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メールサーバーの冗長化とは?仕組み・構成・メリット・デメリットを徹底解説

更新日: メールサーバー

現代のビジネス環境においてメールは単なるコミュニケーション手段にとどまらず、業務遂行や顧客対応、取引先との連携においても欠かせないインフラのひとつです。そんな中、メールサーバーが一度でもダウンしてしまうと、取引の遅延や機会損失、信頼の低下など、企業にとって大きなリスクにつながることは言うまでもありません。

こうしたリスクを回避し常に安定したサービスを提供するための強力な対策が「メールサーバーの冗長化」です。メールサーバーの冗長化とは、予備のサーバーを用意しトラブルが発生してもすぐに別のサーバーで運用を継続できるようにする仕組みのことを指します。

しかし一方で、「メールサーバーを冗長化するにはどんな方法があるのか?」「コストはどの程度かかるのか?」「運用の手間は増えるのでは?」など、導入を検討する企業にとっては疑問や不安もつきものです。冗長化の仕組みや構成にはアクティブ・スタンバイ構成、マスター・スレーブ構成、マルチマスター構成などさまざまな種類があり、それぞれ特長や向いている環境が異なります。また、RAID、DRBD、クラウドサービスなど冗長化を支える技術や手法も多岐にわたります。

本記事では「メールサーバーの冗長化」というテーマにフォーカスし、その基本的な概念から構成の違い、代表的な手法、さらにはメリット・デメリットまで、わかりやすく解説します。

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メールサーバーの冗長化とは

メールサーバーの冗長化はシステムを安定して稼働させるためにとても重要な仕組みです。具体的には、稼働中のメールサーバーがトラブルで停止してしまった場合でも別のメールサーバーがすぐに代わりに動くようにする対策を指します。これにより、メールの送受信が止まってしまうリスクを大幅に減らせます。ここでは、冗長化の概要や「二重化」との違いについても触れていきます。

冗長化とは

「冗長」という言葉は日常では「話や文章がくどい」といった意味で使われることが多いですが、ITの世界ではまったく別の意味を持っています。IT分野での「冗長化」とはシステムの可用性を高めるために、予備のシステムや機器をあらかじめ用意しておくことを指します。

可用性とはシステムがトラブルなどで停止することなく稼働し続けられる度合いや、その指標を意味します。例えば、長い時間システムを止めずに動かし続けられる状態を「可用性が高い」といいます。

冗長化を行うことで、サーバーやネットワークなどにトラブルや急激な負荷がかかっても、サービスを途切れさせずに稼働し続けることが可能になります。特にメールサーバーの場合、複数のサーバーを用意しておき、いざという時にはすぐに切り替えられるバックアップ体制を整えることが冗長化の大きな特徴です。

冗長化と二重化の違い

冗長化とよく似た言葉に「二重化」があります。混同されがちですが意味は少し異なります。

  • 冗長化:予備システムを複数用意する仕組みで、その台数に特に制限はない。
  • 二重化:現行のシステムと同じものを、予備として1台だけ用意しておく状態。

つまり、冗長化という広い考え方の中に予備が1台だけある状態を「二重化」と呼ぶことが多いのです。例えば、2台のメールサーバーを用意し、どちらかが故障してももう一方でサービスを継続できるようにするのが二重化で、これも冗長化の一形態にあたります。

なお、冗長化はメールサーバーだけの話ではなく、ネットワーク機器やストレージ、データのミラーリングなど、システム全体で可用性を高めるための幅広い取り組みを含みます。二重化はその中でも比較的シンプルな構成といえるでしょう。

メールサーバーを冗長化するメリット

メールサーバーの冗長化には、さまざまなメリットがあります。ここでは代表的な「負荷の分散」「リストアの短縮」「サービス停止の防止」についてわかりやすく解説します。

負荷の分散

メールサーバーを冗長化すると複数のメールサーバーに負荷を分散できるため、アクセスが集中してトラブルが起きるのを未然に防ぎやすくなります。予備として用意しているサーバーに処理の一部を任せることで、メインのメールサーバーへのアクセス集中を緩和し安定した運用が可能です。

例えば、DoS攻撃の一種である「メールボム攻撃」によって、急激に負荷が増大した場合でも、冗長化された構成なら予備のメールサーバーに業務を切り替えて対応ができます。その間に、メインサーバーへの対処を落ち着いて行えるのが大きなメリットです。

なお、メールボム攻撃とは、特定のメールアドレスに大量のメールを送りつけることで、メールサーバーに過剰な負荷をかけ、サービスを妨害する攻撃手法を指します。

リストアの短縮

一般的にメールサーバーにトラブルが発生し停止してしまった場合は、バックアップデータを使って復旧作業(リストア)を行います。企業にとってリストアは欠かせない作業の一つです。

