メールの到達率とは?低下の原因と8つの改善方法を詳しく解説!計算方法や目安も
メールは企業が顧客と接点を持つうえで重要なツールであり、メールを使ったメールマーケティングやコミュニケーションの重要性は年々高まっています。しかし、せっかくメールを送っても実際に相手に届いていなければ効果がありません。そこで注目されているのが「メールの到達率」です。
到達率とは、配信したメールが受信者の受信箱に正しく届く割合を指します。この指標が低下すると、せっかくのメールやメルマガが顧客の受信ボックスに届かず、貴重なビジネスチャンスを逃してしまうリスクがあります。
この記事では、メールの到達率について、低下の原因や改善する方法を解説します。
メール送信で重要な指標「到達率」
メールの到達率は、効果的なメール配信を行ううえで重要な指標です。ここでは、メールの到達率の概要やその目安、計算方法などを解説します。
メールの到達率とは
メールの到達率とは、送信したメールのうちエラーにならず相手のメールボックスに届いた割合のことです。メールを配信する際、すべてのメールが相手の受信ボックスに届くわけではありません。迷惑メールフィルターにより受信を拒否される場合や、宛先が既に削除されており存在していない場合もあります。
近年、キャリアやISPなどの迷惑メール対策の強化により正当なメールが迷惑メールと誤判定される場合があり、メールの到達率に大きな影響を及ぼしています。
メール到達率の計算方法
メール到達率は「到達数÷配信数×100」で求められます。例えば、配信数500件に対して到達数が450件の場合、メール到達率は90%です。メールマーケティングでは、開封率やクリック率と合わせて、これらの指標を総合的に確認することが重要です。
その他にも以下の指標はいつでも確認できるように計算方法を覚えておきましょう
- 不達率:エラー数÷配信リスト数×100
- 開封率:開封数÷配信成功数×100
- 反応率:URLクリック数÷開封数×100
- クリック率:URLクリック数÷配信成功数×100
- 解除率:読解除数÷配信成功数×100
メール到達率の目安・平均値
メール到達率は100%に近づけることが理想ですが、現実的に100%を維持することは、極めて困難です。
そのため、メール到達率は90〜95%程度を目指すことが一般的でしょう。メール到達率が90%を下回り続ける場合、何らかの対策が必要となる可能性が高いです。
配信成功率とメール到達率の違い
メール到達率とよく似た指標に「配信成功率」があります。配信成功率とは、送信したメールのうち相手のメールサーバーに受け入れられた割合のことです。受信ボックスだけではなく、迷惑メールフォルダに受信された場合も配信成功率として測定されます。
メールはサーバーを経由して受信ボックスに届くため、基本的にメール到達率は配信成功率よりも低くなります。配信成功率も考慮すべき指標ですが、最も重要な指標はメール到達率ということを覚えておきましょう。
例えば、利用しているメール配信システムの配信成功率が高く、メールの開封率やクリック率が極端に低い場合は送信しているメールが迷惑メールフォルダに振り分けられていないかどうか疑った方がよいでしょう。
メールの到達率が低いことで起こる問題は
メール到達率はメールをビジネスで活用している企業にとって重要な指標です。メール到達率が低いと、以下のような問題が生じてしまう恐れがあります。
機会損失を招く
新商品の宣伝やキャンペーンの紹介など、顧客に伝えたい情報が届けられなければ、マーケティング活動において思うような効果が得られません。特に、メールマーケティングを中心に行っている企業は大きな機会損失につながります。
また、サービス申し込み後のアカウントの登録やパスワードの変更などの認証に必要なメールが届かないと、顧客からの信頼を失いサービスの利用を断念されてしまうかもしれません。サービスを利用してもらえるはずだった顧客の離脱は、営業や販売などで売上を上げる機会を失うことにもつながります。結果として、事業の成長にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。
企業イメージの低下を招く
申し込みの確認や商品発送のお知らせなどの重要なメールが届かない場合、企業イメージの低下を招く恐れがあります。株式会社リンクの調査によると送信されるべきメールが届かなかった経験のある方のうち、約8割が企業やサービスに対してネガティブな印象を持つと回答しました。
また、メール到達率が低いとビジネスシーンにおいてもトラブルの原因になる可能性があります。例えば、取引先へ会議の日程調整や開催場所の変更連絡をメールで送っていたのに何らかの理由で届いていないと、相手に大きな迷惑をかけてしまいます。
参考:【2022年振返り】全国の男女1,200名を対象としたメールに関する意識調査 – LINK Watch!
