IPレピュテーションとは?確認方法やメール到達率を高める方法を解説します
メルマガ配信やメールマーケティングの効果を最大化するためには、送信したメールが実際に顧客の受信トレイに届くことが不可欠です。
しかし、多くの企業は送信したメールがスパムフォルダに振り分けられたり、最悪の場合、完全にブロックされたりすることがあります。このような事態を避け、メール到達率を改善する鍵は「IPレピュテーション」の管理にあります。
本記事では、IPレピュテーションの概要と仕組みや算出方法、確認方法などについて解説します。
メール到達率を左右するIPレピュテーション
IPレピュテーションは、どのような役割を果たしているのでしょうか。はじめに、IPレピュテーションという言葉の意味から解説します。併せて、その重要性と低下の原因についても見ていきましょう。
IPレピュテーションとは?
「レピュテーション(Reputation:評判、信用)」が意味する通り、IPレピュテーションとは「IPアドレスの評判、信用」のことです。
送受信に使用されるIPアドレスについて、過去に悪質な行為(迷惑メールの送信や悪質なWebサイトへの誘導など)を行っていないかを、ISPや第三者機関が調査を行います。
IPレピュテーションに影響を与える要素には以下のようなものがあります。
- 送信されるメールの量
- 送信先の有効性
- エンゲージメント率
- スパム報告の数
その結果をわかりやすくするためスコア化し、提供するのがIPレピュテーションの役割です。
メール送信者としてのIPレピュテーションの重要性
メールを送信する側としては、できるだけ多くの人にメールを届け、その内容を見てほしいという思いがあるでしょう。
しかし、IPレピュテーションが低いと悪質・ブロックすべきIPアドレスと判断されてしまいます。そのため、送信したメールが受信側の迷惑メールフォルダに自動的に追加されてしまったり、スパムとみなされ受信トレイに届く確率が低下してしまうのです。
以上のことから、メール送信者にとってIPレピュテーションの指標が高いことはとても重要と言えます。
IPレピュテーションが低下する原因
メールの到達率に大きく影響するIPレピュテーションですが、低下の要因としてどのようなことが考えられるのでしょうか。ここでは、以下の5点の原因を紹介します。
送信ドメインの評価
メールサーバーは送信元ドメインの信頼性を評価します。ドメインの信頼性が低いと、迷惑メールとしてフォルダに振り分けられてしまう可能性があります。
例えば、SPF、DKIM、DMARCなどの送信ドメイン認証技術を導入することで、ドメインの信頼性を高め、メールが正当な送信元から来ていることを証明できます。
スパムや迷惑メールとして誤検知
受信側のメールサーバーには、スパムや迷惑メールを防ぐためのフィルターがあります。
キーワードや画像・リンクなど、メールの内容がスパムフィルタに引っかかると、そのメールは迷惑メールフォルダに振り分けられ、これが繰り返されるとIPレピュテーションが低下します。
受信者側のアクション
メールの開封率、クリック率、そして受信者がメールをスパムとして報告する頻度などのユーザーエンゲージメントも重要です。
例えば、プロモーションメールなど、受信者にとっては迷惑ではないものの興味もなく、長期間同じアドレスからのメールを開封しなかった場合、メールサーバーは当該アドレスからのメールをスパムとしてみなし、IPレピュテーションが低下する可能性があります。
また、ターゲットのニーズにそぐわないメールを何度も送信していると、読者がスパムとして報告し、IPレピュテーションに悪影響を与える可能性があります。
急激な送信量の増加
一度に大量のメールを送信すると、スパム送信者の典型的な行動と見なされることがあります。従って、メール送信量は慎重に管理し、段階的に増やしていくべきです。
不適切な内容
例えば、違法な商品やサービスの宣伝、攻撃的な言葉遣いなど、メールに不適切な内容が含まれている場合、受信者やISPによってスパムと見なされ、IPレピュテーションが損なわれます。
IPレピュテーションの仕組み
ISPや第三者機関による調査の結果として、あらゆるIPアドレスのスコアが決定されることは先述した通りですが、その仕組みについてもう少し詳しく見ていきましょう。
例えば、ある送信元が2台の送信用メールサーバーを使用していると仮定した場合、AとB2つのIPアドレスが存在することになります。このアドレスごとにスコアは異なり、加えて、ISPによる調査か第三者機関による調査かによってもスコアは変動します。
受信側は、ISPまたは第三者機関によって出された結果に基づき、受信可否を決定する流れです。そのため、ISPに基づいたスコアを参照としている受信側に送信した場合と、第三者機関のスコアを参照としている受信側に送信した場合でも、受信可否は異なります。
ISP、第三者機関によるスコアが「Aは100」「Bは50」だった場合、AのIPアドレスから送信されるメールは問題なく受領されるでしょう。しかし、BのIPアドレスから送信されたメールについては迷惑メールフォルダに振り分けられたり、遅延したりすることも考えられます。
したがって、メール送信者は自身のIPレピュテーションを常に監視し、可能な限り高いスコアを維持することで、メール配信の効果を最大化することが求められます。
IPレピュテーション算出のための要素
