メールサーバーの容量オーバーが起こったら?対処方法やメーラー別容量確認・データ削除の方法を解説
現在のビジネスにおいてメールは欠かせない連絡手段であり、多くの方が利用しています。しかし、何の対策も取らずメールの送受信を繰り返していると、メールデータが蓄積されメールサーバーの容量を超えてしまうことがあります。
メールサーバーには、各ユーザーごとに割り当てられる容量が設定されていますが、この容量は無限ではありません。特に、業務上のやり取りが増えるにつれて、容量が急速に消費されることが多く、意図せずサーバーがいっぱいになってしまうことがあります。その結果、重要なメールが届かず、ビジネスチャンスを逃したり、信頼を損なってしまうリスクが生じます。
そこで、今回の記事では、メールサーバーの基礎知識や容量オーバーになった際の対処法などを解説します。
メールサーバーとは
メールサーバーは、インターネット上で電子メールを送受信するために必要なサーバーのことを指します。具体的には、ユーザーがメールを送信したり、他のユーザーから送信されたメールを受信したりするためのインフラを提供するコンピュータシステムです。メールサーバーは、通常、以下のような役割を果たします。
- 送信サーバー (SMTPサーバー)
- 受信サーバー (POP/IMAPサーバー)
- メールボックス
- ドメイン管理
- セキュリティ
メールサーバーの重要性
メールサーバーは、ビジネスや個人の通信において非常に重要な役割を果たします。安定したメールサーバーの運用は、円滑なコミュニケーションのために不可欠です。
また、メールサーバーの容量やパフォーマンス、セキュリティが十分でないと、メールの遅延や紛失、セキュリティリスクの増加などの問題が発生する可能性があります。
このように、メールサーバーはインターネット上の電子メール通信を支える中核的な存在であり、その仕組みや運用が通信の信頼性と安全性に直結しています。
メールサーバーには容量上限がある
メールサーバーには容量上限があります。この上限を超えてしまうと、新しいメールの受信ができなくなったり、追加の容量を購入するように促されたりするなど、さまざまな問題が発生します。
まず、容量オーバーが起こる理由を説明する前に、メールサーバーがどのような仕組みでメールの送受信を行っているのかを確認しましょう。
メールサーバーの仕組み
メールサーバーは、メールの送受信を効率的に行うためにいくつかのプロトコルを利用しています。以下はその基本的な流れです。
- 送信者がGmailなどのメールクライアントを通じてメールを作成する
このときメールクライアントがSMTPプロトコルで送信者のメールサーバーにメールを送信する - 送信者のメールサーバーは、受信したメールの処理を行う
メールのヘッダー情報や送信者のアカウント、送信元ドメインなどを確認し、問題がなければ受信者のメールサーバーにメールを転送する - 受信者のメールサーバーは、メールを受信し、メールボックスに格納する
メールのヘッダ情報、受信者のアカウント、宛先のドメインをチェックする。問題がなければメールを受信したアカウントやフォルダーに格納する - 受信者がメールクライアントを使用して、受信したメールを閲覧する
POP3もしくはIMAPプロトコルでメールを取得する
上記のようにメールの送受信には、POPサーバーやSMTPサーバーなどさまざまなサーバーが連携して送受信を行っています。
そのため、サーバーの一つでも設定を間違えると正しくメールを送受信できないおそれがある点に注意しましょう。
POPサーバー
POPサーバーは、Post Office Protocolの略称であり、一時的にメールを保管する役割を担っています。メールが送信されると、POPサーバーにメールが保管され、メールを閲覧する際はPOPサーバーからダウンロードして閲覧します。わかりやすくいうと、郵便局の私書箱のようなイメージです。
POPサーバーを利用するメールソフトは、OutlookやWindowsのデフォルトメールソフトなどが該当します。これらのメールソフトは、サーバーにデータを保存しないように設定をしておかないと容量オーバーになるおそれがあります。
IMAPサーバー
IMAPサーバーは、Internet Message Access Protocolの略称であり、POPサーバーと同様にメールを保管する役割を持ちます。POPサーバーはダウンロードしてメールを閲覧しますが、IMAPサーバーはメールサーバーに保存したままメールを閲覧できるのが特徴です。この特徴から、スマホユーザーが増加している現代ではIMAPサーバーが主流となっており、GmailやYahoo!メールで使用されています。
GmailやYahoo!メールで容量オーバーになった場合は、基本的に自分でメールを削除してサーバーの容量を確保します。
サーバーにメールが貯まると容量オーバーに
通常の設定では、メールサーバーにメールのデータが残るようになっており、このデータが蓄積すると容量オーバーになります。これは、過去のメールを後で確認したり、特定のメールのステータスをチェックしたりするためです。しかし、この設定があるために、メールデータが蓄積され続け、やがてサーバーの容量が上限に達し、容量オーバーになるリスクがあります。
