SendGridから競合・類似サービスに乗り換える際のポイントとおすすめサービスを解説

メール配信において高い信頼性を誇るSendGrid。世界中で利用されているこのサービスは日本国内でも多くの企業に導入されており、特にメルマガや通知メール、キャンペーンメールなどの大量配信においてその安定性と機能性が高く評価されています。
しかし近年、SendGridの料金改定やサポート体制への不満、英語のみの管理画面などに課題を感じるユーザーも増えてきました。「今の運用に合わなくなってきた」「もっと自社にフィットしたサービスがあるのでは?」といった理由で、他のメール配信サービスへの乗り換えを検討するケースも少なくありません。この記事ではSendGridの主な特徴・料金・メリット・デメリットをあらためて整理した上で、乗り換えを検討する際に確認すべき重要な比較ポイントを紹介します。

SendGridとは?
SendGridは2009年にアメリカで設立されたクラウド型のメール配信プラットフォームです。2017年には同じく米国企業のTwilioに買収され現在はTwilioの一部として運営されています。全世界で広く使われており、日本国内でもChatworkやメルカリなどが採用しています。
SendGridの特徴
SendGridにはセキュリティ・大量配信・効果測定など法人向けに最適化された多彩な機能が揃っています。ここではその主な特徴を詳しく紹介します。
1. 海外サービスである
本社との直接契約も可能ですが、日本国内では代理店を通じた導入が一般的です。代理店を利用することで、日本語でのサポートが受けられる点が大きなメリットです。国内正規代理店としては「構造計画研究所」があり、他にもAWSやMicrosoft Azureを経由しての利用も可能です。
2. 多機能である
SendGridはメール配信に必要な多くの機能を備えています。主な機能は以下の通りです。
- セキュリティ機能
- SPF/DKIM認証対応
- SMTP・API連携
- 配信機能
- 属性差し込み
- マルチパート配信
- HTMLメール作成
- 大規模配信対応
- 効果測定
- 配信状況の確認
- ABテスト
- セグメント機能
- 分析ツール
こうした機能の多くは、無料プランでも利用可能です。
SendGridの料金プラン
SendGridでは、用途に応じた複数の料金プランが提供されています。
プラン名 | 月額料金 | 上限送信数/月 | 追加料金(上限超過時) |
---|---|---|---|
Free | 無料 | 100通/日 | 超過不可 |
Essentials 50K | 3,000円 | 5万通 | 0.200円/通 |
Essentials 100K | 5,400円 | 10万通 | 0.132円/通 |
Pro 100K | 14,000円 | 10万通 | 0.165円/通 |
Pro 300K | 37,500円 | 30万通 | 0.137円/通 |
Pro 700K | 75,000円 | 70万通 | 0.117円/通 |
Pro 1.5M | 125,000円 | 150万通 | 0.089円/通 |
Pro 2.5M | 165,000円 | 250万通 | 0.071円/通 |
※料金は2024年4月時点のもので、プランの上限や価格は改定される可能性があります。
同じプラン名でも、上限送信数によって月額料金が変わるため、送信ボリュームに応じて最適なプランを選びましょう。また、Essentials 100KとPro 100Kは上限送信数こそ同じですが、利用できる機能が異なります。
Proプランでしか使えない主な機能
Proプランでは、以下のような高度な機能が追加されます。
- 固定IPアドレスの取得(有料オプション)
固定IPを使うことで、IPレピュテーションの管理がしやすくなり、到達率の向上にもつながります。ただしIPウォームアップが必要な点は注意しなければなりません。 - テスト機能(月上限あり)
メール送信前に、表示崩れやリンク切れ、スパム判定などをチェックできます。クレジット制で、毎月一定量が付与され、必要に応じて追加も可能です。 - SSO(シングルサインオン)対応
一度の認証で複数サービスへのログインが可能になるSSOを使えば、パスワード管理の手間が省け、セキュリティリスクも軽減できます。 - 請求書払いに対応
Essentialsプランはクレジットカード支払いのみですが、Proでは請求書払い(銀行振込)にも対応。締め日までにまとめて支払えるため、法人利用にも便利です。
プラン選定のポイント
どのプランを選ぶか迷ったら、以下のポイントを参考にするとよいでしょう。