メール到達率が低くなる理由・原因
メール到達率が低く対策が必要な場合は、まずその原因を特定することが重要です。ここでは、メール到達率が低くなる主な原因を解説します。
無効なアドレスに送信している
登録されているメールアドレスが間違っていた場合や、メールアドレスが削除されていた場合、そのアドレスに送信するとエラーが発生してしまいます。このような無効アドレスが配信リストに多く含まれていると送信エラーの数も多くなり、結果としてメール到達率も下がるのです。
また、長い間使われていないメールアドレスはスパムトラップとして利用されている可能性もあります。スパムトラップとは、迷惑メール業者を特定してブロックするために使われるダミーのメールアドレスのことです。
スパムトラップにメールを送信してしまうとブラックリストに載ったり、ドメインやIPアドレスの信用が低下するリスクがあります。また、迷惑メール業者と判定されISPからの受信が制限される危険性があります。
ISPからの評価や信頼度が低い
メール到達率が低い場合、ISPからの評価や信頼度に問題があるかもしれません。ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)とは、インターネット接続サービスを提供する事業者のことです。
ISPでは、メールを受信する際にIPレピュテーションをチェックして迷惑メールを判別しています。IPレピュテーションとは、IPアドレスに対する評価を基に通信の許可・不許可を判断する仕組みのことです。IPアドレスやドメインのレピュテーションのスコアが低いとISPによってメール送信量の制限や受信拒否などのペナルティが与えられるため、メール到達率が下がります。
例えば、普段は利用していないドメインのメールアドレスから急に大量のメール配信をしようと思うと、レピュテーションの低さからキャリアやISPにブロックされる可能性が高いです。
ブラックリストに登録されている
送信元のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されるとメールの受信が拒否されてしまうため、メール到達率が大幅に下がってしまいます。
ブラックリストは、SpamhausやSpamCopなど複数の国際組織によって管理されており、その影響力は世界規模です。一度ブラックリストに登録されると、多くのISPやメールサーバーでメールが受信されなくなるため迅速な対応が必要です。
迷惑メールとしてブロックされている
メール到達率が低い場合、送ったメールが迷惑メールとして判定されている可能性も考えられます。特に、送信ドメイン認証が設定されていないと迷惑メールの誤判定が起きやすくなるので注意しましょう。
送信ドメイン認証とは、送信者のドメインが正当であるかどうかを確認する仕組みです。メールのプロトコル上、送信元のメールアドレスは必ずしも正確でなくても送信可能であるため、これを悪用してなりすましメールが送信されることがあります。実際にこの仕組みを悪用し、多くの迷惑メールは他のアドレスになりすまして送信されています。
なりすましメールに対応するために、GoogleやMicrosoftなどのメールサービスでは送信ドメイン認証の設定を求める動きが活発化しています。そのため、送信ドメイン認証ができないメールは迷惑メールとして判定されやすくなっているのです。
参考:Gmail送信者のガイドライン変更の内容と対応方法を”1から10まで”解説!
