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統合運用管理ツールとは?機能やメリット・デメリットを詳しく解説

2024年9月7日

ビジネスにおいて、複数のITシステムやアプリケーションを効率的に運用することは欠かせません。しかし、運用するITシステムやアプリケーションの数が増えて複雑化した場合、個別に対応するのは容易ではありません。

こうした問題を解決するために「統合運用管理ツール」が登場しました。統合運用管理ツールを導入することで、システム全体を一元的に管理できるようになり、業務負担の軽減やコスト削減、人員効率化を実現することができます。さらに、自動化された監視機能により、障害発生時の迅速な対応や、システムのパフォーマンス向上も期待できます。

本記事では統合運用管理ツールが提供するさまざまな機能を詳しく紹介し、そのメリットやデメリットを解説していきます。

統合運用管理ツールとは

統合運用管理ツールは、自社内で使用しているITシステムやアプリケーション、サーバーやセキュリティなどをまとめて管理するためのツールです。具体的には、システムの監視・セキュリティ対策管理・ジョブの実行といったシステムを、自動化した状態で一元管理できます。そのため、最小限の作業工程および作業人数でのシステム運用が可能です。

業務や人件費の負担軽減は、ITシステムの運用管理に必要なコスト削減にもつながります。統合運用管理ツールは、常に自動で運用管理作業が実行されているため、トラブルの早期発見や解決にも大きく役立つでしょう。

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統合運用管理ツールの機能

統合運用管理ツールには、システム運営管理に役立つ機能が数多く備わっています。ここからは、統合運用管理ツールの機能を詳しく見ていきましょう。

ジョブ管理

ジョブ管理は、業務のスケジュール管理・進捗確認・作業ログの監視といった処理を管理する機能です。

スケジュール機能は、ジョブ実行の設定から実行、バックアップを含む定型処理を、事前に設定したタイミングで自動的に処理します。作業ログの監視機能は、自社システムでトラブルが発生した場合、事前に設定していたプロセスで対応作業を行います。

可用性管理

可用性管理は、ITシステムのサービスレベルが一定の水準を満たしているかを監視する機能です。ユーザーのニーズに応えたサービスシステム提供を行うために役立ちます。

一定の水準を満たすサービスレベルは「SLA」を基準にしています。SLAとは、Service Level Agreement の略語で提供者とユーザーが合意したサービスに関する品質保証を記したものです。SLAは、主に通信サービス・クラウドサービス・レンタルサーバーなどで用いられ、サービスの定義や通信速度、利用停止時間の上限などの保証項目を定めます。そのサービス品質がSLAの保証値を下回った場合にはペナルティが課せられるのです。

このSLAで定めた水準を保つために、可用性や保守性・信頼性などの管理が求められます。SLAを基準にした稼働時間と、実際に利用できるシステムの稼働時間から算出した割合を可用性と呼びます。また、保守性は「MTBF」、信頼性の高さは「MTBSI」の数値で算出するのが一般的です。MTBFは、システムが連続で稼働した場合の、故障して再度稼働するまでの平均時間を指します。MTBSIは、故障発生と次の故障発生までの平均経過時間間隔のことです。

  • SLA
    ユーザーと提供者が合意したサービスレベルを表す指標。通信速度や稼働時間などが定められ、品質基準を下回るとペナルティが発生する場合があります。
  • 可用性
    稼働時間と利用可能な時間の割合を指し、システムがどれだけ信頼性を持って稼働しているかを測定します。
  • MTBF
    システムの平均故障間隔(Mean Time Between Failures)を指し、システムが正常に稼働している時間を表します。
  • MTBSI
    故障から次の故障までの平均時間間隔(Mean Time Between System Incidents)を示します。システムの信頼性の指標として重要です。

パフォーマンス管理

パフォーマンス管理は、データ処理能力や処理速度といった基本性能が一定の水準を満たしているか確認する機能です。広告掲載効果やイベント開催などによるアクセス急増時や繁忙期は、通常時の処理能力レベルでは処理しきれないこともあるでしょう。処理能力不足は、サービス品質の低下やシステムトラブル、サーバーダウンなどのリスクを高めます。

統合運用管理ツールは、システムの危険性が上がると自動的にアラームを表示するため、自社システムのリスク回避に期待できます。

構成管理

構成管理は、ソフトウェア・サーバー・ハードウェア・ライセンス・ネットワークなどの環境を最適に管理する機能です。蓄積されたライフサイクルのデータをもとに、リスクの高いトラブルを回避し安全性の高い運用管理をサポートします。

ここでのライフサイクルは、ITシステムの企画・開発・構築・テスト・運用・保守・廃棄といった一連のサイクルのことです。これにより、不要なダウンタイムやセキュリティリスクを軽減します。