冗長化をしておくことでトラブル発生時でもリストアにかかる時間を大幅に短縮でき、サービスの停止時間を最小限に抑えられるのが大きな利点です。さらに、複数用意した予備のメールサーバーへ即座に切り替えることができるため、そもそもサービスを止めずに済む可能性が高いのも魅力です。

サービス停止の防止

メールサーバーに障害が起きた際、もし冗長化していなければ復旧が終わるまでサービスを停止せざるを得ないケースも出てきます。しかし、冗長化をしておけば障害発生時にも予備のメールシステムに切り替えられるため、サービス全体の停止を防げます。

予備のメールシステムが稼働している間にメインのメールサーバーの復旧作業を進められるので、システムトラブルによる影響を最小限に抑えることが可能です。

メールサーバーを冗長化するデメリット

冗長化には多くのメリットがある一方で、どうしても避けられないデメリットもあります。ここでは、代表的なデメリットについて解説します。

コストの増加

デメリットの一つ目は、やはりコストがかさむことです。メインで稼働するメールサーバーと同等の性能を持つ予備を用意するには、それなりの投資が必要になります。単純に考えても、メインサーバーの導入にかかった費用が予備サーバーの台数分だけ余分にかかるイメージです。

その結果、複数のサーバーやストレージの購入費だけでなく、稼働させ続けるためのランニングコストも重くのしかかってきます。そこで、すべての事業やシステムを無理に冗長化するのではなく、多少コストが増加しても停止させてはいけない重要なサービスを優先的に冗長化するという判断が必要になるでしょう。

運用・保守の負担増加

二つ目のデメリットは、運用・保守の負担が増えることです。予備のメールサーバーを用意したからには、いざというときスムーズに切り替えられるよう、メインのメールサーバーと同じ状態に保っておく必要があります。

例えば、OSのアップデートやセキュリティパッチの適用はもちろん、メールデータや設定も常に一致させておく必要があります。そのため、更新作業のたびに予備サーバーにも反映させる必要があり、結果として担当者の業務負担はどうしても増えてしまうのです。

メールサーバーの冗長化における構成

メールサーバーの冗長化には、メインで稼働するシステムと予備の機器・システムとの運用方法の違いによって、主に3つの構成パターンがあります。ここでは、それぞれの構成について紹介します。

アクティブ・スタンバイ構成

アクティブ・スタンバイ構成とは、メインで稼働しているメールサーバーにトラブルが発生した際、複数準備している予備のサーバーの一部を稼働させ、残りのサーバーは待機状態にしておく冗長化の仕組みです。構成が比較的シンプルで運用もしやすいのが特徴ですが、待機しているサーバーもスタンバイ状態でコストがかかるため、待機サーバーが多いほど費用が膨らむのがデメリットです。なお、アクティブ・スタンバイ構成には、待機サーバーの状態によって以下の2種類があります。

ホットスタンバイ

ホットスタンバイは予備サーバーを常時稼働可能な状態にしておき、メインサーバーとデータを同期させる方式です。トラブルが起きた際も即座に予備サーバーへ切り替えられるため、サービス停止を最小限に抑えられます。

例えば、一度の停止が大きな損害につながるようなシステムにはホットスタンバイが適しています。ただし、待機中でも電力などのランニングコストはかかる点には注意が必要です。

コールドスタンバイ

コールドスタンバイは普段はスリープ状態で待機し、メインのメールサーバーにトラブルが発生した際に起動して切り替える仕組みです。ただし、データ同期がリアルタイムでは行われていないため、切り替え時に多少の時間がかかるのが弱点です。

システムが多少停止しても問題がなくデータ損失のリスクが小さい環境であれば、コストを抑えられるコールドスタンバイが向いています。

マスター・スレーブ構成

マスター・スレーブ構成は複数のサーバーをすべて稼働させつつ、一台を「マスター機」として管理・制御役に設定し、残りを「スレーブ」として従属的に動かす仕組みです。

スレーブは基本的にデータの読み込みのみ行い、書き込みはできません。この方式は、特にデータベースの冗長化で採用されることが多いです。通常運用はマスター機が担い、スレーブはマスターのデータをバックアップしています。

もしマスターにトラブルが発生した場合は、スレーブのうちの一台を新たなマスターに切り替えて運用を継続します。ただし、この切り替えには一定の時間がかかるため、その間サービスが停止してしまう可能性がある点には注意が必要です。

マルチマスター構成

マルチマスター構成は前述したマスター・スレーブ構成のように役割を分けるのではなく、すべてのサーバーを「マスター」として稼働させる仕組みです。すべてのサーバーが読み書き可能で、どこかのサーバーに障害が起きても他のサーバーがすぐに対応できるため、サービス停止のリスクを大幅に減らせます。

