WordPressを狙う迷惑メールのリスクと対策方法とは?効果的なプラグインも紹介

WordPressサイトを運営していると迷惑メール(スパムメール)の問題に悩まされることが多くなります。特に問い合わせフォームやコメント欄を狙ったスパム攻撃は、放置すると業務効率の低下やサイトの信頼性の低下を招く原因になります。
たとえば、問い合わせフォームを悪用したスパムメールが大量に送信されると、運営者の受信ボックスが埋まり本来対応すべき大切な問い合わせを見落とすリスクが高まります。また、迷惑メールの多いサイトは検索エンジンの評価が下がる可能性もありSEOにも悪影響を及ぼしかねません。さらに、スパムコメントやトラックバックスパムが放置されるとサイトの品質が低いと判断され、訪問者の信頼を失う原因にもなります。
迷惑メールを防ぐためには適切な対策を講じることが不可欠です。WordPressには迷惑メール対策に役立つさまざまなプラグインが用意されており、これらを活用することでスパムを効果的にブロックできます。また、CAPTCHAの導入やコメントブラックリストの設定など追加の対策を講じることで、より強固なスパム防止が可能になります。
本記事ではWordPressを狙う迷惑メールの種類やリスクについて解説し、効果的な対策方法を詳しく紹介します。

WordPressを狙う迷惑メールとは
WordPressサイトを運営していると迷惑メール(スパムメール)に悩まされることが多くなります。これらのメールは問い合わせフォームや登録フォームを悪用し、大量の広告や詐欺的なメッセージを送信するものです。
スパムメールの多くは不正なツールを使ってランダムなアルファベットの組み合わせや、不自然な日本語を含むメッセージを大量に送信します。しかも、単にサイト運営者に迷惑をかけるだけでなく、問い合わせフォームを経由して他人のメールアドレスへ自動返信メールを送る「加害者側」になってしまうリスクもあります。たとえば、スパム業者が無関係な他人のメールアドレスを入力すると、その人に自動返信メールが届き運営者が意図せずスパムをばらまく形になってしまうのです。
こうした迷惑メールを放置すると業務効率の低下やサーバー負荷の増大など、さまざまな問題が発生します。次のセクションで、そのリスクについて詳しく解説します。
迷惑メール対策が重要なサイトの特徴
すべてのWordPressサイトに迷惑メール対策が必要ですが特に以下のようなサイトではより強力なスパム対策が求められます。
- 問い合わせフォームを設置しているサイト
スパム業者がフォームを悪用し、不要なメールを大量に送信することがあります。 - コメント機能を開放しているブログやメディアサイト
スパムコメントが放置されると、読者の信頼を失うだけでなく、SEOにも悪影響を及ぼします。 - ユーザー登録機能を持つサイト
偽のアカウントを大量に作成するスパムボットによって、データベースが不要なデータで膨れ上がるリスクがあります。
WordPressの迷惑メールを放置するリスク
迷惑メールを無視していると運営者だけでなく、サイトを訪れるユーザーや顧客にも悪影響を及ぼします。具体的にどのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。
業務効率の低下
スパムメールが大量に届くと不要なメールを削除したり、フィルタリングしたりする手間が増えます。シマンテック・ウェブサイトセキュリティ社の調査によると、迷惑メールの処理にかかる時間は 1日あたり平均8分。年間に換算すると 約49時間 もの時間がスパムメール対応に奪われていることになります。こうした時間の浪費は次のような形で業務に悪影響を及ぼします。
- 必要なメールを見落とすリスクが高まる
- 問い合わせ対応の遅延につながる
- 重要な業務に割く時間が減少する
スパム対策を適切に行うことで、これらのリスクを回避できます。
重要な問い合わせの見落とし
スパムメールが増えると顧客や取引先からの本当に重要な問い合わせが埋もれてしまう可能性があります。たとえば、商品購入後の不具合や返品・交換依頼のメールがスパムに埋もれてしまい、対応が遅れるとどうなるでしょうか?顧客からの信頼を失い、悪い口コミが広がるリスクも高まります。