セキュリティ管理

セキュリティ管理は、ネットワーク制限・アクセス制限・閲覧ID・セキュリティ・ファイアウォールを含む、セキュリティに関わる項目を管理する機能です。セキュリティ管理機能が自動的に、社内ITシステムの安全性を保ちます。

提供しているシステム内容によっては、第三者からのアクセスを一部拒否する必要があるでしょう。この場合も、セキュリティ管理のユーザー権限設定を利用すれば、システムごとに柔軟なアクセス管理が可能になります。

IT資産管理

IT資産管理は、ITシステムに関わる資産をまとめて管理する機能です。IT資産は、ハードウェア・ソフトウェア・PC・サーバーといった企業活動に必要なIT機器を指します。

レンタルサーバー、ハードウェアやソフトウェアは、OSのアップデート・ライセンス・契約期限といったいくつかの情報を管理しなければなりません。従来、その情報は、管理表に担当者が記載することで管理が行われていました。しかし、担当者変更や記載漏れ、記載誤りなどのヒューマンエラーが発生することから管理方法が問題視されていたのです。

統合運用管理ツールを用いて一元管理すれば、各種更新を自動化し、ミスを最小限に抑えた状態で業務の負担を軽減します。

統合運用管理ツールのメリット

さまざまな機能が搭載されている統合運用管理ツールの導入には、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、統合運用管理ツールのメリットを具体的にご紹介します。

ITシステムを一元管理できる

統合運用管理ツールで自社ITシステムを一元管理すると、システムの状況を簡単に把握できます。

ジョブや処理能力だけでなく、ソフトウェアやハードウェアの契約期間やアップデートなど、システムに関わる幅広い管理が可能です。システムの一元管理は、業務の負担軽減に役立ちます。

 また、情報が一元化されているためシステム全体の状況を簡単に把握でき、迅速な意思決定が可能です。

運用管理を自動化できる

トラブルが起こったとしても、統合運用管理ツールが原因や被害範囲を迅速に把握したうえで、適切な処置を自動で行います。作業を行う人材確保が難しい業務時間外のバックアップや、アップデート作業の自動化も可能です。これにより、ヒューマンエラーの抑制を実現します。

また、アップデート作業もツールにより自動的に実行されるため、手動での管理が不要となり人件費の削減にもつながります。

24時間365日運用監視できる

統合運用管理ツールは、24時間365日昼夜問わずシステムを運用および監視します。ITシステムでトラブルが発生した場合には、原因を発見し担当者に通知するアラート機能があります。担当者がトラブルを迅速に把握することで、被害拡大と新たなトラブルの発生を回避できるのです。

自動化する管理項目の追加や変更が可能なことも特徴で、設定項目を増やすと自動で対応できる範囲は広がります。自動化した状態で24時間365日休まずシステムを監視しているため、監視に必要な人件費や業務負担の軽減にも役立ちます。

アプリケーションのパフォーマンスを向上できる

アプリケーションのパフォーマンスを最大限に発揮させるためには、運用状況に合わせて最適なネットワーク環境やサーバーを構築しなければなりません。アプリケーションごとに異なる設定は難しく、これまで専門的な知識が必要でした。

しかし、統合運用管理ツールは、アプリケーションの特性を把握し、自動でチューニング作業を行います。チューニングにより、アプリケーションを、効果的に運用させるための環境を整えるのです。 

IT資産を一元管理できる

IT資産管理においても、統合運用管理ツールは大きな役割を果たします。

ハードウェア・ソフトウェア・PC・サーバーなどのIT機器に応じて、ライセンスやOSの更新などの作業が必要です。管理項目が多いほど個別で全ての作業を行うのは、担当者の負担も大きく困難でしょう。

しかし、統合運用管理ツールであれば、自動的にIT資産をまとめて管理できます。更新漏れやライセンス違反などのリスクを回避できるのです。個別に管理する時間が削減できると、他の業務に時間を割くことができ、業務の効率化に役立ちます。

統合運用管理ツールのデメリット

業務負担の改善や、ヒューマンエラー防止など、多くのメリットに期待できる統合運用管理ツールの導入ですが、注意点もいくつか存在します。ここでは、統合運用管理ツールのデメリットを見ていきましょう。

コストがかかる

統合運用管理ツールは、搭載されている機能が豊富なほど、費用は高額になります。また、導入したツールに必要な機能が搭載されていなければ、追加で機能を購入しなければなりません。

さらに、アップグレードや新規機能の追加に、別途費用がかかる場合もあります。そのため、自社のITシステムに必要な機能と予算を事前に把握したうえで、統合運用管理ツールを導入することが重要です。

導入に際しては、長期的なコストを十分に考慮し自社のITシステムに合致した機能と予算とのバランスを事前に確認することが重要です。

操作方法や運用フローに慣れるまで時間がかかる

多くの機能が搭載された統合運用管理ツールを、すぐに使いこなすのは、容易ではありません。操作方法や機能を理解するために時間を要します。ツールの管理担当者には、研修を通してトレーニングを行い、統合運用管理ツールをスムーズに活用できるようになるまでサポートが必要でしょう。