IPレピュテーションの算出には、メールの送信量、スパムとしての報告率、エンゲージメントの度合い、バウンス率、そして送信リストの品質などが考慮されます。
これらの要素はすべて、送信者の信頼性を示す指標として機能し、ISPによってメールがどのように扱われるかを決定します。これらの要素を理解し、適切に管理することで、IPレピュテーションを向上させることが可能です。
スパムトラップへの送信有無
スパムトラップ(ハニーポット)とは、迷惑メールを特定するために用意された「使われていないメールアドレス(またはドメイン)」です。
どこにも登録しておらず、使用していないアドレスにメールが届く場合、送信者は「手当たり次第さまざまなアドレスにメールを送る」と判断され、ISPによってブラックリストに載せられます。
なお、誤ってスパムトラップが紛れ込んだ状態でメールを送信してしまうと、悪意がなくとも、IPレピュテーションに悪影響が出てしまうこともあるでしょう。ブラックリストに登録されてしまう可能性もあるため送信先には注意が必要です。
スパムレポートとしての報告の有無
たとえばGoogleでは、スパムの疑いがあるWebサイトを報告する専用のページを用意しており、そこで悪質な疑いのあるWebサイトについて報告できます。
これはメールについても同様で、スパムの疑いがあるメールを報告する専用サイトにて手続きすれば、当該のIPアドレスにおけるスコアに影響を与えることが可能です。
メールの送信量やキーワード
突発的に大量のメールを送信するような送信元については、スパムとして疑われるおそれがあります。
一方、安定して一定数のメールを送信している送信元に関しては、IPレピュテーションのスコア低下につながるおそれはほぼありません。
また、送信されるメールのタイトルや内容に、詐欺やスパムにおいて使用されるキーワードが使われている場合、スコア低下の要因になり得ます。
その他の要素
メールサイズ、添付ファイルのサイズ、ホスト名なども、スコア算出のうえで重要な要素です。
その他にも過去のメール送信履歴や物理サーバーの場所、ドメイン登録期間やWebサイト立ち上げからの期間なども判定基準となります。
こうしたさまざまな要素を合算し、スコアが算出されます。スコアが高ければ送信メールの到達率は上昇し、低ければ受信拒否となるおそれが出てくるのです。
IPレピュテーションの確認方法
IPレピュテーションを確認するには、いくつかのオンラインツールやサービスを利用できます。これらのツールは、指定されたIPアドレスの評価を提供し、それがISPによってどのように見られているかを示します。
定期的にこれらのツールを使用してIPレピュテーションをチェックし、必要に応じて改善策を講じることが重要です。IPレピュテーションスコアについては、主に以下6種類のWebサイトにて確認が可能です。
SenderScore.org
アメリカのReturn Path社が提供しているIPレピュテーションスコアの判定サイトです。入力欄にドメイン、またはIPアドレスを入力することで、0〜100でスコアが判明します。
参考:Sender Score
TalosIntelligence.com
Cisco社が提供するスコア判定サービスです。HP上の、「Sender IP Reputation」からスコアを確認できます。結果は、「Good(問題なし)」「Neutral(使用可能、問題の発生が想定される)」「Poor(フィルタリング・ブロックされる可能性がある)」の3段階判定となっています。
参考:Cisco Talos
RequtationAuthotity
WatchGuard社運営のスコア判定サービスです。IPレピュテーションスコアは100点満点で、メールの評価比率は「Good」「Bad」で判定されます。
参考:Reputation Enabled Defense について
BarracudaCentral
BarracudaNetworks社提供の、IPおよびドメインスコア検索サービスです。サイトに飛び、「評判の検索 IPまたはドメイン」の欄に当該のIPアドレスかドメインを入力すればスコアが判定されます。
参考:IP / Domain Lookups – BarracudaCentral.org
TrustedSource
McAfe社提供のスコア判定サービスです。IPレピュテーションスコアだけではなく、DNS・メールサーバー情報・ドメイン履歴・有効性・関連性などについても確認可能です。
Postmaster Tools
Google社提供のスコア判定ツールです。GmailのIPレピュテーションスコアの判定が可能で、「安全」「危険度:低・中・高」の4段階で判定結果が検出されます。
参考:Postmaster Tools を使ってみる – Google Workspace 管理者 ヘルプ
IPレピュテーションを高めるためのポイント
IPレピュテーションを高めるには、送信ドメイン認証の設定、メール送信頻度や内容に注意を払う、配信先リストを定期的に精査するなどのステップが有効です。
これらの措置により、ISPによる信頼性の評価を高め、メールが受信トレイに届きやすくなります。メールマーケティングの成功には、これらの基本的ながらも重要なポイントを実行し、維持することが不可欠です。
送信ドメイン認証を設定する
送信ドメイン認証は、メール送信者が正当な送信者であることを受信側に証明するための技術です。