また、新規顧客からの問い合わせがスパムに紛れてしまうことで売上機会の損失につながることもあります。
サーバーの負荷増大
スパムメールが大量に送信されるとサーバーのリソースが不要に消費され、以下のような問題が発生します。
- サイトの表示速度が低下 し、ユーザーの離脱率が上がる
- メールボックスの容量が圧迫 され、重要なメールを受信できなくなる
- サーバーの負荷が増大 し、最悪の場合はダウンしてしまう
特にレンタルサーバーを利用している場合、リソースの上限を超えると制限を受ける可能性もあるため注意が必要です。
ウイルス感染や情報漏えいのリスク
スパムメールに含まれる不審なリンクや添付ファイル を誤って開いてしまうと、ウイルスに感染するリスクがあります。ウイルスに感染すると以下のような被害が発生する可能性があります。
- サイトの改ざん(マルウェアが埋め込まれる)
- 個人情報や機密情報の漏えい
- 第三者になりすまされるリスク(スパムの踏み台にされる)
特に顧客情報を扱うECサイトや会員制サイトではセキュリティリスクが高くなります。
企業の信頼性低下
ウイルス感染や情報漏えいが発生すると企業の信用が一気に低下します。「このサイトは危険」と認識されてしまうとユーザーは離れていき、事業にも大きな影響を及ぼします。一度失った信頼を取り戻すのは簡単ではなく、多くの時間とコストがかかるため予防策を徹底することが重要です。
WordPressの迷惑メールを防ぐ基本的な方法
迷惑メールの被害を防ぐには適切な対策を講じることが重要です。WordPressではプラグインや設定の変更によってスパムを効果的にブロックできます。
CAPTCHAの導入
CAPTCHAは問い合わせフォームやコメント欄に入力を行う際に、人間とボットを判別する仕組みです。スパムボットによる自動投稿を防ぐため多くのサイトで採用されています。おすすめのCAPTCHAソリューションは以下の通り。
- Google reCAPTCHA
- hCaptcha
- WPFormsのCAPTCHA機能
特にGoogle reCAPTCHAは設定が簡単で幅広いWordPressプラグインと連携できるため、導入しやすい対策の一つです。
コメントブラックリストの活用
スパムコメントの多くは特定のフレーズやリンクを含んでいます。WordPressには「コメントブラックリスト」という機能があり、スパムによく使われる単語を登録することで自動的にコメントをブロックできます。設定方法は以下の手順で行います。
- WordPressの管理画面にログイン
- 「設定」 → 「ディスカッション」を開く
- 「コメントブラックリスト」にスパムのキーワードを入力
- 「変更を保存」をクリック
ブラックリストを定期的に更新することで新たなスパムにも対応できます。
迷惑メール対策に有効なWordPressプラグイン
WordPressで迷惑メール対策を行うには専用のプラグインを導入するのが効果的です。迷惑メールの種類によって適したプラグインが異なるため、目的に応じて選びましょう。ここでは、特におすすめのスパム対策プラグインを紹介します。
Advanced Google reCAPTCHA
Googleが提供するreCAPTCHAはサイトの閲覧時の動作や画像認識テストを利用して、操作しているのが人間かどうかを判別するシステムです。「私はロボットではありません」のチェックボックスを見たことがある人も多いでしょう。WordPressにも簡単に導入でき高いセキュリティを提供します。このプラグインの特徴は以下の通りです。
- ボットを自動的に識別 し、不正なアクセスをブロックできる
- Googleの公式サポート により、精度が常に向上
- 設定がシンプル で、初心者でも導入しやすい
スパム対策を強化したい場合はフォームやログインページに組み込むとよいでしょう。
Akismet Anti-Spam
WordPressを提供するAutomattic社が開発した標準搭載のスパムフィルタープラグインです。このプラグインはスパムコメントを自動的に識別し、フィルタリングしてくれます。特に以下のような特徴を持っています。
- スパムの自動判定機能 が非常に高精度
- 世界中のユーザーのデータを元に自動学習 し、精度が向上し続ける
- コメントスパム対策として有効 で、不要な手作業を減らせる