とはいえ、メールサーバーが容量オーバーになってしまうとメールを受信できなくなり、メール機能の一部が制限されてしまいます。容量オーバーにならないためにも、後述する方法を取るようにしましょう。
メールサーバーの容量オーバーの対処方法
ここでは、すでに容量をオーバーしていたり、容量の空きが残り少なかったりする場合の対策方法を解説します。
主な対処法として挙げられるのは、「サーバーの容量上限を増やす」「メールデータを削除する」の2つです。では、それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
サーバーの容量上限を増やす
サーバーの容量上限を増やすことで、容量オーバーの問題を一時的に解決できます。一時的なのは、メールのデータは日々蓄積されていくものであり、定期的に削除しないとデータがたまっていくためです。サーバーの容量上限を増やしたとしても、定期的にデータを削除しなければ、再度サーバーの容量上限を増やさなければならなくなります。
また、サーバーの容量上限を増やそうとしても管理者の承認を得たうえでメールサービスへ申請する必要があるため、個人の権限では難しいでしょう。
メールデータを削除する
現在使用しているメールソフトによって設定は異なりますが、メールの設定でタグのチェックを外すことでメールデータを削除できるソフトもあります。
- メールのゴミ箱への移動
メールを削除すると、まずゴミ箱に移動されます。しかし、この段階ではサーバー上にデータが残っています - ゴミ箱を空にする
ゴミ箱を空にすることで、サーバー上からもメールデータが削除されます - IMAPサーバーを使用している場合
IMAPサーバーでは、メールがサーバー上に残るため、フォルダごとにメールを削除する必要があります。
しかし、メールをゴミ箱に捨てる方法だけではメールデータを削除できません。メールサーバーに蓄積されているメールデータを削除する場合は、使用しているメールソフトに応じた対処を取りましょう。
メールデータを削除するには?
実際にメールデータを削除するには、使用しているメールソフトごとに異なる設定をしなければなりません。また、メールソフトかWebメールかでも設定方法が異なるため、ここではそれぞれの削除方法を紹介します。
メールソフトの場合
メールソフトは、OutlookやApple Mailなどが該当します。メールデータを削除する方法は以下の通りです。
- 「メッセージのコピーをサーバーから削除」タグのチェックを入れる
これにより、ローカルデバイスにダウンロードされたメールのサーバー上のコピーが削除されます - 「サーバーにメッセージのコピーを置く」タグのチェックを外す
この設定を無効にすることで、サーバーにメールのコピーを残さないようにし、メール受信後に自動的にサーバー上のメールが削除されるように設定します
これらは一般的な方法ですが、使用しているソフトやバージョンによって手順が異なることがあります。
また、IMAPを使用している場合、サーバー上にメールが保存され続けるため、手動で不要なメールを削除する必要があります。削除後、必ずゴミ箱を空にすることも重要です。
Webメールの場合
Webメールとは、GmailやYahoo!メールなどが含まれます。Webメールの場合、ブラウザ上でメールの閲覧・送信が可能となっており、データの削除方法は簡単です。具体的には、以下の手順でメールデータを削除します。
- Webメールにログイン
ブラウザからメールサービスにログインします - メールを削除
受信ボックスや送信済みフォルダなどから不要なメールを選択し、削除します - ゴミ箱を空にする
削除したメールは一旦ゴミ箱に移動されるため、ゴミ箱を空にして完全にデータを削除します
なお、多くのWebメールサービスでは、ゴミ箱内のメールは一定期間を過ぎると自動的に削除される設定になっていますが、早めに空にすることで容量を確保することができます。
<メーラー別>容量確認方法とデータ削除方法
ここからは、Outlook・Gmail・Yahoo!メール・Apple Mailの容量確認方法とデータ削除方法を解説します。
Outlook
Outlookの容量確認方法は以下の通りです。
- メールビューから自分のアカウントを選択
- フォルダーを選択し、フォルダプロパティを選択
- ウィンドウ内のフォルダサイズを選択
また、Outlookのデータ削除方法は以下の通りです。
- 削除したいメールを削除
- 削除済みアイテムフォルダを右クリック
- 「フォルダーを空にする」をクリック
- 確認を求められる。問題が無ければ「はい」をクリック
なお、より詳しいデータ削除方法は公式ページをご覧ください。
Gmail
Gmailの容量確認方法は以下の通りです。
- Gmailにログイン
- メールフォルダ画面で一番下までスライド
また、Gmailのデータは以下の方法で削除します。
- パソコンでGmailにアクセス
- 削除したいメールのチェックボックスをオン
- 画面上部のごみ箱アイコンをクリック
- 左側メニューからもっと見る、ごみ箱をクリック
- 完全に削除したいメールのチェックボックスをオン