また、企業ごとに規則やシステム環境は異なります。一般的な操作方法や作業工程だけでなく、自社の規則に沿った設定の調整も重要です。統合運用管理ツールは、活用するまでに研修や調整時間を要するため、余裕のある導入時期を検討しましょう。

統合運用管理ツールの選び方や注意点

統合運用管理ツールを選ぶ際には、以下の重要なポイントを考慮する必要があります。

  • 必要な機能の確認
    自社のITシステムや運用環境に必要な機能を明確にしましょう。ジョブ管理、セキュリティ管理、パフォーマンス管理など、どの機能が優先されるかを事前に決めておくと選択がスムーズです。
  • コストと予算のバランス
    ツールの導入コストだけでなく、運用コストやアップグレード費用も検討しましょう。
  • 使いやすさ
    ユーザーインターフェースの使いやすさや、操作性も重要なポイントです。簡単に操作できるツールであれば、導入後の教育コストも抑えられます。
  • サポート体制
    導入後のサポート体制が充実しているかどうかもチェックポイントです。トラブル発生時の対応スピードや、FAQの充実度を確認しておくと良いでしょう。

これらのポイントを総合的に考慮し、自社に最も適した統合運用管理ツールを選定しましょう。

統合運用管理ツールを導入する際の注意点

統合運用管理ツールの導入には、いくつかの注意点があります。以下を参考にして、計画的に進めましょう。

  • システムの負荷
    導入時にシステムへの負荷がかかる可能性がありますので、慎重にテストを行いましょう。
  • トレーニングと教育
    操作方法に慣れるまでには時間がかかることがあるため、管理担当者へのトレーニングを実施する計画が必要です。
  • 既存システムとの連携
    統合運用管理ツールが既存のシステムとスムーズに統合できるかどうかを確認しましょう。

サポート体制の確認: 導入後のトラブルに備えて、メーカーやベンダーのサポート体制を確認しておきましょう。

これらの点を事前に考慮することで、スムーズな導入が可能になります。

統合運用管理おすすめツール比較5選

「主要な統合運用管理ツールの比較」について、具体的なツールの特徴や強み、弱みをより詳しく解説します。

BMC Helix

公式サイト: https://www.bmc.com/it-solutions/helix

BMC Helixは、クラウドネイティブな環境に対応したIT運用管理ツールです。

オンプレミス、クラウド、ハイブリッド環境のすべてに対応し、AI(人工知能)と機械学習を活用した自動化機能が強力です。これにより、システム障害の予測やプロアクティブな問題解決が可能になります。

IBM Tivoli (現IBM Cloud Pak for Automation)

公式サイト: https://www.ibm.com/cloud/cloud-pak-for-automation

IBM Tivoliは特に大規模企業向けに設計されたIT運用管理ツールで、複雑なITインフラの管理に優れています。

マルチプラットフォーム環境や多種多様なアプリケーションの管理に強みを持っており、パフォーマンス管理、監視、バックアップ管理、セキュリティ管理などを総合的に行います。

Microsoft System Center

公式サイト: https://www.microsoft.com/en-us/cloud-platform/system-center

Microsoft System Centerは、Windows環境に特化した統合運用管理ツールです。

特にWindows ServerやMicrosoft Azureを利用している企業にとっては、シームレスな連携が可能であり、システム全体の監視、更新、構成管理を効率化します。Hyper-Vなど仮想化環境の管理も強力にサポートします。

SolarWinds IT Operations Management (ITOM)

公式サイト: https://www.solarwinds.com/solutions/it-operations-management

SolarWinds ITOMは、中小企業向けに人気の高い統合運用管理ツールです。

特にネットワークのパフォーマンス監視やサーバー管理、アプリケーション監視に優れており、使いやすいダッシュボードを提供します。コストパフォーマンスが高く、すぐに運用を開始できる手軽さも魅力です。

Nagios XI

公式サイト: https://www.nagios.com/products/nagios-xi/

Nagios XIはオープンソースベースのシステム監視ツールで、サーバーやネットワーク、アプリケーションの監視を強力にサポートします。

柔軟なカスタマイズが可能で、プラグインを利用することで拡張性も高いです。特にコストを抑えつつ運用管理を行いたい企業に適しています。

まとめ

統合運用管理ツールは、企業の運用に必要な業務を一元管理しており、効率よく業務を行うためにかかせない技術の一つです。複雑化したシステム管理が自動化されます。そのため、手作業で行う業務は減りヒューマンエラーは減少するでしょう。

しかし、自社のITシステムに必要な機能が備わっていない統合運用管理ツールを導入すると、追加コストが発生してしまいます。自社に必要な機能を事前に確認したうえで、最適な統合運用管理ツールを導入しましょう。

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