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MTA(Mail Transfer Agent)とは?メール配信における機能・役割と代表的なMTAをご紹介

2024年2月25日 メール配信

電子メールは、ビジネスやプライベートの多くのシーンで活用されている、私たちの生活にとって欠かせないコミュニケーションツールの一つです。

単純な操作だけでメールは問題なく相手に送信されますが、その裏側では「MTA(Mail Transfer Agent)」をはじめとする、さまざまなシステムが働いています。

この記事では、特に「MTA(Mail Transfer Agent)」の機能と重要性について深掘りし、メール配信の仕組みとメールエージェントについて解説します。

 メール配信の仕組みとメールエージェント

メール配信は、複数のメールサーバーを通して行われます。メールサーバー内では「メールエージェント」と呼ばれるいくつものソフトウェアが存在しており、重要な役割を果たしているのです。

まずは、メール配信を支えるメールエージェントについて詳しく説明します。

メールエージェントとは

メールエージェントは、メール送受信の用途に応じて機能を分担し、システムを構築しているソフトウェアまたはシステムのことです。

これには、ユーザーがメールを作成し送信するためのインターフェースを提供するMUA(Mail User Agent)、メールサーバ間でメールを転送するMTA(Mail Transfer Agent)、最終的にメールを受信者のメールボックスに配達するMDA(Mail Delivery Agent)などが含まれます。

迅速で正確なメールの送受信を可能にしており、単純なテキスト情報のやり取りは多くのソフトウェアの機能によって支えられています。

メールエージェントの役割や存在について知識があれば、メールソフトやサーバー内での動きだけでなく、内部の構造まで深く理解できるでしょう。

メール配信の仕組み

メールを配信するためには、いくつかの手順を踏む必要があります。

  1. メールの作成と送信
    ユーザーはMUAを使用してメールを作成し、送信します。MUAはメールをMTAに渡します。
  2. メールの転送
    送信者のMTAはメールをインターネット上で次のMTAに転送します。これが必要に応じて複数回行われ、メールは受信者のドメインにあるMTAまで転送されます。
  3. メールの配達
    受信者のドメインにあるMTAは、最終的にメールをMDAに渡します。MDAはメールを受信者のメールボックスに配達します。
  4. メールの受信
    受信者は自分のMUAを使用してメールボックスにアクセスし、メールを読むことができます。

ここではメール配信の大まかな流れを把握できていれば問題ありません。MUA・MTA・MDAそれぞれの詳細は以下で解説していきます。

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メールエージェントの種類

メールエージェントは複数のソフトウェアで構成されており、具体的には以下のソフトウェアがメールの送受信の際に使用されています。

  • MUA:メールを確認し、作成するユーザーインタフェイスを提供する
  • MSA:メールの送信者を識別し、認証する
  • MTA:MUAから受け取ったメールを転送する
  • MDA:MTAから受け取ったメールを仕分けて配送する

 それでは、メールの送受信の際はそれぞれどのような役割があるのでしょうか。

ここからは、各メールエージェントに関する特徴と、メール配信での動作について詳しく紹介します。

MUA(Mail User Agent)

MUAはMail User Agentの略称で、ユーザーがメールを読んだり書いたりするためのインターフェースを提供するソフトウェアです。「メールクライアント」「メールアプリケーション」という別名でも表現されます。

送信者がMUAで作成したメールを送信した後、SMTPサーバー上にメールをアップロードします。具体的に使用されているMUAの例は以下の通りです。

  • Microsoft Outlook
  • Thunderbird
  • Apple Mail

また、GmailやYahoo!メールのようなウェブメールサービスやモバイルデバイスでのメール管理ができるGmailアプリなどもMUAに含まれます。

 MTA(Mail Transfer Agent)

MTAはMail Transfer Agentの略称で、インターネット上でメールを送受信するために使用されるソフトウェアのことで、メールサーバーの核となる機能を提供します。

MUAから送信されたメールを受け取り、それを宛先のMTAやMDAへ適切に転送する役割を持ちます。

代表的なMTAは以下の5種です。それぞれ簡単に紹介します。

  • Sendmail
  • Postfix
  • Qmail
  • Exim
  • Microsoft Exchange Server

Sendmail

インターネットで最も古くから使用されているMTAの一つで、非常に強力ですが、複雑な設定が必要なことで知られています。高度なメーリングリストやエイリアスの機能を提供し、多くのメールシステムの基盤となっています。

