運用ができるかを相談、確認したうえで検討してみましょう。

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