- 小規模な配信やお試し利用 → Freeプラン
- 月5万~10万通の中規模利用 → Essentialsプラン
- 高度なセキュリティ・分析・管理機能が必要 → Proプラン
例えば、「IPアドレスをコントロールしたい」「送信前にしっかりテストしたい」「複数メンバーで運用したい」といったニーズがある場合は、Proプランが最適です。
SendGridのメリット/デメリット
SendGridは多機能かつ高い信頼性を持つ一方で、海外サービスならではの使いにくさもあります。ここではその利点と注意点を整理してご紹介します。
SendGridのメリット
SendGridにはメール配信を効率化・高度化する多くのメリットがあります。
1. 安全で信頼性の高いサービス
前述の通りSendGridは世界中で広く利用されており、高いメール到達率を誇ります。国内でもChatworkやメルカリなどの導入実績があり、信頼性の高さから安心して利用できるサービスと言えるでしょう。
2. 法人利用に適している
特にメルマガ配信に役立つ機能が豊富で、顧客への情報発信やマーケティング施策に活用できます。メールの開封率やクリック率などを測定する機能(一部は有料)もあるため、配信結果を可視化して改善につなげることが可能です。
3. 無料プランでも十分な機能が使える
一部の高度な機能は有料プラン限定ですが、主要なメール送信機能は無料プランでもほぼ網羅されています。小規模な法人やスタートアップであれば、無料プランで十分だという声も。また、以下のようなケースにもおすすめです。
- 本格導入の前にテストしたい
- とりあえず少量だけ配信してみたい
- 初期費用を抑えたい
SendGridのデメリット
メリットが豊富な一方で、いくつか注意しておきたいポイントもあります。
1. 管理画面は日本語非対応
SendGridは海外発のサービスであり、管理画面(ダッシュボード)はすべて英語です。英語が苦手な方にとってはややハードルが高く感じられるかもしれません。
ただし、基本的な表現が多く、義務教育レベルの英語がわかれば問題ないという意見もあります。国内代理店の「構造計画研究所」は日本語でのサポートも行っているため、不安があれば相談してみるのも良いでしょう。
2. 日本語サポートが限定的
SendGrid本社が提供する日本語サポートはメール対応のみで返信も英語です。電話サポートは存在せず、迅速な対応を求める場合には不便さを感じることもあります。また、代理店経由のサポートもWebフォームでの受付が基本で、対応時間が限られているため緊急対応にはやや弱い印象があります。
3. 従量課金制
すべてのプランには送信上限が設けられており上限を超えると追加料金が発生します(Freeプランは1日100通まで)。メール配信数が多い企業では、コスト計算や送信数の管理に注意が必要です。
4. 配信履歴の保存期間が短い
配信履歴は保存されますが、その期間はプランによって異なります。
- Free/Essentials:3日間
- Pro:7日間(追加料金で最大30日まで延長可)
過去の配信データを長期的に分析したい場合には、別途ログの保存やAPIによる取得などの工夫が必要です。
5. 2024年4月に料金体系が変更
料金改定により、月額料金が全体的に引き上げられました。例えば、Proの100Kプランは月額12,000円から14,000円へと変更されています。
さらに、Freeプランの送信上限も見直され以前の月12,000通から現在は「1日100通(=月3,000通程度)」に減少しました。この変更により、以前よりも利用の自由度が下がったと感じるユーザーもいるかもしれません。
SendGridから競合・類似サービスに乗り換える際の検討ポイント
SendGridから別のメール配信サービスへ乗り換えを検討する際には、ただ価格や知名度だけで判断するのではなく必要な機能やサポート体制など複数の観点から慎重に比較することが大切です。SendGridならではの機能が活用できていた場合は、その代替手段についてもあらかじめ考慮しておく必要があります。
機能性で注目すべきポイント
メール配信サービスには多くの機能がありますが、その中でも特にチェックしておきたいポイントを以下にまとめました。
エラーメールへの自動対応
メールが正しく届かなかった場合に返ってくる「エラーメール」への対応が自動化されていると、手間が大きく削減されます。エラーの原因分析や再送の手続きが不要になるため、運用負荷を軽減できます。
IPレピュテーション管理とSPF・DKIM・DMARC対応