スパムコメントが多いサイトでは、このプラグインを有効にするだけで大幅に負担を軽減できます。
Anti-Spam Bee
Anti-Spam BeeはヨーロッパのGDPR(一般データ保護規則)に準拠した無料のスパム対策プラグインです。スパムの判定基準を細かくカスタマイズできるため、運営スタイルに合わせた設定が可能です。このプラグインの主な特徴は以下の通りです。
- 完全無料 で利用可能
- GDPRに準拠 しており、データの安全性を確保
- 細かいカスタマイズが可能 で、運営スタイルに合わせた設定ができる
ただし、日本語には対応していないため設定時には翻訳ツールを活用するとよいでしょう。
CleanTalk
CleanTalkは有料のスパム対策プラグインですが、高精度なスパムブロック機能を備えています。特にスパムコメントやスパム登録、スパムメールを包括的に防ぐことができるのが特徴です。CleanTalkのポイントは以下の通り。
- 統計データが提供される ため、スパムの影響を可視化できる
- 精度が高く、信頼性が高い
- 有料プランではサポートが充実
無料プラグインで効果が十分でない場合は、導入を検討してもよいでしょう。
WPBruiser
WPBruiser(旧:Goodbye Captcha)は、キャプチャなしでスパムをブロックできるプラグインです。
ボットの行動を解析し、人間かどうかを判定するため、ユーザーの利便性を損なうことなくスパム対策ができます。このプラグインの特徴は以下の通り。
- キャプチャ不要 で、ユーザーのストレスがない
- 事前にスパム投稿を防ぐ ことで、管理者の負担を軽減
- コメントフォームやログインページのスパム防止にも対応
他のスパム対策プラグインと組み合わせることで、さらに効果的な対策が可能です。
迷惑メール以外のスパムの例と対策
WordPressでは迷惑メール(スパムメール)以外にもスパム攻撃を受ける可能性があります。スパムを放置すると、サイトの信頼性が低下し検索エンジンの評価にも悪影響を及ぼすことがあります。ここでは、特に多いスパムコメントとトラックバックスパムの対策について紹介します。
スパムコメント
スパムコメントとはブログ記事やウェブサイトのコメント欄に関係のないメッセージや広告を大量に投稿する行為です。これには以下のような問題があります。
- 不正なリンクが含まれていることが多く、クリックするとウイルス感染のリスクがある
- サイトの信頼性が低下し、訪問者に不信感を与える
- 検索エンジンに低品質なサイトと判断され、SEO評価が下がる可能性がある
スパムコメントを防ぐ方法はいくつかありますが、最も手軽な対策はコメント欄を無効にすることです。サイトの性質によってはコメント機能が不要な場合もあるため適宜閉鎖を検討しましょう。
また、スパムコメントには特定のキーワードが多く使われることがあるため、WordPressのコメントブラックリスト機能を活用すると自動的に不要なコメントをフィルタリングできます。さらに、スパム対策プラグインを併用することで、より効果的な対策が可能です。
トラックバックスパム
トラックバックとは他のブログ記事を引用・参照した際に、引用元のサイトへ通知を送る仕組みです。本来は引用された記事がどこで紹介されているかを把握するための機能ですが、スパム業者によって悪用されるケースが増えました。
スパム業者は自サイトのリンクを送ることで不正に被リンクを獲得しようとします。これにより、サイトに不要なリンクが増え、検索エンジンからの評価が下がる可能性があります。そのため、現在では多くのブログサービスがトラックバック機能を廃止しています。
トラックバックスパムを防ぐにはトラックバック機能を無効化するのが最も簡単な方法です。設定方法は以下の通りです。
- WordPressの管理画面を開く
- 「設定」→「ディスカッション」を開く
- 「新しい記事に対し他のブログからの通知 (ピンバック・トラックバック) を受け付ける」のチェックを外す
この設定を行うことで不要なトラックバックの通知を防ぐことができます。トラックバックを積極的に活用していない場合は無効化するのが望ましいでしょう。
メール配信システムを利用する