これには、主にSPF、DKIM、DMARCがあります。これらの設定を適切に行うことで、フィッシング詐欺やスプーフィング(なりすまし)から受信者を守り、送信ドメインの信頼性を高めることができます。
その結果として、IPレピュテーションが向上し、メール配信効率が良くなります。
メール送信頻度や内容に注意する
メールの送信頻度や内容は受信者のエンゲージメントに直接影響を与えます。過度に頻繁なメール送信は、受信者によるスパム報告のリスクを高める可能性があります。
また、内容が関連性が低い、または興味を引くものでなければ、開封率やクリック率が低下し、それがIPレピュテーションの低下につながります。送信するメールは、受信者にとって価値があり、関連性が高く、適切な間隔で送信されることが重要です。
配信先リストを定期的に精査する
配信先リストには、不適切なアドレスや長期間反応のないアドレスが含まれていないか定期的にチェックすることが重要です。
不適切なアドレスにメールを送信し続けることは、バウンス率の増加やスパムトラップへの誤送信のリスクを高めます。これらはIPレピュテーションに悪影響を与えるため、リストを定期的に精査し、質を維持することが必要です。
また、ダブルオプトインの採用により、受信者がメール受信を明確に希望しているかを確認することも効果的です。
メール配信システムを活用する
IPレピュテーションを気にせず効率的かつ効果的にメール配信を行いたい場合は「メール配信システム」を活用するとよいでしょう。
IPレピュテーションを気にせずメール配信を行うポイント
メール配信システムを活用することには以下3点のメリットがあります。普段から大量のメール配信を行っているシステムは信頼性が高くIPレピュテーションも高いです。
- 信頼性の高いIPからのメール配信が可能
品質の高いメール配信システムは、自社のサーバーのIPレピュテーションを厳しく管理しています。これにより、ユーザーはIPレピュテーションを自身で気にする必要がなくなります。 - 送信ドメインの認証が設定できる
SPF、DKIM、DMARCなどの送信ドメイン認証を設定し、メール配信システムでの送信が正当なものであることを受信メールサーバーに保証します。これにより、フィッシングやスプーフィングを防ぎ、メールの信頼性を高めます。 - 配信リストのクリーニングが可能
定期的に配信リストを精査し、無効なメールアドレスや反応のない受信者をリストから削除します。これにより、高いエンゲージメント率を維持し、スパムトラップへの誤送信のリスクを減らすことができます。
メール配信システムを適切に活用することで、IPアドレスのウォームアップなしに大量のメール配信が可能となります。
以下で用途別のおすすめのメール配信システムをご紹介します。
API連携・SMTPリレーサービス「ブラストエンジン(blastengine)」の活用
ブラストエンジンは、SMTPリレーサーバーを使用して、簡単に大量のメールを高速配信することが可能です。さらに、メールサーバーを必要とせず、API経由でメールを送信する仕組みも提供しています。
ブラストエンジンは、サーバーの運用やメンテナンスを行っているため、常に高いIPレピュテーションを維持しながら、安全にメールを送ることができます。
以下のような課題がある場合は、ブラストエンジンの利用を検討してみることをおすすめします。
- 自社のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていて、メールが届かない場合
- 国内キャリアにメールが届かず、対応方法がわからない場合
- 自社でメールサーバーを管理・運用したくない場合
また、ブラストエンジンは各メールプロバイダーや携帯キャリアのドメインに最適化されており、大規模なネットワークを経由してメール配信を行うことで、日本国内での到達率を圧倒的に高めています。
利用料金は月額3,000円からとコストパフォーマンスにも優れており、メールだけでなく、日本語での電話サポートにも対応しています。
メールアドレスの入力のみで無料トライアルが可能ですので、まずは気軽にお試しください。
シェア1位のメール配信システム「ブラストメール」の活用
ブラストメールは、13年連続で顧客導入シェア1位を獲得している信頼性の高いメール配信システムです。ブラストエンジンとは異なり、メルマガなどのメール一斉送信に利用することができます。
このメール配信システムの特徴は、使いやすさとコストパフォーマンスの高さです。さまざまな業種や官公庁でも利用されており、定番のメール配信システムとして広く知られています。
迷惑メール対策機能はもちろん、セグメント配信や効果測定、HTMLメールエディタなど、基本的な機能がすべて揃っています。最も安いプランでも、月額4,000円以下で導入することができます。
シンプルで安価なため、初めてメール配信システムを利用してみたい方にもおすすめです。無料トライアルも用意されているので、まずは試してみることをお勧めします。
まとめ
IPレピュテーションスコアが良好ではないと、メールを送信しても迷惑メールフォルダに振り分けられたり、あるいは受信拒否されたりするおそれがあります。使用するIPアドレスのスコアに問題がないかどうか、今回紹介したWebサイトなどを利用して確認してみてはいかがでしょうか。
また、IPレピュテーションを急上昇させる手立てはありません。IPレピュテーションの向上と維持には日々の積み重ねが必要です。