メールの内容や容量に問題がある
メール本文に差別的・暴力的・性的な表現や悪質なサイトのURL、スパムワードが含まれていると、迷惑メールと判定されやすくなります。スパムワードとは「誰でも儲かる」「100%保証」「完全無料」など迷惑メールでよく使われる用語やフレーズのことです。他にも以下のようなメールは迷惑メールと判定されやすいため、メールを作成する際は気をつけましょう。
- 件名が長い
- 日本語がおかしい
- 内容が薄い
- 誤字や脱字が多い
- ターゲット層と内容がズレている
また、受信側の空き容量よりも容量が大きいメールは受信できません。容量が上限に達しているメールアドレスは無効となる場合もあるため、無効なアドレスへの送信にもつながってしまいます。
一度に大量のメールを送信している
一度に大量のメールを送信すると、迷惑メール業者とみなされやすくなり、メール到達率が低下します。SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)は誰でもメールを送信できる仕様ですが、この特徴を悪用して、迷惑メール業者は無差別に大量のメールを送信しています。
そのため、短時間で大量のメールを送信すると、ISPやメールサービスプロバイダーから迷惑メール業者と誤解され、メールがブロックされる可能性があります。
もちろん、対策方法はありますので以下で解説していきます。
メール到達率を改善する方法
ここでは、メール到達率の改善に有効な方法を解説します。以下の対策を取って、迷惑メールの誤判定やブラックリストへの登録を防ぎ、メールの到達率を向上させましょう。
送信先リストを精査する
リストの中に無効なアドレスが多いとメール到達率が低くなるうえ、そのまま放置するとブラックリストに登録されるリスクが高まります。そのため、定期的に送信リストを精査することが必要です。届かなくなったメールアドレスや現在使用されていない疑いのあるメールアドレスが無いかチェックし、見つけ次第リストから削除しましょう。
また、窓口アドレスもできるだけリストから削除しておく必要があります。窓口アドレスとは、「support@」「info@」など会社の窓口として利用されるアドレスのことです。容易に入手できるうえに推測して生成もできるため、窓口アドレスが多く含まれていると迷惑メール業者と見なされる可能性があります。そのため、可能であればこれらのアドレスもリストから削除することを検討しましょう。
メールの内容や容量を見直す
公序良俗に反する内容は受信者を不快にさせ、迷惑メールとして報告される恐れがあるため、メールの内容が適切かどうか見直す必要があります。適切なメール内容でも受信側のフィルタリングによって迷惑メールと判断される場合もあるため、誇大表現や煽るような表現は控えましょう。メール作成業務を一人に任せず、別の人間がメールの内容に問題は無いかチェックすることが重要です。
また、受信者のメールボックスの容量が不足している場合、大容量のメールは届かない可能性があります。画像や動画など大きなファイルを送信する際は、ファイルを圧縮したり外部のファイル送信サービスを利用することでメールの容量を適切に管理しましょう。
送信頻度や送信数を見直す
同一IPアドレスでのメールの大量送信は迷惑メール業者と判定されやすいため、送信頻度や送信数が多い場合は見直しましょう。特に、1日あたりの送信数が5,000件を超える場合は要注意です。配信制限やブロックを避けるには、少しずつ分けてメールを送信する必要があります。
もし、1日に何万通もメールを送らなければならない場合は、複数のIPアドレスを用意し分散してメールを配信するか、メール配信システムを利用しましょう。
ダブルオプトインを採用する
ダブルオプトインとは、メルマガ購読の申し込みを二段階にして意図しない購読を防ぐ方法です。具体的に解説するために、まずは一般的なメルマガ購読の申し込み手順を確認しておきましょう。
- ユーザーが登録フォームにメールアドレスを入力して送信する
- 入力したメールアドレスに確認メールが届く
- ユーザーが確認メールに記載されているURLをクリックする
- 購読の申し込みが完了する
もし、1.の段階でメールアドレスの入力に間違いがあった場合、確認メールは届きません。そのため、無効なアドレスの登録を未然に防ぎ、高品質な送信先リストを維持できます。これがダブルオプトインの仕組みです。迷惑メールとして報告されるリスクも軽減できるため、IPレピュテーションの低下も防げるでしょう。
オプトアウトを記載する
オプトアウトとは、メールの受け取りを受信者が拒否することです。オプトアウトの方法が分かりにくいと、配信停止の手続きを面倒に感じた受信者に迷惑メールとして報告される可能性が高まります。オプトアウトの方法を明示することで、迷惑メールの報告やブロックリストへの登録抑制につながるでしょう。
また、法律を守るうえでもオプトアウトの記載は重要です。広告や宣伝目的のメールは「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」により、必ずオプトアウトの方法や問い合わせの連絡先をメールに記載しなければなりません。この法律に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下(法人の場合は3,000万円以下)の罰金が科せられる場合があります。