IPレピュテーションとは、送信元IPアドレスの信頼性を示すスコアのようなものです。これが低いとスパムと判定されやすくなります。以下のような技術に対応しているかを確認しましょう。
- SPF(送信元の正当性認証)
- DKIM(送信内容の改ざん検知)
- DMARC(ポリシー設定とレポート収集)
適切な設定と管理がされていることで、メールの到達率を高められます。
大量配信への対応
メルマガやプロモーションメールを多くの顧客に一斉送信する場合、大量配信機能が不可欠です。
例えば、以下の点を確認しておくとよいでしょう。
- サーバーの処理性能(遅延や停止がないか)
- 1時間/1日あたりの送信上限数
- キュー管理やリトライ処理の有無
コストパフォーマンス
料金プランもサービス選定の重要な要素です。無料プランを提供しているサービスもありますが、法人での運用を考えるとセキュリティや配信規模をふまえて有料プランの利用が推奨されます。
もちろん費用が安いに越したことはありませんが、「安かろう悪かろう」では本末転倒です。以下のような観点から、コストの全体像を把握しましょう。
- 月額・従量課金の料金プラン
- 運用スタッフの人件費
- システム管理やメンテナンス費用
- 機能に対するコストのバランス
例えば、初期費用は安くても、サポートが貧弱で社内工数が増えた場合、トータルでは高くついてしまう可能性もあります。
おすすめのSendGridの競合・類似サービス
この項目では、検討のポイントを踏まえたうえで、おすすめできるサービスの一例を紹介します。
メールが届かない場合はメールリレーサービス「blastengine」を使う

ブラストエンジンは、SMTPリレーサーバーを使用して、簡単に大量のメールを高速配信することが可能です。さらに、メールサーバーを必要とせず、API経由でメールを送信する仕組みも提供しています。
ブラストエンジンは、サーバーの運用やメンテナンスを行っているため、常に高いIPレピュテーションを維持しながら、安全にメールを送ることができます。
以下のような課題がある場合は、ブラストエンジンの利用を検討してみることをおすすめします。
- 自社のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていて、メールが届かない場合
- 国内キャリアにメールが届かず、対応方法がわからない場合
- 自社でメールサーバーを管理・運用したくない場合
また、ブラストエンジンは各メールプロバイダーや携帯キャリアのドメインに最適化されており、大規模なネットワークを経由してメール配信を行うことで、日本国内での到達率を圧倒的に高めています。また、メールサーバーはすべて国内にあるためセキュリティ面でも安心です。
利用料金は月額3,000円からとコストパフォーマンスにも優れており、メールだけでなく、日本語での電話サポートにも対応しています。
メールアドレスの入力のみで無料トライアルが可能ですので、まずは気軽にお試しください。
一斉送信する場合はメール配信システム「ブラストメール」を使う

大量のメールを一斉送信する場合には、専用のメール配信システム「ブラストメール」の活用が効果的です。
ブラストメールは、14年連続で顧客導入シェア1位を獲得している信頼性の高いメール配信システムです。ブラストエンジンとは異なり、メルマガなどのメール一斉送信に利用することができます。
このメール配信システムの特徴は、使いやすさとコストパフォーマンスの高さです。さまざまな業種や官公庁でも利用されており、定番のメール配信システムとして広く知られています。
迷惑メール対策機能はもちろん、セグメント配信や効果測定、HTMLメールエディタなど、基本的な機能がすべて揃っています。最も安いプランでも、月額4,000円以下で導入することができます。
シンプルで安価なため、初めてメール配信システムを利用してみたい方にもおすすめです。無料トライアルも用意されているので、まずは試してみることをお勧めします。
まとめ
SendGridは、高機能かつ信頼性の高いメール配信プラットフォームであり、多くの企業に選ばれてきた実績があります。しかし、料金の上昇やサポートの制限、UIの使い勝手など、運用していく中で気になる点も見えてくるものです。
この記事では、SendGridの基本的な特徴とともに、他サービスへの乗り換えを検討する際に押さえておきたい機能・費用・カスタマイズ性・サポート体制といった観点を丁寧に解説してきました。
メール配信サービスは一度導入すると長期間使い続けることが多いため、将来的な運用も見据えて比較検討することが重要です。ぜひ本記事を参考に、SendGridの活用を続けるか、より自社に合ったサービスへ移行するかを、冷静に見極めてください。