Postfix

Wietse Venemaによって開発された、セキュリティに焦点を当てたMTA。簡単な設定、高い信頼性、そして拡張性の高さで知られています。オープンソースで、多くのUNIX系オペレーティングシステムで広く使用されています。

Qmail

セキュリティと信頼性を重視して設計されたMTA。コードの品質とセキュリティに対する開発者のアプローチが特徴です。Qmailは、パフォーマンスとセキュリティを求める多くの組織によって採用されています。

Exim

イギリスのUniversity of Cambridgeで開発されたオープンソースのMTA。設定の柔軟性が高いことが特徴で、管理者が様々なメール処理ルールを簡単にカスタマイズできます。

Microsoft Exchange Server

Microsoftが開発した、企業向けのメールサーバーソフトウェア。メールの送受信のほか、カレンダー共有や連絡先管理など、グループウェア機能を備えています。

これらのMTAは、それぞれ異なる特性や設定の柔軟性を持ち、組織のニーズや技術スタックに応じて選択されます。オープンソースのものから商用製品まで様々あり、メールサーバーの要件に合わせて選ぶことが可能です。

MDA(Mail Delivery Agent)

MDAはMail Delivery Agentの略称で、MTAから転送されたメールを仕分け、該当のメールボックスへ格納するソフトウェアです。各メールサーバーをインストールした際に、受信したメールを適切なメールボックスへ格納する処理を行います。格納されたメールは、送信先のメールソフトであるMUAから確認が可能です。

また、受信したメールが不適切なコンテンツの場合、メールボックスへ格納されないよう事前にブロックすることもMDAの役割です。スパムメールを受信した際には、自動的に削除処理が可能な他、受信したメールを自動返信する機能や、蓄積されたメールデータを定期的に削除する機能もあります。

代表的なMDAは次の通りです。

  • dovecot
  • maildrop
  • procmail

MTAの機能

MTAは、MUAからメールを受信した際に、ドメインを確認しSMTPサーバーの転送経路を決定します。エラーや宛先が不明なケースなどで相手へメールを送れない場合は、送信の失敗を伝えるReturn-Pathへエラーメールが送信されます。

例えるなら、ポストで受け取った郵便物を、配達員のもとへ渡すまでの流れがMTAです。メールサーバーの中心となる役割はほぼMTAが担っており、MTAが機能しなければメールの送信はできなくなります。

そんなMTAの機能には以下のようなものがあります。

  • メールの受信と転送
    MTAは、メールを送信するユーザー(またはそのユーザーのMUA)からメールを受け取り、そのメールを宛先のメールサーバー(またはそのサーバーのMTA)へ転送します。このプロセスは、メールが最終的な受信者に到達するまで、複数のMTA間で繰り返されることがあります。
  • ルーティング:
    MTAは、メールを送信者から受信者へと効率的にルーティングする責任を持ちます。これには、DNS(ドメインネームシステム)を使用して受信者のメールサーバーのアドレスを見つけ出し、最適な経路でメールを転送することが含まれます
  • キュー管理:
    MTAは、送信するメールを一時的に保持するキューを管理します。何らかの理由でメールがすぐに転送できない場合(例えば、宛先のサーバーがダウンしている場合)、MTAはメールをキューに保持し、後で再試行します。
  • エラー処理
    メールが正常に配送できない場合、MTAはエラーメッセージを生成し、送信者に送り返します。これには、宛先が見つからない、メールボックスが満杯であるなどの状況が含まれます。
  • セキュリティ
    MTAは、スパムメールのフィルタリングや、ウイルススキャンなどのセキュリティ対策を提供することがあります。これは、不正なメールがシステムや最終的な受信者に届くのを防ぐためです。
  • 認証と暗号化
    MTAは、メールの送受信時に認証プロトコル(例:SMTP AUTH)や暗号化プロトコル(例:TLS)を使用して、通信のセキュリティを高めることができます。
  • メールのフォーマットとエンコードの変換
    MTAは、異なるメールシステム間での互換性を確保するために、メールのフォーマットやエンコーディングを変換することがあります。

また、MTAはMDAと一体型やセットになっているケースが多く、メールサーバーやSMTPサーバー自体をMTAと表現することもあります。

オンプレミス型MTAとクラウド型MTA

MTAには大きく分けて2つの種類が存在します。サーバーを自社で設置している「オンプレミス型MTA」と、クラウドサービスをインターネット上で使用した「クラウド型MTA」です。どちらか一方が、特段に優れているとは断言できません。そのため、それぞれの特徴を理解し、ユーザーのニーズに合った形態を選択していく必要があります。