WordPressサイトの迷惑メール対策を考える際、メールの送信環境そのものを見直すことも重要です。特に問い合わせフォームや会員登録の確認メール、通知メールなどを適切に管理するためには、メール配信システムの導入が効果的です。WordPressのデフォルトのメール送信機能ではスパム対策やメールの到達率の管理が不十分な場合があり、適切なシステムを利用することでスパムメールのリスクを減らしながら、正常なメールの配信を確保できます。
メール配信システムの導入が有効な理由
WordPressのメール機能は基本的にホスティングサーバーのPHP mail()
関数を利用して送信されます。しかし、この方法では以下のような問題が発生することがあります。
- スパム判定されやすい
送信ドメイン認証(SPF、DKIM、DMARC)が適切に設定されていないと、受信側のメールサーバーがスパムと判断する可能性があります。 - 迷惑メールフォルダに入ることが多い
フォームからの自動返信メールがスパム扱いされ、ユーザーに届かないケースが発生します。 - 送信数の制限
レンタルサーバーの制約によって、大量のメールを一度に送信できないことがあります。
これらの問題を回避するために、専用のメール配信システムを導入することでスパム対策を強化しながら正常なメールの配信を確保できます。
メール配信システムを活用した迷惑メール対策
メール配信システムを利用することで、以下のような迷惑メール対策が可能になります。
- 送信ドメイン認証を強化できる
SPF、DKIM、DMARCなどの適切な設定を行い、信頼性の高い送信メールを確保できます。これにより、問い合わせフォームや自動返信メールがスパム判定されにくくなります。 - スパムフィルタリング機能を利用できる
迷惑メールの送信元を自動的にブロックする機能があり、不要なメールの受信を防ぐことができます。 - 送信ログを確認できる
どのメールが正常に送信されたか、どのメールがブロックされたかを確認できるため、スパム対策の分析や改善がしやすくなります。 - 一括送信や通知メールの管理が簡単になる
問い合わせフォームや会員登録の確認メールなどを効率的に管理し、不要なスパムメールと区別して適切に送信できます。
おすすめのメール配信システム「blastengine(ブラストエンジン)」

SPFやDKIMなどGmail送信者ガイドライン対応しており、API連携・SMTPリレーが可能なメール配信システムです。
ブラストエンジンは、SMTPリレーサーバーを使用して、簡単に大量のメールを高速配信することが可能です。さらに、メールサーバーを必要とせず、API経由でメールを送信する仕組みも提供しています。
ブラストエンジンは、サーバーの運用やメンテナンスを行っているため、常に高いIPレピュテーションを維持しながら、安全にメールを送ることができます。
以下のような課題がある場合は、ブラストエンジンの利用を検討してみることをおすすめします。
- 自社のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていて、メールが届かない場合
- 国内キャリアにメールが届かず、対応方法がわからない場合
- 自社でメールサーバーを管理・運用したくない場合
また、ブラストエンジンは各メールプロバイダーや携帯キャリアのドメインに最適化されており、大規模なネットワークを経由してメール配信を行うことで、日本国内での到達率を圧倒的に高めています。
利用料金は月額3,000円からとコストパフォーマンスにも優れており、メールだけでなく、日本語での電話サポートにも対応しています。
メールアドレスの入力のみで無料トライアルが可能ですので、まずは気軽にお試しください。
まとめ
WordPressを狙う迷惑メールは放置すると業務の妨げになるだけでなく、サイトの信頼性やSEO評価にも悪影響を与える可能性があります。スパムメールやスパムコメントを防ぐためには適切なプラグインを導入し、CAPTCHAやブラックリストの設定を活用することが重要です。
また、トラックバックスパムの無効化やコメント欄の管理を徹底することで、より安全なサイト運営が可能になります。特に迷惑メールの被害が増えている場合は早急に対策を講じることをおすすめします。
適切な迷惑メール対策を行い、WordPressサイトを安心・安全に運営していきましょう。
