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GraphQLとは?RESTとの違いやメリット・デメリット、事例などを徹底解説

2024年9月9日

現代のWeb開発において、APIの役割はますます重要になっています。

特に、複雑なデータや多くのリクエストに対応する必要がある場合は効率的なデータのやり取りを実現する手法が求められます。従来、API通信にはREST(Representational State Transfer)が広く利用されてきましたが、GraphQLという新しいアプローチが注目を集めています。

GraphQLとは、Facebook(現Meta)社が開発・提供するWeb APIのクエリ言語およびクエリを実行するサーバーサイドのランタイムのことです。クエリ言語といえばRESTful APIを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし近年、その利便性などからGraphQLに注目が集まっているのです。

この記事では、GraphQLの概要やRESTとの違い、GraphQLのメリットとデメリット、導入事例や学習におすすめのチュートリアルについて解説します。

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GraphQLとは

GraphQLとは、Web API(Application Programming Interface)を開発するためのクエリ言語であり、クエリを実行するサーバーサイドやクライアントサイドのランタイムにも対応しています。

Facebook(現Meta)社によって2012年に開発がスタートし、2015年にオープンソース化されました。GraphQLはさまざまなOSに対応したクロスプラットフォーム開発が可能なだけでなく、多くのプログラミング言語に対応している点も特徴です。そのため、異なる環境やシステムでも容易に利用することができ、さまざまなWebアプリケーションのバックエンドで広く採用されています。

ここでは、GraphQL開発の背景とRESTとの違いを解説します。

開発の背景

GraphQLの開発以前、Facebook社はREST(REpresentational State Transfer)とFQL(Facebook Query Language)による運用でデータを取り扱っていました。しかし、RESTには「過剰なデータ取得(オーバーフェッチング)」が発生する問題があり、処理が複雑化したりパフォーマンス低下を引き起こしたりする要因となっていたのです。

また、クエリ構造とレスポンス構造がかけ離れており、Facebookを運用する上での課題となっていました。そこで、これらの課題を改善するために、2012年にGraphQLの開発がスタートし、2015年にオープンソースとして公開されました。GraphQLはクライアントが必要とするデータだけをリクエストし、サーバーから効率的に取得できるように設計されており、現在では多くの企業やサービスで採用されています。

GraphQLの仕組み

GraphQLは、クエリを通じて必要なデータだけを取得する効率的なAPI設計手法です。GraphQLサーバーはクライアントからのクエリを受け取り、そのクエリに応じたデータを返します。

この際、GraphQLの特徴であるタイプシステムとリゾルバが重要な役割を果たします。タイプシステムではデータの型や構造を定義し、リゾルバはクエリに基づいてどのデータを返すかを決定します。これにより、柔軟かつ効率的なデータの取得が可能になります。

RESTとの違い

GraphQLとRESTは、どちらもWeb上でデータを取得したり操作したりするためのAPI設計手法です。しかし、それぞれ異なる特徴があります。

以下の表は、GraphQLとRESTを比較したものです。

項目GraphQLREST
設計思想クライアントが必要なデータを指定して取得サーバーが提供するリソースにアクセス
エンドポイント1つのエンドポイントで対応リソースごとに複数のエンドポイントが必要
データ取得必要なデータだけ取得できる一度に全てのデータが取得されることが多い
オーバーフェッチなしあり
リクエスト数一度のリクエストで複数のデータを取得可能リソースごとに個別のリクエストが必要

GraphQLは1つのエンドポイントで複数のデータを取得することができます。特定のリソースに応じた複数のリクエストを必要とするRESTに対して、クライアントの負担が少ないという点で大きな利点があります。

また、オーバーフェッチングが発生しないため、効率的なデータの取得が可能です。

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GraphQLのメリット

RESTの問題点を改善するために誕生したGraphQLには、さまざまなメリットがあります。ここでは、6つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

必要なデータだけを取得できる

GraphQLは、クエリを通じて必要なデータだけをサーバーにリクエストできます。

例えば、特定のユーザー情報だけを取得する場合でも、名前やメールアドレスなど必要なフィールドだけを指定して取得できるのです。これにより、必要なデータのみを取得できるため、通信の無駄を防ぐことができ、パフォーマンス向上が期待できます。

効率的にデータを取得できる

GraphQLは、クライアントが必要とするデータを1つのクエリで指定でき、複数のエンドポイントを呼び出す必要がありません。

REST APIでは複数回のリクエストが必要なケースでも、GraphQLでは一度のリクエストで必要なデータを一括取得できるため、ネットワークのオーバーヘッドを減らし、レスポンス時間を短縮でき、効率的にデータを取得できます。

Schema駆動開発に適している

GraphQLでは、APIのデータ構造をSchemaで定義します。

これにより、クライアントとサーバー間で型やデータ構造が一致するため、開発中のコミュニケーションがスムーズになりエラーを事前に防ぐことができます。APIの設計が明確化され、より堅牢なシステム構築が可能になります。

APIのドキュメント生成が簡単

GraphQLは、自己記述型のAPIです。そのためSchemaに基づいて自動的に簡単にAPIのドキュメントを生成できます。

これにより、APIの使用方法がより明確になりAPIの仕様を理解しやすくなるのです。開発チーム内や外部の開発者との協力も容易になります。

クライアント側での処理が簡潔

GraphQLは、クライアントが必要なデータだけを取得できるため、クライアント側での処理が簡潔になります。

また、GraphQLは、複数のプラットフォームや言語で利用できるため、クライアント側の自由度が高まるところも特徴です。これにより、複雑なデータ処理がシンプルになり開発効率が向上します。