ここからは、「オンプレミス型MTA」「クラウド型MTA」のメリットとデメリットを詳しく紹介します。

オンプレミス型MTAのメリット・デメリット

メリット

  • 自社内でメールデータ管理を完結させられるため、信頼度の高いセキュリティである
  • 全ての工程を自社で管理するため、データが流出してしまうリスクを最小限にできる
  • メール送信における機能を柔軟に設定し、管理が可能である
  • APIやWebhookなどの接続に対して柔軟性がある

デメリット

  • 高額な初期投資の費用がかかる
  •  MTAを動かすために必要な、仮想サーバーやハードウェアを用意する必要がある
  • IPウォームアップやインストールなどの構築に時間がかかる
  • 専門の知識や技術を持った人材が必要となる
  • トラブルやメンテナンスの対応だけでなく、サーバーの設定などの細かい専門知識を要する

オンプレミス型MTAでは、自社内でメールサーバーを設置し、運用します。またメールデータを管理する際、全て自社内で行うため、データ流出の危険性は低いでしょう。そのため、信頼度の高いセキュリティが期待できます。

しかし、自社内で管理するためには、初期投資費用が高額になってしまいます。さらに、サーバーの管理だけでなくトラブルやメンテナンスの対応もしなければなりません。そのため、専門的な知識を持つ人材のアサインなど、十分な準備が必要です。

クラウド型MTAのメリット・デメリット

メリット

  • 初期投資額が低コストである
  • 自らシステムを構築する必要がない
  • すぐに利用開始ができる
  • メンテナンスの負担が少ない
  • 時間や場所を気にせずに、24時間どこでもアクセスが可能である

デメリット

  • サービス提供者に大きな負担がかかる
  • 使用するサービスによって、システムをカスタマイズできない
  • データ管理は外部のネットワークのシステムを利用するため、流出のリスクがある
  • インターネットの接続が不安定な場合に利用できない
  • サービス提供者側の障害などの影響を受ける

クラウド型MTAはインターネットを利用するため時間と場所の拘束がなく、24時間365日どこにいても簡単にアクセスできます。また、ゼロからシステムを構築する必要がない点も魅力的です。初期投資に必要なコストを抑え、メンテナンスの手間を省くことができるでしょう。

また、メールの送信を行う場合はメールリレーサービスの活用がおすすめです。メールリレーサービスはクラウド型MTAを使用するのが一般的で、メールを効率的に送信し、管理するための追加機能やサービスを提供します。

メールリレーサービスの活用

メールリレーサービスとは、送信元と送信先の仲介をするサービスです。

メールリレーサービスはクラウド型MTAを使用して、メールを効率的に送信し、管理するための追加機能やサービスを提供します。

例えば、メールマガジンを大量に送信する場合、メールの遅延や相手にメールが届かなくなることがあります。これにはサーバーの処理能力の問題や送信元の認証が適切に行われていないなどさまざまな原因が考えられます。

このような状況を未然に防ぐために、メールリレーサービスが存在します。

メールリレーサービスの仕組み

仕組みとしては、メールリレーサービスのサーバーに対して、送信元のサーバーからメールを転送しておき、送信時間になったらメールリレーサービスから一斉に送信先へ送信を行うというものです。

メールリレーサービスは、メールの大量送信や迷惑メール対策に特化しているため、高い到着率で大量のメールを送信できるでしょう。

メールリレーサービスの具体的な特徴をまとめました。

メリット

  • 手軽にセットアップできるため、すぐに利用可能
  • ゼロからシステム構築する必要がないため、開発費用が抑えられる
  • メール利用量に応じて、価格を柔軟に設定できる
  • 低コストでメールサーバーの運用が可能
  • メール配信に関して独自に分析ができる
  • ユーザーのニーズに合わせた拡張が簡単に行える

デメリット

  • 長期的にサービスを提供する場合は、それなりに費用がかかる
  • サポートしている範囲内の接続方法でしか、メールリレーサービスを利用できない
  • メール送信の環境設定や配信の作業設定をコントロールできない

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まとめ

メールの送信はSMTPサーバーを介して行われます。このサーバー内には複数のメールエージェントが存在しますが、その中でもMTAはメールをするという重要な役割を担当するため、MTAの機能がなければメールの送受信ができません。また、送信が失敗してもMTAがエラーメールで知らせてくれるため、メールサーバーにとって中心的な役割といえます。

MTAにはオンプレミス型とクラウド型がありますが、それぞれメリット・デメリットがあるため、自社に合った方法を選びましょう。また、場合によってはメールリレーサービスの活用も視野に入れましょう。

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