- 画面上部の完全に削除をクリック
なお、ごみ箱に入れたメールを全て削除したいなら、通知欄の「ごみ箱を今すぐ空にする」をクリックすればデータ削除できます。
より詳しいデータ削除方法は公式ページをご覧ください。
Yahoo!メール
Yahoo!メールの容量確認方法は以下の通りです。
- Yahoo!メールにログイン
- トップページ右上に現在の容量と残り容量が表示される
また、Yahoo!メールのデータを削除したい場合は以下の手順で行います。
- メール一覧から削除したいメールをチェック
- 削除ボタンをクリック
- メールフォルダ一覧からごみ箱アイコンをクリック
- 確認を求められる。問題がなければ「空にする」をクリック
なお、より詳しいデータ削除方法は公式ページをご覧ください。
Apple Mail
Apple Mailの容量は以下の方法で確認できます。
- アプリケーションからメールをクリック
- サイドバーでコントロールキーを押しながらクリック
- 「アカウント情報を見る」をクリック
- タブをクリックして詳細を確認する
また、Apple Mailのデータ削除方法は以下の通りです。
- Macでメールアプリを開く
- メールツールバーの削除ボタンをクリック、もしくはポインタを削除したいメッセージのヘッダに合わせて削除ボタンをクリック
- メールボックスから「削除済み項目を消去」をクリック
- アカウントを選択
- メールサイドバーからコントロールキーを押しながらごみ箱をクリック
- 「削除済み項目を消去」を選択
なお、より詳しいデータ削除方法は公式ページをご覧ください。
メールサーバーの選び方と導入
メールサーバーの導入にあたっては、自社でサーバーを運用する方法と、クラウドベースのメールサービスを利用する方法があります。
自社サーバーの運用は、データを自社内に保持するため、セキュリティやプライバシーの面でメリットがありますが、初期コストや運用コストが高く、専門的な知識も必要です。
一方、クラウドサービスは、手軽に導入でき、スケーラビリティや可用性に優れていますが、データが外部に保存されるため、サービス提供者に対する信頼性が重要となります。これらのメリットとデメリットを比較し、自社のニーズに合った選択をすることが重要です。
メールリレーサービスを活用する
メールリレーサービスを組み合わせることで、自社サーバーの運用コストを抑えつつ、クラウドサービスの柔軟性を享受することが可能です。
自社サーバーを運用する場合でも、メールリレーサービスを導入することで、セキュリティ強化やスパム対策を行いやすくなります。一方、クラウドサービスと連携させることで、さらにスケーラブルで信頼性の高いメール環境を構築することができます。
メールリレーサービス導入のポイント
メールリレーサービスの導入は比較的簡単ですが、DNS設定やSPF/DKIM/DMARCの設定を正しく行う必要があります。まず、メールリレーサービスのアカウントを作成し、提供されたリレーサーバーの情報を自社メールサーバーに設定します。
その後、DNS設定を更新し、メールのルーティングをリレーサーバー経由に変更します。最後に、テストを行い、リレーサービスが正しく機能していることを確認します。これにより、スムーズな導入が可能となります。
おすすめのメールリレーサービス「ブラストエンジン」
SPFやDKIMなどGmail送信者ガイドライン対応しており、API連携・SMTPリレーが可能なメール配信システムです。
ブラストエンジンは、SMTPリレーサーバーを使用して、簡単に大量のメールを高速配信することが可能です。さらに、メールサーバーを必要とせず、API経由でメールを送信する仕組みも提供しています。
ブラストエンジンは、サーバーの運用やメンテナンスを行っているため、常に高いIPレピュテーションを維持しながら、安全にメールを送ることができます。
以下のような課題がある場合は、ブラストエンジンの利用を検討してみることをおすすめします。
- 自社のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていて、メールが届かない場合
- 国内キャリアにメールが届かず、対応方法がわからない場合
- 自社でメールサーバーを管理・運用したくない場合
また、ブラストエンジンは各メールプロバイダーや携帯キャリアのドメインに最適化されており、大規模なネットワークを経由してメール配信を行うことで、日本国内での到達率を圧倒的に高めています。
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まとめ
メールサーバーの容量は使用しているメールソフト・Webメールによって異なり、メールデータを削除する方法もそれぞれ異なります。
現代では、IMAPサーバーを利用したGmailやYahoo!メールが主流となっており、メールデータの削除は比較的簡単です。OutlookやApple Mailのようなメールソフトを使用している場合は、サーバーにデータを保存しない設定にしておくと容量オーバーを防止できます。それでも容量オーバーした場合は、前述した方法でメールデータを削除してメールを受信できる状態に戻しましょう。