送信ドメイン認証を行う
送信ドメイン認証には、3つの手法があり、すべてを設定することで信頼できるメール送信者であると証明できます。
ドメイン認証 | 役割 |
SPF | 送信元のIPアドレスが許可されたものであるかを検証します |
DKIM | 電子署名を使って、メールが改ざんされていないかを確認します |
DMARC | SPFやDKIMの検証結果に基づいて、メールの処理方法を指定します |
これらの認証が正しく設定されていないとメールが迷惑メールとして扱われる可能性があるため、認証が正しく行われているか定期的に確認することが重要です。
DNSを正しく設定する
送信ドメイン認証だけでなく、DNSレコードを正しく設定することも重要です。
DNSレコードとは、AレコードやPTRレコードなどドメインのデータベースに格納されているデータを指します。ドメインとIPアドレスをひも付けるAレコードとPTRレコードや、メールサーバーに送信するためのMXレコードなどを設定することで、迷惑メールの誤判定を防げます。
IPレピュテーションを高める
ISPや通信キャリアから受信を制限・拒否されないためには、時間をかけてメールの送信量を増やし、送信実績を示してIPレピュテーションを高める必要があります。1ヶ月〜数ヶ月のスパンで計画を立てて、送信スケジュールを組みましょう。一斉送信したいメールの量によって変わりますが、初日は数十通程度が目安です。
また、夜9時〜朝7時頃はISPや携帯キャリアなどのスパムフィルターの強度が上がるといわれているため、できるだけ日中に送信を完了させる必要があります。
なお、IPレピュテーションは定期的にスコアの書き換えが発生するため、送信の間隔が開いてしまうと上昇したスコアが低下してしまうため注意しましょう。30日以上送信を中断した場合は再び少ない送信量から増やしていく必要があります。
最も簡単な方法は「メール配信システム」を利用する
ここで紹介した方法は一般的な内容ではあるものの、実際に自社で対応をしようと思うと困難なものもあります。
例えば、送信リストの精査やIPレピュテーションの改善などは知識や大量の時間が必要となります。そのため、エンジニアのリソースを大きく使うこととなり非効率です。
メール配信システムを使うことで、これらの対策を簡単にできます。おすすめのシステムは以下で紹介しますので、まずはお試ししてみるのがよいでしょう。
API連携・SMTPリレーサービス「ブラストエンジン(blastengine)」の活用
ブラストエンジンは、SMTPリレーサーバーを使用して、簡単に大量のメールを高速配信することが可能です。さらに、メールサーバーを必要とせず、API経由でメールを送信する仕組みも提供しています。
ブラストエンジンは、サーバーの運用やメンテナンスを行っているため、常に高いIPレピュテーションを維持しながら、安全にメールを送ることができます。
以下のような課題がある場合は、ブラストエンジンの利用を検討してみることをおすすめします。
- 自社のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていて、メールが届かない場合
- 国内キャリアにメールが届かず、対応方法がわからない場合
- 自社でメールサーバーを管理・運用したくない場合
また、ブラストエンジンは各メールプロバイダーや携帯キャリアのドメインに最適化されており、大規模なネットワークを経由してメール配信を行うことで、日本国内での到達率を圧倒的に高めています。
利用料金は月額3,000円からとコストパフォーマンスにも優れており、メールだけでなく、日本語での電話サポートにも対応しています。
メールアドレスの入力のみで無料トライアルが可能ですので、まずは気軽にお試しください。
シェア1位のメール配信システム「ブラストメール」の活用
ブラストメールは、14年連続で顧客導入シェア1位を獲得している信頼性の高いメール配信システムです。ブラストエンジンとは異なり、メルマガなどのメール一斉送信に利用することができます。
このメール配信システムの特徴は、使いやすさとコストパフォーマンスの高さです。さまざまな業種や官公庁でも利用されており、定番のメール配信システムとして広く知られています。
迷惑メール対策機能はもちろん、セグメント配信や効果測定、HTMLメールエディタなど、基本的な機能がすべて揃っています。最も安いプランでも、月額4,000円以下で導入することができます。
シンプルで安価なため、初めてメール配信システムを利用してみたい方にもおすすめです。無料トライアルも用意されているので、まずは試してみることをお勧めします。
まとめ
メール到達率はメール配信において重要な指標であり、メール到達率が低いと事業の成長や企業イメージに悪影響を与えてしまいます。無効なアドレスへ送信したり短時間にメールを大量に送信したりすると、迷惑メールと判定されブラックリストに入ってしまいメール到達率が低下するでしょう。
メール到達率を改善する際は送信先リストや送信量の見直しはもちろん、送信ドメイン認証やDNSの設定も重要です。メール到達率の対策を万全にして、メール配信の効果を最大限得られるようにしましょう。