バージョン管理が容易

GraphQLは、バージョン管理が容易です。新しいフィールドを追加しても既存のクエリに影響を与えないため、バージョンアップを容易に行うことができます。

REST APIのようにエンドポイントを頻繁に変更する必要がなく、APIの進化がスムーズです。

GraphQLのデメリット

GraphQLには、前述したメリットだけでなくデメリットも存在します。正しく便利にGraphQLを使用するために、デメリットについても確認しておきましょう。

学習コストが高い

GraphQLは、2015年登場の比較的新しい規格です。RESTに比べて比較的新しい技術で、独自のクエリ言語を理解する必要があるため、初学者にはやや難解な部分があります。

REST APIに慣れている開発者にとっても新しい概念を学ぶ必要があるため、導入時の学習コストが高くなる可能性があります。

セキュリティ面でのリスクがある

GraphQLは、クエリの柔軟性が高い特徴から、不正なクエリが実行される恐れがあります。そのため、セキュリティの問題が懸念されます。

対策としては、クエリのバリデーションや認証、アクセス制御を適切に設定することが必要です。

過剰なデータ取得がサーバーの負荷になる

GraphQLの柔軟性は、過剰なデータの取得につながる恐れがあるため、パフォーマンスに問題がでる場合があります。特に、クライアントが大量のデータを要求した場合には、サーバーの大きな負荷がかかるため注意が必要です。

キャッシュが複雑になりやすい

GraphQLでは、クエリを自由自在に調整できるため、キャッシュが複雑になりやすいというデメリットがあります。この対策として、キャッシュを有効にするための戦略を選択する必要があるのです。

ツールやライブラリの不足している

GraphQLは急速に発展していますが、REST APIに比べるとまだ成熟していない部分もあり、特定の機能やツール・ライブラリが不足している場合があります。

そのため、GraphQLを使ったプロジェクトでは必要な機能を独自に実装する必要がある場合があります。

GraphQLの活用事例

GraphQLは、Meta社を筆頭に数多くの企業が導入しています。ここでは、GraphQLを活用した代表的な2つのサービスを紹介します。

Netflix

Netflixは、映画やドラマなどを配信するサービスです。NetflixではもともとREST APIを導入していましたが、複雑化するシステムにおいて、RESTでは対応しきれない課題が発生していました。特に、異なるデバイスごとに異なるデータを必要とするケースが増え、オーバーフェッチやアンダーフェッチが問題となっていたのです。

そこでNetflixはGraphQLを大規模に導入し、1つのクエリでデバイスごとにカスタマイズされたデータを取得できるようにしました。

これにより、サービスの規模が大きくなるにつれて複雑化していたサービスを簡略化でき、容易なシステムの維持を実現できたのです。同時に、フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの連携の強化も図られました。

Airbnb

Airbnbは、世界各国でバケーションレンタルを行っている企業です。 従来のREST APIでは、ユーザーインターフェースの高速化に限界がありましたが、GraphQLを導入することでページの読み込み速度が劇的に向上しました。

具体的には、複数のリクエストを1つのGraphQLクエリにまとめることで、ネットワーク通信が効率化されユーザー体験が大幅に改善されたのです。また、GraphQLの柔軟性を活かして特定のユーザー情報だけを効率的に取得できるため、バックエンドのパフォーマンスにも寄与しています。

GraphQLが適しているプロジェクト

GraphQLは、特に動的で柔軟なデータ取得が求められるプロジェクトに適しています。例えば、以下のようなプロジェクトではGraphQLが効果を発揮します。

  • モバイルアプリケーション
    デバイスごとに異なるデータ要求が発生するモバイルアプリでは、GraphQLの柔軟なデータ取得が非常に役立ちます。RESTでは異なるエンドポイントが必要だった場合でも、GraphQLを使えば1つのエンドポイントで解決できます。
  • 大規模なWebアプリケーション
    ユーザーインターフェースが複雑化し、APIからのデータ要求が増える大規模なWebアプリケーションでもGraphQLは効率的です。クエリの最適化により複数のリソースを一度に取得でき、フロントエンドとバックエンドの協力も容易に行えます。

GraphQL学習におすすめのチュートリアル

ここでは、GraphQLの学習におすすめのチュートリアルを3つご紹介します。

GitHub Docs

GitHub Docsは、ブラウザでGraphQLを体験できます。GraphQLの基本的なクエリや操作方法を学びながら、GitHub APIを利用する方法を実践的に習得できます。

なお、利用するためには、GitHubアカウントが必要です。記述しながら学べるため、実際に手を動かしながら学習したい人はアクセスしてみてください。

HOW TO GRAPHQL

HOW TO GRAPHQLは、初心者向けの包括的なチュートリアルで、動画やテキスト形式で提供されています。

 RESTとGraphQLの違いを理解しながら、実際のプロジェクトでGraphQLをどのように利用するかを学べる点が魅力です。視覚的に学びたい方や、基礎から応用まで幅広く学びたい方におすすめです。

robinwieruch.de

robinwieruch.deは、GithubのGraphQL APIのチュートリアルを提供するサイトで、GitHubのアカウントが必要です。

また、GitHubにプロフィール情報を追加しなければなりません。なお、チュートリアルの文章は英語ですが、翻訳機能を活用すれば英語が苦手な方も読み進められるでしょう。

まとめ

GraphQLは、Web APIを開発するためのクエリ言語およびクエリを実行するサーバーサイドのランタイムです。データを柔軟に指定できる点が大きな特徴で、1つのエンドポイントで必要なデータのみを取得できます。これにより、オーバーフェッチなどの問題を解消し、効率的にデータを取得できるのです。

GraphQLは、今後ますます注目されることが予想されます。GraphQLを学べるチュートリアルを利用して、学習を始めてみてはいかがでしょうか。

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