ただし、全サーバーが書き込みを行う分、データ同期に不具合が生じた場合、データの整合性が崩れる恐れがあります。そのため、マルチマスター構成を採用する際には同期を正確に行う仕組み作りが不可欠です。

メールサーバーを冗長化する方法

メールサーバーを冗長化する方法にはいくつかありますが、代表的なのが「RAID」です。ほかにも有効な手段が存在するため、ここでは冗長化を実現する3つの方法について詳しく見ていきましょう。

RAID

RAIDとはデータを複数のハードディスクに分散して格納することで、耐障害性とパフォーマンスの向上を同時に実現する技術です。ユーザーから見ると一つのハードディスクにデータを保存しているように見えるため、特別な操作を意識せずとも冗長化が図れるのが魅力です。

例えば、ほかのハードディスクに復元用のデータを保持する構成を取れば、トラブルが起きても迅速にデータを復旧できます。RAIDを構成するハードディスクが増えるほど導入コストは上がるものの、ハードディスクの故障時でも高いデータ保全性と素早い復旧が可能です。1台の筐体内でアクティブ・スタンバイのような仕組みを完結できる点も利点です。

DRBD

DRBDは、TCP/IPネットワークを使って複数のメールサーバーをミラーリングできるオープンソースのソフトウェアです。RAIDが同一サーバー内で冗長化するのに対し、DRBDはサーバー間でデータの冗長化を行う点が大きな違いです。リアルタイムでデータを複製できるため、障害発生時にも別のサーバーで業務を継続できます。

また、DRBDは無料で使えるため、コスト面で大きなメリットがあります。メールサーバーの冗長化というとRAIDを使うイメージが強いかもしれませんがDRBDを採用している企業も少なくありません。

クラウドサービス

近年、クラウドサービスを活用したメールサーバーの冗長化も一般的になってきました。社内のメールサーバーとクラウドサービスを併用することで、万が一社内サーバーでトラブルが発生しても、クラウド側で業務を引き継ぐことが可能です。

例えば、通常はクラウド上でメールデータを運用し、ネットワーク障害などが起こった際に社内サーバーへ切り替えるといった使い方もできます。多様なクラウドサービスが利用できる今、メールサーバーの冗長化が以前より手軽になっているのは大きなメリットといえるでしょう。

メールリレーサービスを利用する

メールサーバーの冗長化を考えるうえで、近年注目されているのが 「メールリレーサービス」 の活用です。メールリレーサービスとは、外部のクラウド事業者などが提供するサービスで、自社のメールサーバーから送信するメールを一度受け取り、インターネット上の宛先へ代理で配送してくれる仕組みです。メールリレーサービスを利用することで、以下のような冗長化のメリットを享受できます。

  • メール配送経路の多重化によるトラブル時のリスク分散
  • 配送遅延やスパム判定のリスク低減
  • 自社サーバーへの負荷軽減と運用コストの削減

例えば、自社で複数のメールサーバーを持たなくても、メールリレーサービス側が複数の配送経路やサーバーを用意しているため、自然と冗長化されたインフラの恩恵を受けられるのが大きな特徴です。仮に自社のネットワーク障害やメールサーバーの障害が発生しても、クラウド上のメールリレーサービスが稼働していれば配送の遅延や停止を最小限に抑えられます。

また、DRBDやクラウドストレージとの併用により、さらに高い可用性を実現することも可能です。自社で構築する冗長化は、どうしてもコストや運用負荷が大きくなりがちですが、メールリレーサービスを活用することで、初期投資を抑えつつ堅牢なメール基盤を作ることができます。

「メールサーバーの冗長化」 を検討する際には、こうした外部サービスの活用も有力な選択肢のひとつです。規模や予算、求める可用性に応じて、自社に最適な方法を選ぶことが大切です。

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まとめ

メールサーバーの冗長化は、ビジネスを止めないための強力な保険ともいえる仕組みです。一度障害が発生すれば、信頼の低下や業務の停止など企業に与える影響は計り知れません。

今回解説したように、冗長化にはRAIDやDRBD、クラウド活用など複数の方法があり、それぞれメリットとデメリットがあります。大切なのは、会社の規模や業務内容、予算に合わせて最適な方法を選ぶことです。

  • 障害時も業務を止めないための備えをすることが重要
  • コストと可用性のバランスを考えて構成を選択する
  • 冗長化の仕組みは将来的な事業拡大への安心材料になる

「メールサーバーの冗長化」は決して大企業だけの話ではありません。中小企業や個人事業でも、守るべきビジネスがあるならば検討する価値があります。この記事を参考に、ぜひ自社に合った冗長化の方法を考えてみてください。トラブルに強いシステムこそ、安定したビジネスの土台です。

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